2017年8月3日木曜日

行列のできる審議会~中医協の真実 新井裕充 その3ラスト

ラストです!

前回
その2

カッコ書きは筆者の意見ではなく、
筆者が中医協の議事録から引っ張ってきているものです。
誰が言っているかは省略するので、本を読んで確認して下さい。

第3章
◆診療所は外来医療がメインなので、出来高払いが中心。一方、病院は入院医療がメインで入院分は定額性というところが増えている。
◆「米国は確かに入院期間が短いが、米国にはSNF(Skilled Nursing Facility)という、急性期病院と非常に良く似た急性期病院のレベルの施設がございまして、そこに入っても入所日数は(急性期病院の)入院日数に換算されない。これは政治的な意図でそうされている」
◆「後方施設を充実させるということが、まさに医療を受ける側、国民の立場に立った政策の進め方ではないか」

◆後発品を使った方が差益は出るのに、大学病院はあえて先発品を使っているようだ。
◆医師は後発品を危ないモノと思っているのかもしれない
◆「後発品の納入状況を見てみると非常に価格差があり過ぎる。後発品の中で、20%を切るものもあるし、50%以上の値引きをするものもある。そういったものが医療現場に置いて同一のものとして扱えるのか?

◆「入院時医学管理加算」は、08年度改定を答申した後の医療課長通知で細かい要件が具体的に決められた。その中でも特にネックとなったのは、「退院患者の4割以上が」という基準だった。
◆そこで厚労省は「治癒」の定義を08年10月15日の疑義解釈(通達)で緩和。この後から算定施設が一気に増えた。同時に、DPC調査の治癒率も一気に向上してしまうという冗談のようなことも起きた。「治癒」の解釈をちょっといじくっただけで、凄い影響が出る
◆サラッと読んでしまうと、誰か1人の意見のように思える。しかし、これは1委員の発言ではなく、何と4人の発言を合体したものだった

◆「(保険収載されて)先進医療の点数の10分の1とかに点数が(低く)なってしまうと、結局それが試行されなくなってしまう」

第4章
◆「なんぼ診療報酬で(評価して)みても、(救急医療は)体制の整備ができていなければ何の意味もない」
◆「やはり質の向上には基本的にコストがかかるということを前提にしないと、医療がどんどん荒廃してしまう」
◆「いったん壊してしまうと、戻るには大変時間がかかる」
◆「私どもの考えは『同一の医療サービスを受けた場合は同一の料金にすべきだ』というのが基本でございます。したがって、病院と診療所で再診料が違うというのは、私どもとしては納得がいかないというのが基本」

◆病院がベッド代で稼げるということは、医療費の一部が病院へ行くということ。つまり、製薬企業や医療機器メーカーが潤わない。手術や検査を必要とする急性期病院を手厚くすることは経済界にとっても悪くない
◆「確実にこれが必要な患者さんがいらっしゃるけれども、保険適用でないので払える人が限られているから適用数が少ない。だからその装置が購入できないというようなことになると、装置を購入できる所が限られるから『普及性』がいつまでも満たされない」

第5章
◆現実問題として、医療技術や機器の高度化に伴い、技師も看護師もいないような状況で「医師の腕一本で勝負」ということは考えにくくなっている。医療安全や感染症対策のように、多くの職員が連携して取り組む業務もある。診療報酬だって保険者から病院に自動的に振り込まれるわけではなく、事務職員達が手続きをしている
都会の大病院のように医師や看護師らスタッフが充実していてピカピカの病院ばかりではない。「ちょっと出来の悪い子」も含めて全体的に引き上げることを医療界が言わなかったら誰が言うのだろうか
◆医療界が一枚岩ではないことを厚労省は良く知っている

◆厚労省の医療機能の分化と連携は、似たような病院が乱立している大都会、特に東京だけ診て日本全国を分かったような気になっていると書いたら筆が過ぎるか
◆そもそも医療の質とは何なのか。厚労省も明確に定義していない。「効率化」「標準化」「透明化」などを総合して「医療の質」を考えているようだが、具体的内容はいまだ見えない
◆全国8700近い病院のレベルは様々。大学病院のように高度な医療を目指す病院もあれば、院内の医療安全対策などが不十分な病院もある。出来の悪い病院には、全国一律のマニュアルが必要だと考えているのかもしれない

◆長期入院の患者が多い慢性期のベッド(療養病床)は医療費が増える温床になるので、減らせばいいと厚労省は考えている。慢性期病院からどんどん追い出して自宅で療養させれば、ベッド代や光熱費などは自己負担になる





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