タイトルがちょっとノウハウ本っぽいんですが、古本屋で立ち読みしてて、海外旅行のお土産問題、古着とアウトドア、祖母の自伝を口述筆記のくだりが面白かったので買ってしまいました。
最初の方で、筆者の井形さん自身のエピソードが出てくるのですが、
今まさに若者を中心に流行っているDIYとか、
リノベ物件とかそういうものを地で行くカッコいいエピソードでした。
井形慶子さんのHP
人として何を軸において人生を考えるか、
これは色々と考えることができると思います。
仕事、家庭、趣味。。。etc
家っていうのは、そういうものの土台として包括するもので、
どう住むかは、どう生きるかに直結しているものと思わされる一冊でした。
◆ヨーロッパにはギルドという職人集団が存在する。数百年以上も前に建てられた家の補修には、若年の職人では対応できない熟練者の知識と経験が必要とされるからだ。逆に言えば、古い家に多くの人が抵抗なく暮らせるのは、昔の家の補修・修繕をこなせる技術のある職人と、歴史ある建物に加えても違和感のない豊富な部材が流通している背景がある
◆多くの大学生が国から奨学金を受け勉強を続けるイギリスでは、大学卒業後に学費をローンで返却するケースも多い。そんな質素な生活を続ける彼らは、金をかけず人生を楽しむ生活術を、こんな経験を経て身に着けていく。
◆迷った末に土産として贈ったものが喜ばれなかったり、安物だと見当外れなケチをつけられたりする。また、初めての海外旅行だというのに、大半のショッピングはお餞別をもらった人たちへのお土産を買うために使い果たし、疲労困憊する。
◆新しい人間関係ができにくい社会では、何とか今ある人間関係に執着し、維持しようとつとめる。その結果、希薄な関係であってもそこにいきなり肩書きをつけ、何とかつなぎとめようと立ち回らなければいけない
◆無口というのは自分がないだけのわがままで幼稚な証拠だ。生きていく中で自分の考えすら語れないような男と結婚しても、決して生活は成り立たない。無口な男を絶賛する若い女性にそう言ってやりたい
◆留学と同じく経験は重要だという見地から考えると、両親と共有する遊びや旅こそは、子供にとって「教育」という言葉ではくくれないほどの意味を成すのではないか
◆古いシーツは車の座席にカバーとして使ったり、海辺でのピクニックシートにもなる。友人の車にはいつも「捨てる直前」の古着がホリデーの予備服として積んであった。思い立ったらすぐ家族ぐるみで海や山に出かけるイギリス人にとって、不用品はすべてアウトドアに使い回されるのだ
◆友人は、いったん近所の祖母の家に面会に行くと30分、長い時で一時間近くもどってこない。毎日顔を合わせていてそんなに話すことがあるのだろうか、と私は二人の関係にとても興味を持った。何を話しているのか思い切って友人に尋ねたところ、彼は一冊のノートを私に見せてくれた。そこには、彼の祖母がたどったこれまでの人生の遍歴が書いてあった。友人は年老いた祖母のために口述筆記で彼女の自伝を書いていたのだ
◆彼は自伝を書くことによってそんな祖母の話し相手にもなれた。何より二人とも共通のテーマがあったからこそ互いに興味を持って向き合えたのだ
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