2016年4月30日土曜日

BCG流病院経営戦略 植草徹也他 その1

先日、赤十字の経営体制強化の記事について書いた際に紹介した本。

BCGが現在の医療制度下で強い病院を作るための分析を行い、赤十字病院をコンサルし、日本の医療制度や一般の病院経営の問題点まで考察するというもの。

データ、分析、ロジック。
これらのツールで医療界に多いフワッとした議論に切り込んでいくところは興味深い。


◆わが国の病院には民間企業以上の優秀な経営を行っているところもあれば、そうでないところもあり、その差が非常に激しい。
◆わが国では病院の経営者である院長は医師でなければならず、医療のプロではあっても必ずしも経営のプロではない

Chapter 1
◆後期高齢者医療制度導入前の老人医療費は、老人保健法に基づいて、各健保からの老人保健拠出金と公費でまかなわれていた。
◆保険財政が赤字になるほどの医療費が注ぎ込まれているにもかかわらず、多くの病院が赤字経営を余儀なくされているのが現状
◆日本の医療機関経営の大きな3つの特徴(データは本を読んでみてください)
1、医師数が少ない
2、勤務医の給与水準が少ない
3、受診回数の多さ、平均在院日数の長さ
◆過去20年間、国民医療費は着実に伸びているがGDP(支払能力)はほとんど伸びていない。
◆医療費支出を増やすことでどのくらいの経済波及効果があるかは、産業連関表を使えば簡単に分析可能
◆医療費を伸ばして経済成長をという議論は、国民の情緒に訴えるストーリーではあっても、マクロ経済的には論拠が弱い

Chapter 2
◆緩やかではあるが、病床数が多い大規模病院の方が医業収支率が全般的に高い傾向にある
◆総合病院として一定の診療科数を維持しようとすると、規模の小さな病院ほど、スタッフ人件費(固定費)の割合が大きくなる
◆日本の200床以上の病院には総合病院が多く差別化されていない。少なくとも一般の患者には特徴が見えにくい。
◆固定費の大半は人件費であり、削減しようと思えば、スタッフの数を減らすか1人当たりの給与水準を引き下げるかしかない
◆平成21年度の調査では病院における外来収入は、全収益の3割弱にとどまている。
◆大きく収支を左右する因数は、人件費、材料費、在院日数、および病床利用率の4つ
◆400床未満と400~600床の施設では、赤字解消のために必要な薬剤費や材料費の削減率が大きく異なる
◆在院日数と病床利用率の改善を通じて医業収益を上げることが、少なくとも短期的には経営改善に向けた唯一の有効な戦略
◆2つの迷信
1、在院日数削減と病床利用率はトレードオフ
2、在院日数の短縮で医療の質が下がる
◆この2つがもっともらしく聞こえることもあり、日本の病院経営改善の焦点は、変動費の改善に目が行き過ぎている
◆在院日数と病床利用率の改善には医療行為の本質に切り込んだ改善が必要

Chapter 3
◆思考の罠:一見もっともらしいが、実は本質的な病院経営改革を阻害する考え方
1、症例は千差万別、医療は標準化にはなじまない
2、専門分化で高度な医療サービスを提供
3、在院日数が長期化しがちなのは、患者の受け入れ先確保が難しいから
4、病床利用率が上がらないのは、患者がいないから
5、在院日数短縮化は病床利用率向上の敵

Chapter 4
◆パスの対象疾患、設計方法、対象範囲、実行保証の仕組みの4つの点で、エクセレント・ホスピタルと平均的な病院の間には大きな違いがある
◆DPCコードは、疾患ごとに設定されているため、コードごとにパスを定めることが望ましい
◆エクセレント・ホスピタルでは、プロセス標準化の際に時間の概念も入れ込み、「入院後何日目に何をするか」が明確になる



 

2016年4月28日木曜日

家を借りたくなったら 長谷川高 2

その1

ラストです!
明後日内見に行くので、まとめながら見返しております。

この間こんなことがありました。
築2年でとても設備がいい1LDK。
礼金は2ヶ月。

不動産屋さんいわく、
「4月中に契約してくれれば、礼金1か月にしますよ。」
「実は専任媒介は今日までで、今日の夕方から一般媒介になる」

悩みました。悩んだ結果、連れの助言もありスルーしました。

翌日、確かに一般媒介になっていたのですが、
なんとhomesで見たら礼金が1か月に。

不動産屋の口車に乗っていたら、「どうせ1か月になる」礼金をエサに契約させられていた。

危ないところでした。連れ様様。
ということで、「自分のペースを乱されない」。
長谷川先生の教えどおりに次回は頑張りたいです。

第3章
◆不動産屋さんで物件情報もらう場合は、市販の地図を持参する。
◆ゼンリンの住宅地図は不動産屋さんからもらう。
◆南向きと広告に書いてあっても、コンパスで調べてみると南西向き、または西向きといった物件もある。
◆広告をそのまま信じるな。

◆不動産屋さんの営業マンと一緒に回ると、断りづらくなる。例えば4、5件付いていくと悪いという気分になる。
◆これまで3件、4件だけ体験して決めていたという人、最低でも10件。できれば15件見て回る。
◆ベッド、冷蔵庫、洗濯機、テーブルなどかさばるものはレイアウトされた状態をリアルにイメージする。
◆押し入れは、天袋の有無によって収納力が変わる。日常的な使用には向いていないが、季節用品などを収納するのに非常に便利。
◆風通しの良さは窓の大きさと数、換気口の数と大きさ、方角で決まる。窓の近くに立ってみる。
◆風通しの良さは夏場の冷却効果もある。ちなみに採光も風通しも、上に行くほど高くなります。

◆目からウロコの外見チェックポイント
⇒是非本を読んでみてください!!
◆洗濯機を持ち込む場合は、メジャーで防水パンの大きさを確認しておく。
◆部屋によっては携帯電話の電波の入りが悪いところもある。
シャワーやシンクの水圧も確認する。

第4章
◆分譲物件は壁の内側からの専有部分としているため、同じ面積でも賃貸物件よりも若干広くなるケースもある。
◆リロケーション物件:海外赴任、地方への転勤などの事情で、一時的に部屋を出た大家さんから借りる物件
◆コレクティブハウジング:世代を超えた他人同士が一軒家や集合住宅に住むという、世代を超えた積極的ルーシア
◆築20年以上経っている物件であれば、大家が原価を償却できている可能性があり、さらに交渉がしやすい
◆畳からフローリングに変更する費用は6畳でおよそ20から30万

第5章
◆保険は大抵不動産屋さんが提案してくれるが、その保険がどこまで保証してくれるか確認。
◆火災保険の場合は、火災のみの保証しかしてくれないが、住宅総合火災保険であれば火災、水害、風害などの天災や、水漏れなどの事故、盗難被害も対象になる。
契約書に捺印をしたらそこから先は契約後。
◆申込金はただ相手に預けただけのお金。預ける前も、預けた後も自分のお金。契約が成立した場合は、その
お金を全額、賃料に充てることができる。また、キャンセルした場合は、全額が自分のもとに戻ってくる。
◆礼金とはそもそも、戦中戦後に生まれた慣習。戦災で住む家を失い家を探していた人が、大家さんに月々の家賃を低く抑えてもらう代わりにお礼として支払ったことが始まり。
◆重要なのはサービスに釣られないことです。仲介手数料0.5ヶ月分にしても、いい部屋が見つかってこそのサービスです。

第6章
◆広さや設備が同じで、安く貸し出されているマンションと具体的な比較できると、説得力が強い。
◆更新期を迎え、新しい契約内容に納得できない場合には、契約更新という手続きそのものがなくても、借り手はその場所に居住する権利を更新できる。これを法定更新という。
◆入室時に念入りにチェックし、いつか来る退室のために多くの写真を撮っておく。

第7章
◆契約時間を過ぎてしまっても、退室の延長の告知をしておけば更新料を支払う必要はありません。
◆部屋をきれいに修繕して保っていくための出費は、基本的には大家さんが家賃の中で負担していかなければなりません
◆敷金の額に疑問があり不動産屋さんや大家さんにまともに掛け合ってもらえない場合、まずは書面でこちらの主張を相手に伝える必要がある。重要なのは、普通郵便ではなく内容証明郵便で送ること
◆60万円以下の金銭の支払いを求める場合、紛争の内容があまり複雑でないものであれば、民事訴訟の特別な手続きである少額訴訟手続きを利用するには、非常に有効である場合がある
多くの人にとっては、家を借りるということが、おそらく初めての契約行為になるかもしれません。つまり、家を借りる過程で、人生初めての交渉を経験し、自己責任で大きな決断をする。


2016年4月20日水曜日

日赤の経営改革~ボスコンの仕業?~

熊本地震の被災者の皆様におかれましては、
心よりお見舞い申し上げます。

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MEDIFAX 4.20記事
日赤、医療事業に本部制導入  機動力のある経営体制に

日赤が経営体制の改革を進めている。





丁度今この本を読んでいて、まとめにも着手を始めているのだが、
この本でボスコンが経営分析を行っているのが日赤グループの病院である。

コンサル屋さんらしくデータを駆使しながら、
医療業界に多い「思い込み」や「懸念」に対して反論し、
データに基づいた経営を推奨していくという内容である。

今回のこのニュースは「この本の延長線上の出来事なのかなー」
と私は思っているのですがどうなんでしょうか。

本を読んでアンテナが広がっていたため引っ掛かった良い例でした。
精進精進。



2016年4月18日月曜日

家を借りたくなったら 長谷川高1

長谷川高先生のシリーズ。
前回まとめたずっと「引っ越したい」あなたへへの全面改訂版。

一番なるほどと思ったのは、巨大リートが巨大大家さんということ。

不動産投資を考えていたときに、目をギラギラさせて、
長谷川先生の愚直でまっとうな不動産投資の本を読んだ。

私は読了してすーっと熱が冷めて、何かもう不動産投資は違うなと思ったのですが、
結局大きなリスク犯してローン組んで不動産やるより、「長期でリート買ったほうがサラリーマンには無難じゃないのか」ということ。本の中でもそんな話が少し出てきていた。

人口減少の時代、不動産投資はますます難しくなる。
そんな環境の中でプロで苦しんでいるのに素人がにわか勉強では難しい。
エージェントを作ろうとしてもたいした資本もない人間に振り向いてくれる可能性は小さい。
スケールメリットを生かす資本もない。

そもそも大量にお金を大量に稼いでどうするのか。
何でなんだろう。自由になるため?不安から開放されるため?
まだ全然深く考えられていないんですよね。

医療のことばっかり考えていたから、
思い込んで曖昧にしていたけど、もう少し自分の人生を考えないと。。。


第1章
◆努力した人が努力しない人より良い成績を収めることは、避けがたい事実。理想の部屋に出会うためにも同様。
◆1997年くらいから不動産ファンドや投資不動産投資信託、略してリートと呼ばれる存在がやってきた数兆円のマンション資産を持つ巨大大家さんが誕生している。
◆需要と供給のバランス崩れ、中長期的には、賃貸価格は下がっていくでしょうし、もう既に下がってきている。
◆優良物件の供給が増えれば見劣りのする物件は、当然賃料を下げなくてはならない。新たに建て替えるときも、もう安普請の木造アパートではだめ
◆分譲マンションの間取りと違い、賃貸物件の間取り図では現況優先という言葉がという文字がどこかに小さく入っているはず。実際と実際に訪れてみないとわからない。
◆賃貸事情が借り手に有利である以上、理想の部屋は必ず見つかる。
◆玉石混淆の情報の中からいい部屋を選び抜く見る目を養わなければならない。

第2章
◆不動産屋には借り手にとって有益な情報を丁寧に提供してくれるところと、大家さんにとって有益なところがある
◆扱っている物件はごくわずか、小さな間口で細々と営業している不動産屋に探し求めていた部屋が眠っているかもしれない
◆営業年数が長いか短いかは、掲げてある不動産免許見て判断する。免許番号の()が免許の更新回数を表しており、5年ごとの更新を繰り返してその数が増えていく。

◆内見も契約も、こちらのペースで進める。少なくとも4,5件しか見ていない状態で契約してしまうことはリスクが高い。
◆不動産屋さん訪れる前にはっきりさせておきたいのは、エリア、間取り、設備、賃料の基本条件。
◆不動産屋さんとのお付き合いの5か条【→是非本を買って読んでみて下さい!!】

◆元付けと客付けの図式。【→是非本を買って読んでみて下さい!!】
◆不動産業者と大家さんとの1対1の関係を選任媒介と呼ぶ
◆客付業者であっても元付け業者であってもサブリースであっても、部屋の良し悪しとは関係ない。ただ、元付け業者と直接交渉したほうが注文が比較的通りやすく、交渉がしやすい傾向がある。

◆不動産屋さんの店頭には、たくさんの物件情報。古いものからなんとか捌いていきたいというのは、スーパーの食品売り場の賞味期限と同じ理屈。
◆1年を通じて部屋が最も数多く空き、情報が豊富なのは、転居シーズンの1月から3月。特にワンルームや1K、1DKの単身者向けの部屋は、この時期に集中。
◆新築物件が出前のこの時期。大家さんはこの時期の完成を目途に着工するのが一般的。
◆1から4月上旬にかけて売れ残った部屋の価格改定が行われる時期は5から8月。賃料の相場も下がってくる。また不動産屋さんが忙しくないこの時期に探すことで、じっくり時間をかけるとができる。
◆不動産屋さんは引っ越す見込みのある人を優先する傾向がある。
◆6月後に空く物件情報というのはあまり出回ってないので、部屋探し3ヶ月前~2ヶ月前から始めるのが妥当。
◆マンションとアパートを分ける明確な定義は存在しない。つまり、不動産屋さんがこれはマンション、こっちはアパートと区別している。
◆肝心なのは、チラシや間取の情報鵜呑みにしないこと。



2016年4月13日水曜日

竜馬伝1

最近も1日1話ずつ大河ドラマを見る生活を続けています。

現在は龍馬伝を見ています。

福山雅治さん演じる坂本竜馬がだんだん成長していく様はまさに覚醒。
いろんな人と出会い、学んだことが一つになる戦中八策のシーンはまさに鳥肌。



時代の変革というテーマの部分もとても面白いのですが、
今日は私がとても好きなシーンを紹介します。

竜馬は土佐藩(今の高知県)出身でした。

当時、土佐では武士の中でも上士(関が原で徳川方だった山内家の流れ)と下士(豊臣方だった長宗我部家の流れ)という身分差別がありました。竜馬も下士でした。

竜馬には幼馴染がいっぱいいて、その中に武市半兵衛だという人がいました。

彼は優秀な人で、土佐勤王党という「尊王攘夷」を掲げる団体を組織し、地元の下士達を束ね上士を圧倒し、藩の実権を握るまでになりました。そして最終的には上士に取り立てられるまでになりました。

しかし、徳川幕府が徐々に力を取り戻し始めると、武市半平太は吉田東洋という藩の重役を暗殺し、藩を勝手に動かした罪で投獄されてしまいます(この辺の史実はよくわからんです。ドラマではこう。)

そして投獄される朝、奥さんと朝ご飯を食べていたところ捕縛されてしまい、後に切腹させられます。

その時に武市半平太のエピソードとしてこういったものが出てきます。

半平太の妻にはなかなか子供ができなかった(最後までできません)。
その時代であれば子供ができない女房は追い出されてしまう。
半平太の妻は一時里に戻り、代わりの美女を送り込みます。
しかし半平太はいっさいこれに手をつけず、それではと別に派遣された女性にも全く手をつけませんでした。

そして何故だろうと帰った妻に、半平太が一喝。

「つまらんことをすな」

このエピソードはとてもいいなと思いました。
私も自分の妻にはそう言ってやりたいですわ。
武市役の大森南朋さんもとてもいい味出してます。

あと曲めっちゃいい。
竜馬伝、レンタルビデオ屋にもあるはずです。是非。


2016年4月12日火曜日

本まとめ その1集

まとめた本について、「その1」のまとめです。
ざっくりしてるんで、増えてきたら適宜分類します。

◆哲学・社会学
生き延びるためのラカン 斎藤環
変化の原理 ワツラウィック
千のプラトー ドゥールズ&ガタリ
ケアの本質ー生きることの意味ー ミルトン・メイヤロフ
利己的な遺伝子 リチャード・ドーキンス
哲学入門 ヤスパース
方法序説 デカルト
納棺夫日記 青木新門
静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛 他

◆経済・官僚
竹中先生、日本経済 次はどうなりますか?  田原総一郎 竹中平蔵
「日本経済こうすれば復興する!」 竹中平蔵
さらば財務省 高橋洋一
ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義  藤野英人
ナニワ金融道 ゼニのカラクリがわかるマルクス経済学 青木雄二
ナニワ金融道 スーパー不況を乗り切るゼニの実学 青木雄二

◆経営学
サイゼリヤ革命 出口芳生 
チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一
チェーンストア経営の原則と展望 渥美俊一
起業のリアル 田原 総一朗
ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録 

◆政治学
若者のための政治マニュアル 山口二郎

◆国際社会
アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ モフセン・マフマルバフ
レアメタル超入門 中村繁夫

◆不動産
ずっと「引っ越したい」あなたへ 長谷川 高
家を借りたくなったら 長谷川高
お金を生み出す家を買いたい! 長谷川高
愚直でまっとうな不動産投資の本 長谷川 高
新版 家を買いたくなったら 長谷川高
はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光

◆啓発
武器としての決断思考 瀧本 哲史
ザ・ラストマン-日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」- 川村隆
野村の流儀 野村克也
大局観 羽生善治
人間における勝負の研究 米長邦雄
戦略的上京論 長谷川高
新・資本論 堀江貴文
チャンスがやってくる15の習慣 レス・ギブリン
こうすれば必ず人は動く  カーネギー
人に強くなる極意 佐藤優
30代にしておきたい17のこと 本田健
イギリス式お金をかけず楽しく生きる 井形慶子
自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー・インスティチュート
モチベーション革命 尾原和徳


◆テクノロジー
医と人間 井村 裕夫 他
レアメタル超入門 中村繁夫
先生、それって「量子」の仕業ですか?  大関真之

◆AI
AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である 成毛眞

◆生命保険
生命保険の罠 後田 亨
生命保険のカラクリ 岩瀬大輔

◆医学史・優生学・障害学
医学の歴史 小川鼎三
“いのち”をめぐる近代史―堕胎から人工妊娠中絶へ 岩田 重則
優生学と人間社会
日本の看護のあゆみ 日本看護歴史学会
文明と病気 上 シゲリスト
文明と病気 下 シゲリスト
障害学への招待 長瀬修他

◆医師会
医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊
世界医師会長マイケル・マーモット日本講演書き起こし

◆医療経営
BCG流病院経営戦略 植草徹也他

◆地域医療
次代を担う医療者のための 地域医療実践読本  中根 晴幸

◆医療政策
行列のできる審議会~中医協の真実 新井裕充

◆小説
「波の音が消えるまで」上下 沢木耕太郎
陸王 池井戸潤
1Q84 村上春樹
ライ麦畑でつかまえて サリンジャー(野崎孝 訳)
服従 ミシェル・ウェルベック
もう、きみには頼まない-石坂泰三の世界- 城山三郎
マネーボール マイケル・ルイス
葉山 嘉樹 セメント樽の中の手紙


◆論文リンク備忘録
障害と社会モデル関係

◆雑記・趣味・その他
胃カメラ&ピロリ菌駆除

◆酒
日本の酒 坂口謹一郎
世界の酒 坂口 謹一郎
ベルギービールという芸術 田村功
ビール職人、美味いビールを語る  山田 一巳 古瀬 和谷


◆書評本
「知的野蛮人」になるための本棚 佐藤優

◆歴史
「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 磯田道史


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ずっと「引っ越したい」あなたへ 長谷川 高 3

ラストです!
その1
その2

第2部
theory1
◆借地借家法では、新たな契約を結ばなくても、賃貸借契約自動的に更新される。新しい契約内容に納得できない場合には、手続きがなくても、借り手はその場所に居住する権利を更新できる。これを法定更新という。
◆法定更新は保証された権利。ただしその物件に住んでいて、賃料を滞納することなく支払っていることが条件。不動産屋や家主との関係が悪くなることはあっても無理に追い出されることはない。
◆更新料の目的の1つは、家主もしくは不動産屋と良好な関係を築くためという見解がある。法定更新をするとこうした関係が失われる覚悟が必要。
◆数回引っ越しをするのと数回更新をするのでは100万以上の貯金の差がでる。良い家を見つけるべき。
◆賃料には出し値(表示価格)と決まり値(取引価格)があり、同じとは限らない

theory2
◆契約前のお金のやり取り自体が宅建業法違反となっている。
◆礼金・手数料が値引けない代わりに、敷金を1ヶ月分に減らすという代替案は、敷金が戻ってくるという性質を踏まえればメリットが少ない
◆賃料の他に管理費・共益費などがくっついている場合、当然これもあなたが毎月支払うが、基本的には家主の収入ではないため、管理費(管理会社の収入)の値下げは提案できない。

theory3
◆借地借家法は、借家人にとって「不利な」契約内容を全て無効とする
◆水漏れ事故やボヤを起こしても、出て行かなくてもいい。隣人からのクレームがついた場合でも、単身用のマンションに2人で住むようになったとしても、あなたの住む権利は守られる。
◆契約期間満了までは一方的に解除されることはないが、賃料の滞納があったり、身分などの偽りがあったりした場合は例外。
◆借地借家法では、借り手は強制的に退室を命ぜられることはないので、退室日が過ぎてしまっても、あなたは前物件に残ることができます。

theory4
◆原状回復義務とは、契約時にあなたが書いた状態と全く同じに戻すという意味ではない。
◆借り手には、借りたものを注意して使うという善管注意義務と、借りたものを大切に使うという保管義務がる。この2つの義務を果たせなかった場合に、生じた傷や汚れについて現状に回復しなければならない。
◆敷金が返ってこない2つの理由
・あらゆる場面において、あなたが善管注意義務と保管義務を怠っている場合
・家主が敷金を減価償却費と維持管理費には出ている可能性。言い換えれば敷金をだまし取られている状態
◆入居時にとっておいた写真は非常に役に立つ。責任のない傷や汚れに関して回避することができる。

theory5
◆家主の修繕費水増しを防ぐためにも、修繕費用はいくらかかるのか、などの予備知識を身に付けておく必要がある。
◆法律では賃料を敷金で相殺することはできないと定められているので、前入居者の不当請求や、周辺住民の敷金トラブルなどの例を出し、そうするだけの理由があることを告げておく必要があります。
◆戻ってきた敷金に疑問点があり不動産屋や家主にまともに掛け合ってもらえない場合、まず書面を使う。
◆重要なのは普通郵便ではなく内容証明郵便で送るということです。
◆少額提訴。しっかりと証拠見せて、裁判官にあなたの言い分の正しさ評価してもらうわなければならない。少額裁判場合は、判決に不服だったとしても上訴することができない。
◆全面敗訴か一部敗訴の場合のみ1回だけ2週間以内に申し立てをできる。2週間を過ぎた場合には判決が確定する。
◆意義申し立て書を作成し、同じ簡易裁判所に提出する。手数料300円で、収入印紙で納める。


2016年4月11日月曜日

ずっと「引っ越したい」あなたへ 長谷川 高 2

その1

step3
◆複数の不動産やからまずは情報集め、ある程度絞り込む。物件情報はあればあるほどいい。気に入りそうな部屋があればすぐに不動産屋に連絡してメールで送ってもらう。
◆最初はできるだけ不動産屋から集めた複数の部屋をまとめて見て回る。最初はできるだけ不動産屋の同行なしで見に行くことが大切で、効率的。
◆まずはその地域を歩いてみて、周辺環境の様子を把握する。
◆キッチンやバスルームなどの狭い部屋では、実際そこで生活しているように動き回る
◆間取り図やはあくまで参考資料
◆平均的な間取りと広さの関係は、1Kで
約20平方メートル、2DKで40平方メートル、3DKで50平方メートル。
◆同じ面積であっても、正方形に近いほど広く感じられ、間口の狭い長方形の部屋は狭く感じられる
◆間取り図が全て正しいわけではない。東南東(ほとんど東)あっても、南向きとされることもある
◆太陽は南に移動するほど高くなるので、日当たりという面で真南よりも東南の方が上
◆採光も風通しも、1階より2階、3階よりも4階と、上にいく程良い。賃料も基本的に同じ
◆静けさのレベルは隣人によって決まる。隣の部屋の前に三輪車があれば、それはわんぱくな子供がいるサイン。
◆隣は良くても上の階の足音がという事もある。

step4
◆洗濯機持ち込む場合は、メジャーで防水パンの大きさを確認しておく
◆実は木造でマンションとうたっている物件はある
◆家主は慈善ではなくビジネスとして物件を貸し出している
基本的には、条件がいい部屋が安く貸し出されるということはありえない。
オススメ、格安ということと住みやすいということは必ずしも結びつかない

step6
◆分譲マンション自らの住まいとして購入した人が、大家として賃貸に回す間は基本的には築年数の古い物件が中心。何年かは賃貸を禁じている分譲マンションも多いことによる。
◆探し方としては、賃貸だけでなく、売買の仲介にも力を入れている地元密着系の不動産屋で見つけることができる
リロケーション物件とは、海外赴任、地方への転勤などの事情で、一時的に部屋を出た家主から借りる物件。購入者が個人的に賃貸している。基本的には2 LDKなどのファミリータイプが多く、構造や設備面に優れているものが多い。

step7
リフォームの費用の支払い方は、業者によって前払いや一部前払いを否定するところもある。
先に全額払ってしまうと、後期が遅れたり、工事の質が落ちたりする可能性がある。
一方で、いくらかの前金がないと受注してくれない業者が多いのも事実です。できれば前金は2割程度、多くても半分以下に抑え、すべての工事が滞りなく終了したところで残りを支払うようにする

その3


2016年4月9日土曜日

ずっと「引っ越したい」あなたへ 長谷川 高 1

2004年初版。

並行して買った「家を借りたくなったら」は、この本を全面改訂したもののよう。
どちらか読んでいればOKだと思いますが、復習・定着の意味も込めて両方読みました。
重複しますが両方まとめていきます。

7月に部屋を借りようと思っているので、とても参考になります。
是非読んでみてください。
その視点で数回に分けてまとめます。
一番後悔しているのは今借りている部屋の写真を入居時に撮っていなかったこと。

また、前回「愚直でまっとうな不動産投資」をまとめた時に、
著者の長谷川高さんがtwitterで呟いて下さいました。
そのため医療本まとめブログなのに、不動産投資がアクセス1位に。笑
改めて御礼申し上げます。ありがとうございますm(_ _)m


第1部 step1
◆いい部屋を探すためには、あなたにとってどんな部屋がいい部屋なのかを明確に
◆部屋を見る際にはまず、何が足りないかを見つけ出す。欠点を見つけ、100点から減点していく。すると、いい部屋だと評価できるものは案外少なくなるはず。

◆需要に対して、供給が溢れ、探せば探すほど希望を満たす部屋と巡り会えるチャンスが大きくなり、探し続ければ、理想の部屋が見つかるようになった。
◆本気で探すだけの価値がある時代
◆ここ数年賃料の下がり方が鈍くなっているが、需要が持ち直しているわけではなく、これ以上下げるとビジネスとして成立しなくなるため踏ん張っているということ
◆情報のなかには、実際には存在しない部屋が含まれている可能性もある。餌を使って、あなたをとりあえず来店させようとしている。
◆理想の部屋を見る見つける人は、見る目ができてから部屋を決める。同じエリアで10件以上見れば身につけられる。

step2
◆きれいな不動産屋と古めかしい不動産屋は両方行くべき。
◆不動産屋にとっては借りてもお客様ですが、家主もお客様です
◆手数料不要などのサービス合戦が始まった背景は競争激化

◆お宝という思えるようなローカル物件は、インターネットにも情報誌にも載っていない。
焦りは禁物。いい部屋はまた出てくる。
◆先に条件の悪い物件を見せて、その後で本目の物件を見せることで、本命物件の印象良くすることもあります。(当て物)
◆不動産屋は借り手の性別や年齢をパターン化して、とりあえず気に入りそうな物件を紹介するという流れ作業やりがちです。条件があまりにも細かいと、不動産屋はまずこれからやる。
◆繁忙期に引っ越す必要がない人、特に新築にこだわらない人は、あえてオフシーズン(5月から8月、10月から12月)を狙ってみるという手もある。
◆1~4月上旬にかけて売れ残った部屋に関して価格改定が行われる時期は5から6月です。賃料の相場も下がってくる。また、不動産屋は忙しくないこの時期、じっくり時間をかけることができる。
◆不動産屋訪れる理想金曜日。土日に紹介するために用意した情報が豊富。

その2



2016年4月7日木曜日

財務省支配の裏側 中野雅至 3

ラストです!

その2 ←個人的には2章がためになりました。


第5章
◆財務官僚だけでなく、日本の官僚全体、特に幹部クラス見えることだが、どうも都合の良いノブレス・オブリージュと単なる公務員の使い分けを感じる。政策の失敗があっても責任を取らず、「私は公務員ですから」という言い訳が多い。
◆議員内閣制の下では役所や官僚の力は非常に限定されている。おそらく財務省含めて大半の官僚はそれを実感させられることが多い。
◆財務省は公共事業などの箱物バッサリと切り捨てるのではなく、ごり押しする相手側の族議員や官庁の顔を立てながら仕事を処理することで貸しを作る。

◆予算編成権と査定とは何が違うのか。各省から予算要求を聞き、その必要性や無駄を発見しながら予算案を取りまとめていくのが予算の査定。予算を作る時の基本方針が予算編成権。
◆国家戦略局が予算編成を含めて国家戦略全体を作ってしまうと、財務省は単なる予算屋に成り下がる。そのため予算編成権を頑なに自分たちのものにしようと行動する。

第6章
◆激しく揺れる民意とマーケットのうねりの前では、既存の政官など取るに足らないものなのかもしれない。
◆実際、非正規雇用が多いと叫ぶ割には、日本人は格差是正にはっきりしたスタンスを示さない。民主党政権の誕生にしても何を期待したのか分からないところがある。
◆政治家がすべてひっくり返す腹がないだけだ。あるいは、ひっくり返そうとする政治家の足を引っ張る政治家やマスコミが存在するからだ。
◆ポピュリズムの伸張から独裁を憂う意見が多いが、敵を攻撃して変幻自在に成長進めようとするポピュリズムも4年に1度の選挙は否定できない。それは民意を重視するポピュリズムの自己否定につながる。
◆現在、公務員の多くは身分保障と高い給与で批判されているが、自衛隊や、消防、警察など住民にわかりやすいサービスを提供する公務員は褒められる方向にある。3·11の震災は特にそうだ。彼らが自らの肉体で示す公は実に分かりやすい。


2016年4月5日火曜日

財務省支配の裏側 中野雅至 1

何かダラーッとした文章で、
どっち付かずで擁護したいんか批判したいんか。
まぁでもこんな感じよね。現実ってのは。

よく分かったことは経理と人事がどこの世界でも大事で、国家規模なだけなんだなと。




○同じ財務官僚でも、経済職で入った人と法律職で入った人では経済に関する知識やスタンスが微妙に違う
○不良債権の処理で銀行がどれだけの負担をすべきかか議論となる中住専に多額の資金を貸し付けていた農協系金融機関の負担の少なさが問題となったが、大蔵省銀行局長と農水省経済局長が負担を軽くするような覚書を交わしていたことが発覚した。
○戦後主流だったのは官僚優位論である。東京大学の辻清昭教授が代表的学者。
○プリンシパル・エージェント理論
  プリンシパルとは主人、エージェントは召使だ。仕事に置き換えると、働きたくない上司は嫌な仕事を部下に押し付ける。上司は仕事をサボれると喜ぶが、やがて部下は仕事にどんどん詳しくなっていく一方、上司は仕事が分からなくなり、部下にコントロールされるようになる。ここから、重要な仕事やモニタリングできないような仕事はエージェントに任せてはいけない、というのが教訓。
○官僚が苦手とする国会議員や大臣は、官僚出身者であることも案外多い。官僚のやり方思考嫌がることを全てわかっているから。

第二章
○財務官僚は情報量、質を操作することで、目的を実現しようとする
○情報操作とは、大臣に必要な情報を提示しなかったり、逆に、仕事への意欲を削ぐほどの大量の情報を提供したり、情報源を基盤に大臣を揺さぶろうとする
○霞ヶ関文学では、やるといったときには「それだけをやる」ということで、反対解釈でそれ以外はやらないという意味になる
○1980年代までは、政治家がテレビや新聞で公然と官僚批判することはなかった。
○1990年代後半以降、ワイドショー政治と言われるように、テレビを通じて政治が身近になり政治家が頻繁にテレビ出演番組に出演するようになったこと、あるいは無党派層が増えて世論に訴えかけることが何よりも重要になってきた
○政治家はテレビで堂々と官僚批判できるのに対して、官僚がテレビで表立って反論することなど不可能だ。
官僚がいない場で、政治家や評論家が官僚の悪口を言い続ける欠席裁判もののテレビ番組がよくあるが、官僚が政治家に反論している番組などまず見ない。
○官僚がテレビ番組に出演しないのは、
 1.テレビで与党政治家に逆らえば人事で報復される恐れがある
 2.中立性ノイズなども服務規定の観点から問題される可能性がある
 3.官僚特有のメンタリティーとして目立ちたくない
○小沢は気に食わない記事が新聞に載ると、たとえ事実関係が間違っていなくても抗議する。取り巻きを引き連れて自ら乗り込み、社長や役員、幹部との面会を求めることもあった。
○これでは面倒臭くなり、批判する相手の性質がマスコミ報道に大きな影響及ぼしていることがわかる
○たとえ官僚が記者クラブや新聞紙面の見出しをうまくコントロールできたとしても、捜査情報などを圧倒的に支配している警察、検察を除いては、その他の官庁が巧みに情報操作できるとは思えない。
○民主党政権は弱体化するにしたがって、政権を再び霞が関に丸投げするようになる。
○民主党は菅財務相が持つ様々な情報網依存するようになるとともに、財務省も本来は政治家行うべき調整にまで介入するようになる



財務省支配の裏側 中野雅至 その2

その1はこちら


第3章の見方はとてもためになった気がする。
特に新自由主義の打ち出す政策はシンプルになり、分かりやすいので納得がいった。

社会福祉の厚い政策などはステークホルダーが多くなるし、複雑な構成要素が増えていくので政策とし辛い。
だからこそ官僚や県庁職員の調整力が生きてくるわけで、そこに存在意義が生じるわけだ。

財源が必要→予算の専門知識が必要→財務省への需要という図式も納得できる。



第3章 ◆昨今の財務省支配論をめぐる報道はあまりにもバイアスがかかっていることが多い。
◆財政等審議会の委員数が限られている以上、増税論者のすべてを財政審の委員にすることなど不可能。
◆財務省が民主党政権になって復活を果たした最大の理由は2つ。
 1:マニフェストの実現と無駄の削減を最重要課題としたため、最初の予算編成を中心に財務省に依存せざるおえなかった。
 2:自民党の族議員が多数落選して、族議員と各省のセクショナリズム共同体が消滅した。
◆族議員は強く、予算を握られているためどこの役所も財務省に頭を下げるが、財務官僚が予算を自分の好きに差配できるというわけでもない。

◆予算編成のおおまかな流れ
 予算編成の方針決定
各省で予算作業から開始
→財務省予算請求
→財務省査定
予算案の確定
→国会審議
→予算案の成立

◆民主党議員政権が誕生したことで族議員の多くが落選した。それに加え、民主党は族議員と連携していた公共事業関連の役所を徹底に叩いた。背後にいる業界団体の力は落ち、財務省にとっては絶好の機会となった。
◆官僚は明らかに竹中大臣のようなブレーンを見下していたが、新自由主義と言われる市場メカニズムや規制緩和を中心とする政策はそれほど複雑にならないため、現場を知らない学者が政策を作ることができた

◆自民党政権時代には大まかに言えば、2種類のブレーンが存在した。
 1.御用学者と言われる人々。超一流大学教授で学会の重鎮というのが典型。実務能力はないが、その意見には重みがあり、役所が進めようとする政策の権威付けには有効。
 2.小泉内閣以降、急速に増えた新自由主義的な思想を持った経営者や学者などで、御用学者とは違う人々。彼らは御用学者とは異なり、実務経験があったり、実際の社会政策を適用すること興味思ったりする人が多い。東大出身は少ない。

◆財務省の天下り先だけは、自分たちを所管する独立行政法人だけではなく、他の役所が所管する非営利法人にも及んでいる。さらに言えば、総理書記官をはじめとして官邸の主要ポストも。
◆財務省は総務省行政管理局管理官と言うポストを抑えている。このポストは全省庁の定員を査定する権限を持っている。そのため、どこの役所も人数を増やしてもらおうとひたすら頭を下げる。
◆人事院の給与第二課長のポストを抑えている。ここは級別定数を決める権限を持つ。級別定数とは係長何人、課長補佐何人、課長何人というように役職ごとの定数。

◆財務省コネクションの最大の特徴のコツは、コネクション築いている相手に大物政治家・有力者が多いということ。特に政治家には有力者が多い。元来、財務大臣が首相の登竜門であるため、財務省と懇意になることは、そのまま総理と懇意になることを意味する。
◆官僚は、自らのゴマすりや献身的な姿が大臣などの政治家に響くことをよく分かっている。ゴマすりの効力は学歴と関連する。東大卒のゴマすりが最も効果が大きい。

◆財務省は、それぞれの官僚の持ち味を見極め役割を果たさせながら、じっくりと人材を育てている。また、それだけ人材活用に余裕がある。厚労省も含めて、他省はそんな余裕のある人材活用しない。財務省の場合には適度に休み与えるなどの上手い活用をやっているように思う。
◆経済官僚の場合だと、彼らは財務省と同等だと思っているだけでなく、自分のアイデアを優れていると思っているため、そのアイデアに予算をつけないことを含めて何かと恨みを持っている。
◆国税庁長官は財務官僚のポストだが、国税庁は独特の採用をしていて、財務省の完全な植民地というわけでもない。キャリア官僚も財務省とは別採用になっている。ましてや現場を財務本省がコントロールできるとは想定できない。

第4章
◆民主党政権にとって予算を作るという仕事は重要性が高かっただけでなく、経験もないために、財務省に依存せざるを得なかった。
◆民主党が掲げたマニフェストは財源を要するものが多かったが、制約があるため、経験や知識がなければ予算が組めなかった。
◆内閣に予算編成権を移すといった改革案は目新しいものではないが、いまだに実現したためしがない。
◆財務省支配という言葉が出てくる背景には、民主党政権への不信感がある。

◆例えてみれば、君主見習いの若殿に優秀な側用人や御用学者が日々、財政や税、政権運営を講義するようなもので、若殿に見識がなければ、側用人の思想や考え方に大きな影響受けることは避けられない。

◆事業仕分け進めていけばブーメランのように財務省自身に痛みが帰ってくるため、財務省はどこかで厳しい規制を緩めるようになった。
◆消費税を税務署に収めるのは消費者自身ではなく事業者であるため、価格に消費税を転嫁できなければ業者が消費税分を負担することになってしまう。