2017年8月18日金曜日

文明と病気 下 シゲリスト その1

下巻、やっとまとめます。

上巻その1
その1

上巻ラスト
その8

◆病気は人体に起こり、ある機関に局在するが、どの機関も互いに関連があって、1つの有機的な全体を形作っているから、犯されるのは常に全体である。そして体と心が1つであるから、病気は肉体的ばかりではなく、精神的にも経験される

◆多くの部族の薬物の知識は全く広範囲であった。しかしこれらの一見合理的な治療法は術的な儀式の一部として用いられたのである。薬は薬として作用したのではなく、薬を授ける儀式、それに唱える呪文が薬に病気を治し苦痛を和らげる力を与えた。

◆医学の歴史においても紀元前6世紀は、転回点である。健康と病気の本質を解釈しようと努力する医学の合理的な体系が発展した
◆合理的な医学は発達したものの、宗教的な医学、それに技術的な医学さえもが決して滅びなかった。原始的な医学の要素は皆今日まで幾百年、幾千年も生き延びた

◆自然あるいは社会の大変革時のように神秘哲学が支配しているときには、宗教的な医学と呪術的な医学が指導的な立場に立った。恐怖が理性を押し殺し、民衆は原始的な段階に立ち返り、自分を脅かしている災いを呪術の方法でそらそうと努める
◆暗示とか自己暗示がある種の病気の症状を除き得る事は疑いがない。信心、宗教上の熱烈な緊張は治療に最も好ましい心の状態を生み出す。

◆伝染性の病気であるいぼは暗示に非常に要因に反応することはよく知られている。したがっていぼはあらゆる種類の治療礼拝に非常に頻繁に登場する
◆不愉快な経験はしまい込まれるが、愉快な経験は長い間記憶されるように、失敗はすぐ忘れられ、治療が成功すると注意して記録されている。

◆キリストの時代にはどの礼拝においても病人の治癒は重要な役割を演じていたから、新しい宗教は、同じように奇跡の地位を約束しない限り、それと競争できなかった。福音書は多数の治療を物語っている。
◆時々キリストは奇跡の治療の典型的な仕草である手を触れることによって民衆を直した。
◆ペテロやパウロや他の使徒は同じ治療を行った。彼らは神の力の最も強力な実証と考えられ、異教徒の改宗に重要な役割を演じた。

◆ギリシアの医学は異教徒の技で、初期の教会では相手にされなかった。紀元前2世紀にはガレノスのキリスト教徒の学生は破門された。しかし漸次和解が生じた。
◆マリアには治療の能力があり、そのためフランスだけでも約40の教会がマリアに捧げられた。
◆聖人は漸次特定の病気の場合にその助力が求められる専門家となった。

◆宗教的な医学は新教内で各種の方法により組織され、信仰による治療の望みを強調したいいくつかの教会が現れた。その中で最も普及しているのはいわゆるクリスチャン・サイエンスで、それはメリー・ベイカー・ エディによって創始された
エマヌエル作業健康学級:この運動は決して科学的な医学に対立するものではなかった。それどころか、それは一流の医師と協力し、医師は患者を検査した後そこへ入れた。別の言葉で言えば、それは医師に代わって牧師が行い、宗教的な要素を用いた暗示を主とする心理療法であった。多くの神経症の患者がこのような方法で治り、あるいは少なくとも病状が好転した事は疑いがない

◆医学が病気を根絶すると言う目標に到達しない限り、常に奇跡を信じて宗教あるいは呪術にさえ助けを求める患者がいることであろう

つづく
その2
 

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