その1
◆脾臓肥大は慢性マラリアの一症状であり、その恐ろしく肥大した脾臓を肝臓よりももっと容易に触れることができたであろう
◆四体液の学説をガレノス、さらにアラビア人、特に11世紀初期のアヴィケンナがいっそう発展させた
◆ガレノスは薬物を性質の違った四群に分け、各群はそれぞれ強さが四段階に分かれていた。彼の体系は医師にはっきりした指示を与えたから、アラビア医学においても西欧側の医学においても、中世に非常に広く用いられた
◆人によって血液、粘液及び黄胆汁がそれぞれ生理的に優勢を占めるものと仮定され、アラビア人はそれらをそれぞれ多血質、粘液質及び胆汁質型と記述した。これらの見解は長い間存続し、それを知らなければシェイクスピアの劇を理解できない
◆古代には科学、すなわち高度に発達した数学、物理学、天文学が存在し、また生物学において科学的な実験が行われたが、健康と病気の解釈には、科学的な手段が手元になくて、これらの現象を理解したいという望みは哲学的な思索によって叶えられた
◆パラケルススは病気の仕組みを説明することで満足しなかった。彼は人はなぜ、そしていかにして病気になるかを知りたいと思った。彼は1冊の本の中でこれらの問題を論じ、それにからパラミルム篇と言う不可解な題をつけた。それは5つの生活界すなわち健康と病気における人間の生活を決定する5つの領域を取り扱っている
◆ラヴォアジエが科学に量的な方法を導入するまでは、生理学を化学的観点で正確に説明するのは不可能であった。
◆医学は非常に徐々に進歩し、無限に多くの問題が未解決であったし、今なお未解決で残されている。これは大変不満足なことで、したがって医師は常に自分の科学的知識を哲学的な思弁によって補う傾向があった
◆民衆はいつも性急であったし、自分らの知識で説明できなかったものを説明する概念を作り出してきた。アリストテレスは生命を持っている自然物とそれを持っていないものを識別した
◆ドイツ医学は着実に、まっすぐ発展したのではない。いつもそれは一極端から他の極端へと動いた。これはその弱点であると同時に、またその長所でもあった
◆国の政治哲学がその科学に大きな影響を及ぼすことを歴史は我々に教えてくれる。医学は理性的な問題であり、したがって中世、ドイツロマン主義の時期、それに今再びファシズムの下におけるが如く、基礎となる哲学が神秘的であるときに、医学は栄える事はできない。
◆ファシスト国家において医学を崩壊から救ったものは、その帝国主義的プログラムであった。現代の戦争は高度に科学的な実験であって、医学のあらゆる手段を必要とする。
◆総力戦を準備する必要から、ファシスト医学はある程度地に固着し、神秘的な思弁の中に自己を失うことなくてすんだ。
つづく
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