2017年2月19日日曜日

次代を担う医療者のための 地域医療実践読本  中根 晴幸

埼玉県さいたま市で在宅医療を行っている「医療法人明医研」を経営する中根先生。

元々はさいたま市立病院で地域開放病床などの立ち上げに貢献されていた方ですが、
課題を感じて市立病院との地域連携を見越した位置に診療所を開設。

在宅医療にも積極的に取り組み、
外来にも力を入れつつ地域医療に貢献されています。

患者さんに最も身近であるかかりつけ医が質を高め、
病気を見逃さないという姿勢に感銘を受けました。
もし自分がかかる場合もこちらにかかりたいと思う。
逆にこういうモデルが身近に広がって欲しいと思いました。

「医療者のための」という冠が付いていますが、
リアルな症例数がいっぱい載っていて、
現場感覚が無いと悩んでいる事務官などにもおすすめ。

あと衝撃だったのは、在宅専門の医療機関が、
軽傷の患者さんだけ診て、
ちょっと重症の患者さんがいると救急車を呼ぶということ。

在宅専門の医療機関は28年度改定で締め付けられましたが、
まだまだ動向を見てみる必要がありそうですね。。。

以下は私的メモです。
抜き書きではないです。

◆在宅:病院では対応しきれない医療
◆高度医療でも治し切れない→強化された在宅が必要
◆地域包括ケア:いかに地域の中で医療とケアを最小限の社会負担で提供するか
◆在宅医療は生活支援という異領域への医師への呼びかけ
◆専門家は一生懸命その病気を治療をしても別の病気を見逃してしまう
◆総合診療医の役割を果たすかかりつけ医を持つ
◆在院平均日数の短縮⇒まだ治療の必要がある状態での退院
◆フランスでは基幹病院に入院すると同時に入院計画が立てられ、振り分けられ、退院先が決まる
◆患者が受診先を決めるのは不合理⇒総合診療医が必要

◆看取り件数などは指標としては分りやすいが、数字に表れない熱意も評価されるべき
◆数字の後ろには苦しんでいる人達がいる。
◆在宅以外でやっていける医療機関では、在宅に行かない医師も多い

◆尊厳死とは医療を断ることではない
◆医療とは自然を乗り越えることのはずだ
◆IVH(TPN):中心静脈栄養法 CV:中心静脈

◆開放型病床と運営(そのやり方は誰のため?患者のためになっているか?医師の勉強のため?)
◆開放型病床は入口である出口である

◆地域包括ケア⇒目標はあるけど、具体的に何をやっていいか分らない状態になっている
◆病院が在宅に出すオーダー内容は病院でしかできない場合がある
◆在宅は、在宅医の高齢化と若手医師のやりがいの問題がある

◆医師の往診と同一日には訪問看護が入れない診療報酬体系
◆在宅でも介護が主体の症例と、医療が主体の症例がある
◆診療と病院のタイミング観の違いがあり、調整が必要

◆診療所でなければできない医療
 ①病院の延長の医療
 ②回復不良
 ③ニーズの多様化
◆多床室では睡眠が妨げられる
◆回復期には特別な医療は行われていない
◆市立病院との連携を見越した立地
◆急性期の看護師は退院をゴールと考えがち
◆浦和方式
◆治りきらない病気は多い

◆IVHは患者からの満足も高いが、消耗器材も薬液も高価すぎる
◆質が高いということは新しい設備ではない⇒清潔さや精確さ
◆在宅専門が急変時に救急車を呼んでしまう
◆材料の調達、管理が大前提
◆服薬指導の効果

◆薬剤師がマットレスなどの福祉用具専門相談員を取得
◆多機能薬局
◆多職種連携は医・看・薬と連携病院。そこができてからコメディカル。
◆柏プロジェクト⇒社会学的な起点

◆総合的な力がない診療所は地域では役に立たない
◆定期的に専門医を招いてフォロー
◆病変を早期に診断できる機会が増えた
◆地域で日常的に医療を必要としている人たちは、ほとんどが外来患者
◆まず外来で患者をしっかり診ていること、それによって地域との結びつきができていることが大切
◆在宅専門は高額な初期投資が不要、スタッフを集めやすく企業として魅力があるに違いはないが…

◆病院主治医が多忙の中で専門領域以外のがんを見逃すことはあり得る
◆かかりつけ医の責任領域
 ①がんを見逃さない
 ②認知症のエキスパートになる
 ③フレイルの人々を守る
◆医師が勉強し、経験して知っていることを役立てるのは医師なら当然

◆安心できる医療環境づくりは行政の責任
◆治せる肺炎は治せる社会であるべき
◆新しい医療を地域に届ける
◆これからの時代には、必然的に多職種が連携する医療が求められる




///////////////////////////////////////
◆Line@ 
ブログの更新をお知らせしたり、
ブログとは別にリアルタイムで良いことつぶやきます。
直接やりとりしたり、勉強しながら、一緒に精鋭になりましょう!
@zvf9388t で検索!(必ず@を入れてね)


line://ti/p/@zvf9388t

◆ブログ◆
文系医療の本棚~本を読んでまとめる~

◆twitter◆
文系医療チームの本棚bot 塚崎匡平


◆facebook◆
塚崎匡平

3 件のコメント:

  1. いつも紹介してくれる本のレビューを楽しみにしています。地域医療実践読本、購入してみます。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます!
      地域医療実践読本、私の本ではありませんが、読んだら是非感想等々お待ちしています。笑

      削除
    2. MMAわたなべ2017年6月28日 8:39

      塚崎さんのまとめはまさにナレッジマネジメントになります。2025年・2035年問題を踏まえて益々在宅患者数が増加する中で、受け皿となる在宅療養支援診療所の質が問題になってくると思います(まだ患者・利用者およびその家族も高齢化・介護・看取りの希望などもっと積極的に参画してく必要性もあり)。
      さいたま市・在宅医療で検索すると明医研はTOPの方ででてきます。政令指定都市で大きな患者を抱える圏域にあって、様々な症例を中根晴幸先生をはじめ医師の先生方でチーム医療が行われているようです。http://meiiken.or.jp/zaitaku 私もこれから地域医療・在宅医療・在宅緩和ケアを猛勉強します。またお勧めの本があったらUPしてください。拝読楽しみにしています。

      削除