2017年5月4日木曜日

生命保険のカラクリ 岩瀬大輔 その1

ライフネット生命保険代表取締役社長(2009年当時は副社長)が、
業界の実情を明らかにし、
ライフネット生命を設立するに至った経緯を書いた本。

保険のイメージをガラッと変える、
生命保険の加入前に見るには必読の一冊。


序章
◆バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ社の中核事業が、保険業である。
◆バフェットはこの双方の事業において、契約者から前払いで預かった保険料を長期投資の安定した資金源としてきた

◆人間の社会の中で、大切なのは「助けあい」である。そして、助け合いの方法としては、「自助」「公助」「共助」の三つがある。しかし所得が伸び悩み、格差が問題とされる中「自助」だけに期待することは難しい。また、国家財政が逼迫している中では、国に過度に頼ることもできないため、「公助」にも限界がある
◆日本人が生命保険に払っているお金は、年間40兆円を超える。言い換えれば、保険料全体を1%下げることができれば、毎年4000億円超のお金を国民に還元できる

◆2006年4月には保険業法施行規則が改正され、長らく一律とされてきた保険料のうち手数料部分に当たる「付加保険料」については各社の裁量に委ねるものとし、事前認可が不要となった。これにより価格競争を可能にする土壌が整った。
◆業界でいまだに根強く残る強調体質を示すものに、生命保険協会内に、加盟各社が集まって設けられている、各種の委員会の存在がある

第1章
◆一世帯あたりの保険加入件数は、平均4.2件を超えている。会社で上司のすすめで入り、親戚、友人が保険会社に転職したところでもうひとつ入りと、付き合いでいくつもの生命保険に入った結果、保障内容が重複している人も少なくないようだ
◆普通、1000万円近い大きな買い物をする際には念入りに情報収集をし、納得がいくまで比較検討を行うものである。まさか、義理や人情だけで家を選ぶようなことはしない。しかし、生命保険を選ぶ際に、一体どれほどの人が「1000万円近い買い物」という認識をもっているだろうか

◆払っている保険料で比較するよりも、「加入している保障の金額」で比較すると、日本が先進国の中でも抜きんでている。
◆海外の生保市場が死亡保障よりも貯蓄志向の性格が強いのに対して、日本では「万が一の場合」の家族の生活保障を提供する死亡保障としての意味が強い
◆アメリカでは女性の社会進出により死亡保険のニーズが低くなり、代わって個人年金の販売が進んだのに対して、日本では女性の労働力率が停滞し、死亡保障ニーズが強く残った

◆従来、生命保険の主力商品は満期保険金と死亡保険金が等しい、貯蓄タイプの「養老保険」であった
◆生命保険会社としては、同じ保険料を徴収できるのであれば、貯蓄の要素を薄め、保障の要素を高める方向に動く。こうした戦略的な意図もあって登場したのが、「定期付終身保険」
◆日本人が元来、「生保好き」だったというわけではない。よりたくさんの手数料を取りたいと考える保険会社の販売戦略がそうさせた

◆典型的な定期保険(かけ捨て型の保険)について、全体の35~62%までが保険金の支払いではなく、生命保険会社の経費や利益に充てられていることが分かる
◆賭博との比較が適切かどうかはともかく、ひとつ言えることは、顧客の立場からすれば、金融商品であれ、何であれ、「胴元」が徴収する手数料は、財務の健全性を損なわない限り、安いほど望ましい
◆日本の生保業界は、一社専属の営業職員が人海戦術で売り歩くという、高コストの営業部隊を中核としたビジネスモデルをささえるために、高収益をおたらす保障性の商品を販売してきた
◆一社専属の営業職員は自社商品を販売する力は大きいが、コストも非常に高い。せいぜい数パーセントしか手数料を取れない貯蓄性の商品の手数料収入だけでは、大量に販売しない限り、人件費はペイできない

◆逆ざや問題解消の打ち手として、保険会社が進めたとされるのが、「転換セールス」である。これは、過去に加入した商品で積み立てた保険料を振り替えて新しい保険に加入することで、一見保険料は安くなったように見えるが、実際は利回りが高い商品を解約し、低い商品への転換を進める営業手法である
◆2008年秋以降の市場の急落によって、再び逆ざやが顕在化した

◆生保各社はバブル崩壊から15年以上もの間、この「逆ざや」による大きな損を、死亡率が高めに設定されていることに基づく「死差益」で埋めてきた。
◆死差益とは、保険料を決定する際に織り込まれている死亡や入院などの発生確率と比べて、実際の支払いが低かったことによって得られる保険会社の利益である

◆1999年から2002年の4年間で見ると、逆ざやによる損である「利差損」の類型学は、5兆6875億円に上り、「死差益」は10兆4345億円あった。
◆2007年12月7日、生命保険38社の保険金不払い調査報告が出揃った。その結果、2001年度から5年間の不適切な保険金不払いが、131万件、964億円に上ることが明らかにされた。
◆2008年金融庁はこのうち不払いが多数・多額に上った10社に対して、業務改善命令の行政処分を下した。

つづき
その2





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