2016年12月2日金曜日

文明と病気 上 シゲリスト 9 ラスト

ラストです!
ペスト、発疹チフス、マラリア、王の権威、
本編ではもちろんもっと詳しく歴史的観点から書いてあります。

読んで見てください。

前回
その8


【ペスト】
◆歴史上中世と呼ばれている時代が、ヨーロッパが経験したペストのわずか二つの大流行に始まり、それに終わっている

◆14世紀、1348年にはペストは猛襲をし、再び世界を震撼させた。今度それは黒死病と呼ばれた。
◆病人、死者の数は2500万から4000万と見積もられた。ヨーロッパはたぶん人口の4分の1から3分の1程度を失った物と思われる。
◆人々の反応は放恣と浪費に身をもちくずすか、あるいはもっと多くはざんげをして禁欲に頼るかのどちらかであった。
◆南ドイツではユダヤ人が迫害され、その家の中で幾千となく焼かれた。大災害がある時にはいつで人々は身代わりの山羊を探す。ユダヤ人にたくさんの負債がある貴族と市当局にとっては、ペストはユダヤ人という軽蔑していた債権者から手を切るよい機会となった

◆スペイン、ドイツ、ポーランドとロシア、ビザンツ帝国、どこででも軍事行動はこの流行病によって中断されるか、あるいは全く停止させられた
◆黒死病は、ヨーロッパの歴史において新しい時代の下となるべき新しい経済秩序の勃興に道を開いた点で大きな役割を演じた
◆ペトラルカ、ボッカチオなどイタリア・ルネッサンスの入口に立っていた人々はペストと同時代の者であり、ペストは6世紀におけると同じく14世紀というヨーロッパの歴史の転回点に起こった

【発疹チフス】
◆軍隊に十分に組織された医療部隊が配属されたのは比較的最近のことであり、将軍連は軍医を必要悪や害になるものとしか考えず、自分の計画をいつでも妨害しようとしている人間と考えがちであった。
◆ルネッサンス以降、発疹チフスは軍隊を打ち破り、多くの国の一般市民を苦しめるもっとも危険な敵の一つであった。
◆ルネッサンスから現代に至るまで発疹チフスは歴史的な事件を起こすのに大きな役割を演じた。
ナポレオン戦役を含めてその時代のほとんどすべてのヨーロッパの戦争では、戦傷よりも発疹チフスで死んだ者の方が多かった

◆発疹チフスはロシア人に良く知られている(憎むべき)病気であった。革命前の20年間にこの国では毎年平均して8万2447例が記録されていた。飢饉とか穀物の凶作の時にはいつでも罹患の数は倍以上になった
◆1918年から1922年の4年間に2000万人から3000万人の病人が発生し、10%が死んだと推定しても間違いではない。しばらくはロシア革命の運命は発疹チフスによって左右されそうにみえ、1919年にレーニンは「社会主義がしらみを打ち破るか、しらみが社会主義を打ち破るかどちらかである」と言った


【マラリア】
◆1880年にアルジェリアでラヴランは血流中に進入してこの病気を起こす原生動物を発見した。
◆マラリアの蔓延がギリシア人に不幸な影響をおよぼしたことは疑いがない

◆イタリアでマラリア研究に生涯を献げたアンヂェロ・チェリの研究
◆ローマの待ちを取り巻いている土地、古代ローマ平野の歴史を決定するのに重要であった。
◆この地域は時々全くの荒地であり、また別の時には生命の充ちた生き生きした景観であったことに彼は注目した。
◆チェリの歴史研究によれば、ある地域においてはマラリアが周期的に起こっている。この病気は一つの地域をとらえて拡がり、すべての生命を追い払う。そしてそれから数世紀の後に、まだ理由はわからないが、この病気は漸次後退して生命が帰ってくる。

◆古代の神々は患者に触れることによる奇跡の治療を行った。アスクレピウスは自分の神殿に泊まっている病人の夢の中に現われ、その両手で触れ病人を治した。
◆古代ローマの皇帝達は神性を持っていて神のように崇拝され、そのうちの若干の者は治療をおこなったことをわれわれは聞いている
◆塗油式を通して王は神性の力を与えられ、王が病人に触れると神は病人を治した

◆るいれきを治すというフランスおよびイギリスの帝王の力は王権の象徴となって注意深く守られた

瘰癧とは、
頸部(けいぶ)リンパ節が数珠状に腫(は)れる、結核症の特異型。感染巣から結核菌が運ばれて起こる。頸腺(けいせん)結核。結核性頸部リンパ節炎頸部リンパ節結核

◆権力の地位にある者が病気に罹った時、病気によってその人の行為は影響され得る。歯痛は人を著しくいらいらさせるし、頭痛とか感冒は気を重くし、肺炎は人をうちひしぐのであり、このことは人が盛大なる決定を下すことが予期される決定的な時期にも起こり得る。
◆確かに歴史は個々の人間によってつくられ、その人間が健康か病気か、正気か狂気かによって差ができる。
◆だが個人が占めている地位、与えられている権力、それから自分に許されている権力の行使は、第一に社会的および経済的条件、他の心理的要因によって決定される。





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