2016年6月28日火曜日

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊 3

前回
その2

第3章
・日本医師会の地下1階には図書館がある。会員のみが利用できるここには8万5000冊の図書と約1400種類の雑誌がある
・医師会は医師の代表機関。開業医も、勤務医も、病院の経営者もいる。属する病院も、大学病院や公的病院、私立病院もある。また、医療機関だけでなく研究所等にいる医師もいる。属性を問わず、すべての医師が関わる組織。
・日本医師会の中枢にいる先生は、郡市区から都道府県を経ているので3つの顔を持っている。医師会会費も3か所に払っている。
・A、B、Cの三つの会員区分があるが、違いは単に経営者の医師か勤務医か臨床研修医かという会費区分だけで、権利は同等
・日本医師会には医師賠償責任保険があり、日本医師会が損害保険会社と団体契約し、会員は会費と一緒に保険料を納入します。集団契約で保険会社に保険料を支払うが、勤務医の保険料は安く設定されている。保証内容は同一。

・日本には医師が29万人おり、日本医師会員は16万6000人なので参加率は6割弱。半分が開業医、半分が勤務医。
・日本医師会の目的は「医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、もって社会福祉を増進すること」と定款に謳っている
・日本医師会内に50程度各種委員会を設置している。各委員会は、都道府県医師会の役員、委員会の討議内容により、その分野の専門家で構成されている
・日本医師会より先に地域の医師会があり、それを全国的名医師の団体にしようと都道府県が全部加入し日本医師会になった歴史があるので、制度的には、直接日本医師会には入れない

・全国で900強の地区医師会があり、郡、市、区、大学医師会がある。
・歴史的には戦前医師会は任意加入。その後、国策として全員加入となり、戦後GHQが入ってきて、医師の団体は任意加入になった

・明治以降多くの地区医師会が創造され、一部対立するなどばらばらだった。1916年、北里柴三郎が初代会長となり全国規模の医師会として代日本医師会が成立。1923年に医師法に基づき日本医師会となる
・環境省ではエコチル調査という、約10万人の妊婦さんをリクルートし生後13年フォローし、母体の血と臍帯血を保存しておき、子供の成育との因果関係をフォローする研究を開始しており、日本医師会もこれに協力している。このような大規模研究には日本医師会の会員の支援がなければ難しい。

・日本医学会は日本医師会に統合されていて、定款にも「日本医師会に日本医学会を置く」とある
・日本医学会の活動に対し、日本医師会が財政的、人的支援(総会の億単位の財政支援、職員は医師会職員)をしている。

・医師会に対する勤務医の不満は、実利ではなく自分達の意見が反映されないという点。
・日本医師会の代議員は各都道府県医師会が選任し、都道府県の代議員は郡市区医師会で選ばれる。なので郡市区医師会に勤務医の先生に入ってもらえばよいが、勤務医の先生は忙しいので医師会活動に参加する余裕がない
・地区医師会で勤務医が発言することが、最終的に自分達勤務医の労働環境を良くしたり、いい医療のための環境整備につながる

その4 ラスト

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