2016年6月30日木曜日

胃カメラ&ピロリ菌駆除6

前回まで
その1
その2
その3
その4
その5

えーと、前回は除菌始めるところまでだったかな。
ともあれお薬をもらって除菌開始したわけです。

復習すると、除菌している間は酒・タバコ厳禁(タバコ吸わないけど)。
除菌の成功確率が落ちるそうです。0ではないのかな。

朝5錠1セット、夕食後5錠1セットを食後に服用。
なかなか1回5錠を飲むのに苦労しますね。
お薬の多いお年寄りの辛さが少し分かりました。
(そういや、これは7剤規制で考えるときに、
1銘柄分のカウントになるのだろうか?)

1週間の禁酒なんて楽々と思っていたけど、
治療中、ずーっとビール飲みたかったです。


1週間の服薬が無事終了すると、
除菌が成功したかするチェックをするまで、
なんと1か月以上空けなきゃいけないとのこと。
何ででしょ。
よく分からんけど必要なものはしょうがないですね。


何となく治療してから胃が軽くなった気がする。
絶対駆除できてるという根拠のない確信を持ちながら1月。
検査は予約は不要とのこと。


有給休暇を取得。
朝一番に行ってふらふら都内を回ろうかなと各策。
昨日の残り物の豚の生姜焼きをご飯に載せてガッツリな朝ごはん。
いざ竹芝。朝日がまぶしい。世界が私の完治を祝っている。


受付にて。
「ピロリの除菌が成功したか調べに来ました」

看護師さん曰く。
「朝ごはんは抜いて来れられましたか?」

!!!???

「あ、いや、、食べて、、、きました」

「前にお渡しした紙はご覧になりましたか?」


・・・心の声・・・
やべえよ、見てねえよ。
1か月前に説明されたことなんか覚えてないよ。


「えっと、食べちゃいけないって書いてありましたっけ。。。?」

ばっちり書いてありました。
というかばっちり説明もされていたと思います。
しっかりとマーカーが引かれておりました。

何故食べちゃいけないのか。
呼気検査だからだったんですねえ。
ご飯食べると、飲んだ検査のお薬が上手く反応しない可能性があるそうです。

しっかり説明されておりました。

看護師さん曰く。
最低でも食べてから6時間以上は空けないといけないそう。
ざっと4時間竹芝で時間を潰すはめになりました。

何やってんだ俺。

つづく

2016年6月28日火曜日

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊 4

ラストです!

前回
その3

◆医師に医師会を理解してもらうのが第一歩です。そうすればやがて市民にも伝わる。
◆医学生にも熱心な人がいて、メールで直接提案されたこともある。
◆今の医学教育は4年次にCBT(Computer Based Testing)を行い、国家試験と類似の知識問題を解かせるが、そこから1年以上経過して再び知識の確認の国家試験を行うことは非効率


◆大災害になると、救急の災害派遣チーム・DMATや日赤チームも大切だけれど、それだけでは対応しきれなくなる。
◆JMAT(Japan Medical Assosiation Team)
 ・急性期の医療から避難所や被災された医療機関を援助する急性期~亜急性期、慢性期までの医療を支援する医療チーム
 ・医師、看護師、事務員、薬剤師等で構成された医療チームを作り、自給自足を原則として現地に行ってもらう。
 ・日本医師会は医師以外の職種の人全員に傷害保険を掛け、サポートした。


◆東日本大震災の余波で電力の使用制限令が出された。その際、医療機関は規制から外されたが、その達成のために日本医師会は相当な努力をした。◆日本医師会はCO2 削減数値目標を含む地球温暖化対策の自主行動計画を立て、毎年3000を超える病院のデータを集めていた。その中に病院の中で電力がどのように使用されるか、ガスと電気と重油の比率などのデータがあった
◆自家発電用の重油がなくなったという時、病院にどのくらい配ったらいいかという問題に対し、国はまったくデータを持っていなかったので、データを提供した。
◆医師会がお金を出してデータを集めたような地球温暖化防止の試みの一体どこが、開業医の利益誘導だというのだろうか


◆なぜ日本医師会は広報活動を活発にやらないんだと言われるが、日本医師会が正しいことを言うから記事にしてねと言っても誰も書いてくれない。
◆武見太郎会長が書いているものを呼んで見ると今の高齢化社会の問題点をほぼ全部指摘している

◆医療分野では特に厳密な自浄作用が求められる。反社会的名レベルに達していたら、医師会がレッドカードを出す。問題人物をどう排除するかという話は、どの組織でも難しいことだが一番大切
◆イギリスのように強制的に、かかりつけ医にかからなければ病院に紹介してもらえないという制度の導入は望ましくない。しかし、病院と診療所の医療機能、外来機能を分化させ、最初にかかりつけ医に受診し、専門医療が必要か否かを、判断してもらう、というシステムは重要。
そこは強制でなく、患者が自らかかりつけ医を持ってもらうという、やんわりとしたゲートキーパー役をかかりつけ医が担う仕組みを提案している
◆判断が適切にできない患者や国民に結果だけを知らしめることは、ゲートキーパーのかかりつけ医体制を構築し、医療機関を機能分化しようという大枠と逆行している
◆学会は官僚制度とは別の意味で縦割り。こちらで言うこととすり合わせましょうというのが医師会。でも医師会がそう発言すると、自分達の都合のいいことを主張してるんだろうと思われてしまう


◆世界医師会は1947年に創設された、歴史的に新しい団体。日本医師会は世界医師会から、日本で唯一の、医師を代表する団体であると認定されてもいる◆日本医師会は世界医師会の中でも重要な立場で、1975年と2004年には世界医師会総会を主催している。23名の理事のうち日本医師会から3名の理事が出ていて、副議長席は日本医師会の役員のポストにもなっている

◆医療の進歩は早く、卒業時の知識だけでは医師としてやっていけないから、医師の生涯教育は医師会の役目になる
◆各地の医師会で勤務医の労働環境についてのアンケートを行ったとき、回答の中で一番の負担は民間医療保険の診断書記入だった◆医療が進歩することで高度化し、費用が高くなる。先進国は社会保障としての医療が充実している。そういう国では、社会保障を充実し、労働者のためサービスを提供しようとすると財政が厳しくなり、医療費の抑制が課題になってくる





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医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊 3

前回
その2

第3章
・日本医師会の地下1階には図書館がある。会員のみが利用できるここには8万5000冊の図書と約1400種類の雑誌がある
・医師会は医師の代表機関。開業医も、勤務医も、病院の経営者もいる。属する病院も、大学病院や公的病院、私立病院もある。また、医療機関だけでなく研究所等にいる医師もいる。属性を問わず、すべての医師が関わる組織。
・日本医師会の中枢にいる先生は、郡市区から都道府県を経ているので3つの顔を持っている。医師会会費も3か所に払っている。
・A、B、Cの三つの会員区分があるが、違いは単に経営者の医師か勤務医か臨床研修医かという会費区分だけで、権利は同等
・日本医師会には医師賠償責任保険があり、日本医師会が損害保険会社と団体契約し、会員は会費と一緒に保険料を納入します。集団契約で保険会社に保険料を支払うが、勤務医の保険料は安く設定されている。保証内容は同一。

・日本には医師が29万人おり、日本医師会員は16万6000人なので参加率は6割弱。半分が開業医、半分が勤務医。
・日本医師会の目的は「医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、もって社会福祉を増進すること」と定款に謳っている
・日本医師会内に50程度各種委員会を設置している。各委員会は、都道府県医師会の役員、委員会の討議内容により、その分野の専門家で構成されている
・日本医師会より先に地域の医師会があり、それを全国的名医師の団体にしようと都道府県が全部加入し日本医師会になった歴史があるので、制度的には、直接日本医師会には入れない

・全国で900強の地区医師会があり、郡、市、区、大学医師会がある。
・歴史的には戦前医師会は任意加入。その後、国策として全員加入となり、戦後GHQが入ってきて、医師の団体は任意加入になった

・明治以降多くの地区医師会が創造され、一部対立するなどばらばらだった。1916年、北里柴三郎が初代会長となり全国規模の医師会として代日本医師会が成立。1923年に医師法に基づき日本医師会となる
・環境省ではエコチル調査という、約10万人の妊婦さんをリクルートし生後13年フォローし、母体の血と臍帯血を保存しておき、子供の成育との因果関係をフォローする研究を開始しており、日本医師会もこれに協力している。このような大規模研究には日本医師会の会員の支援がなければ難しい。

・日本医学会は日本医師会に統合されていて、定款にも「日本医師会に日本医学会を置く」とある
・日本医学会の活動に対し、日本医師会が財政的、人的支援(総会の億単位の財政支援、職員は医師会職員)をしている。

・医師会に対する勤務医の不満は、実利ではなく自分達の意見が反映されないという点。
・日本医師会の代議員は各都道府県医師会が選任し、都道府県の代議員は郡市区医師会で選ばれる。なので郡市区医師会に勤務医の先生に入ってもらえばよいが、勤務医の先生は忙しいので医師会活動に参加する余裕がない
・地区医師会で勤務医が発言することが、最終的に自分達勤務医の労働環境を良くしたり、いい医療のための環境整備につながる

その4 ラスト

2016年6月26日日曜日

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊 2

日本医師会の会長選挙で横倉会長が再選されたようです。
気付いたら2025年まで10年切っている。
医療関係者は頑張っていかないといけませんね。

さて、どう頑張るか。
まずは知るところからでしょう。
今回は開業医と勤務医、医療と消費税、、混合診療に関する章です。

前回まで
その1


・医師の優遇税制の部分と、払いすぎた税額を比べ、1000億円を超えて払いすぎている。医師の優遇税制という表現は成立しない
・省庁設置法の条文をみると厚労省は医療を主としてつかさどる省庁ではないように思われる。「医療に関する業務」とは記載されていない。
→実際の条文を見てみて下さい
厚生労働省 省庁設置法

消費税は利益があろうがなかろうがすべての医療機関に影響し、特に病院は影響が大きい。払わなくてもいい税を何億円も国庫に納めさせながら、勤務医は厳しいからと開業医のお金を持っていくのもおかしい。
・町工場の社長が年収3000万円取っても誰も文句を言わない。
・もし開業医に対して勤務医の不満があるなら、それは収入面より、自分の患者を最後まで診ないとか、軽症の救急患者に対応しないなど、労働格差に不満があると思われる
・50歳の開業医と30代の勤務医の給料を比べる意味なんかない
・開業医は、手取りからさらに医療を行うために設備投資をしたり、借金を返すので、手取りがそのまま開業医の月収にはならない
・開業医の利益と勤務医の月収は、比較しても仕方ない
・財務省がメディアを使って、医療に対してネガティヴ・キャンペーンをしている。財務省が発信したしたデータを批判や検討を一切せずに垂れ流している
・30代後半では開業医の収入は勤務医より高いが、40代後半になると並んでしまう

・厚生労働省の医療経済実態調査は診療所の調査対象が1450件にすぎないが、TKC医業経営指標は5417件と4倍近くある(TKC全国会→税理士と公認会計士のネットワーク)
・医療経済実態調査は6月のたった1か月の調査だが、TKCは年間調査である上に財務会計システムから決算データを集積している
・同じ医療機関を対象に毎年調査している
・医療機関の経営状況把握のためには、医療経済実態調査ではなくTKC医業経営指標を採用すべきだと、日本医師会は主張している
・2007年10月10日に日本医師会が公表した調査によると、開業医の手取り平均年収を100とすると、中小企業の会社社長は1.2倍、金融保険行や航空操縦士がほぼ同等。マスコミは0.9倍。

・医師優遇税制は国民会保険制度を導入した時の交換条件だった。導入時、保険診療の公定価格を低く抑えざるを得ず、制度の導入には医師会が反対していた。診療報酬は上げられないので、せめて税金で優遇するということになった
・高度経済成長で税収が増え、診療報酬は改定するたびに手厚くなっていった期間があった。それに加えて、高齢化による医療ニーズの増加や国民の健康への関心の高まりとともに医療機関を受診する人は増加した。
・医療機関の収入は増加したのに税制はそのままだったため資産が増える医師も出てきた。
・バブルがはじけ国の税収が減り、診療報酬が低く抑えられたが、逆に仕事量は増えるいっぽうだったため、現場は滅茶苦茶になった。

・既存メディアが情報ソースとして官僚情報を無条件に、無批判に信頼し過ぎている点も問題
・GDPに対し医療費をOECD並みにするまで増やすことは、GDPが減れば数字だけならOECD並みの医療費の比率に自然となってしまう

・勤務医が退職して開業医になる場合、退職金の優遇部分を放棄することになる。当然、本来的に得られた退職金と年金部分は開業したあとの利益で積むことになる。
・開業で成功した場合、かなりのリスクを取った結果である。リスクを取れてうまく行った人だけを見て、「医者は金持ちだ」と言われることには抵抗がある
・開業して軌道に乗るのに平均して4,5年くらい掛かる。それから徐々に委員がはやり、少し余裕が出てくるのが10年目くらい。その後医師会活動や社会貢献事業に出務することになり、せっかく伸びてきた収入が止まったり、また下がったりする
・医師会に関わると会議が多かったりする、すると、そんな活動に参加できるのは、2代目がクリニックを継いでくれた院長や夫婦でクリニックをやっている院長。これが医師会の役員が抱える、内外の構造問題

・国の政策目標は根拠が不十分で、あとで現場が大変な思いをする。たとえばがん検診受診率50%目標と発表しても、その数字の根拠、どうしていきなりこの数字を達成できるのか、まったく根拠が示されない。一種の精神主義。

・薬価差が消え、病院の収入は激減した。しかし元々、薬価差のすべてが医師の手元に入るわけではなく、在庫管理費、ロス分のコストなどが含まれていた。
・診療報酬は医療技術と薬からなるが、そもそも大本の価格設定に根拠がない。大昔に決めた値段を1点、10円上げるという上げ下げだけ。
・実は今でも薬価差は認められている。R幅と言って公定価格と手間賃、在庫の管理が2%と決められている。100円と値段がつく薬は、原則98円で購入する。そこからは卸との価格交渉力が必要になる
・弱小診療所は薬の卸業者の言い値で薬を買っている状況。それに消費税の問題もあり、6%(消費税5%時の本です)ぐらい値引かないと逆ざやになる

・ヨーロッパでは所得税の免税点が低く、低所得者層も所得税を払っているので、日本の消費税は欧州に比べて消費税率は低いのに、税収に占める消費税の割合は、決して低くはない
・保険診療は消費税が非課税で、医療機関は患者さんから消費税を取らない。しかし医療機関は診療を行うための設備や医療機器、医薬品の購入に際しては消費税を払う
・消費税は消費者が支払う税金で、事業者は消費者から頂いた税金を納める義務があるだけ
・本来であれば仕入にかかる消費税を差し引きして国から還付してもらえばいいが、社会保険診療が非課税のため差し引きできない(控除対象外消費税問題)
・医療機関が最終消費者のように税負担を負っている
・日本医師会の調査では、私立医科大学の1病院あたり1年で3億6000万円も控除対象外消費税が発生している(300万のメディカル・クラークを120人、1000万円の医師を36人増やせる)
・日本中の医療機関が1年で負担している、本来払う必要の無い消費税は2300億円になると試算

・現在も税ではない形、診療報酬という形でこの負担を支払っている。
・さらにその負担は、受けた医療ごとにことなっており、36のい診療を受けた患者が負っている(ブロガー注:5%から8%増税分については基本診療料を中心に加点され満遍なく負担されるようになったが、3%から5%増税分についてはそのまま。改定の中で統廃合されて無くなった項目もある)。
・課税ゼロ税率
 →患者からすると、非課税もゼロ税率も保険診療に対しては消費税を払わないというt円では同じだが、医療機関からみると、ゼロ税率では仕入れに払った税が控除可能になる

・ベッド柵にクビが挟まった患者の件で消費者庁が出てきたが、病院等に調査にくるのはいかがなものか。ベッド会社に行けば済む話。
・カナダのカンファレンス・ボードが、世界の医療評価について統計をとった。諸外国と比べて、日本の医療の評価がきわめて高いが、日本人の自己評価は。。。
→本を読んでみて下さい。
・保険診療と自由診療を同時に受けると、受けた医療がすべて自由診療扱いになるのが現在のルール
・近いうちに保険に認められる可能性が高く、安全性が保証されている高度な医療や先進的医療については、混合診療という名前ではないが実質的に認められている
・患者にできるだけ治療の機械を増やすのは当然だが、混合診療の全面解禁は、日本の医療制度の根幹をゆるがす可能性があるので、反対している。
財務省は医療に対する国の支出を増やしたくないので、混合診療を進めようとする。
・従来ならば保険に使えるようにしたものを混合診療にすれば自由診療のまま、患者の自己負担にできる。
・日本の保険制度では薬価は診療報酬改定ごとに下げられる。製薬会社としては高い値段のまま売れるほうがメリットになる。
・結局その分の医療費は増えない、つまり患者が自費で払うことになる。

・自己負担分が増えていけば、いざという時のために民間の医療保険が出てくる。民間保険にはビジネスチャンスだが、国民は公的医療保険の保険料を払いながら、民間の医療保険にも加入しなければいけなくなる
・感冒薬、湿布、漢方薬は、医療保険の対象からはずそうという動きがある。処方箋も含めて、現在医療機関でしか出してもらえなかった薬が、一般薬として薬局で買えるようになることも、医療保険の対象からはずそうという動きの一環
・米国通商代表部(USTR)という米国の商工会議所が日本に何を要望しているのかネットに公表されている。USTRが日本にも止めるのは民間医療保険の市場開放。財務省が税金を減らすために医療保険を自分でかけることになる、その金融市場に米国も入りたい。
・財務省と米国の利害が一致するが、国民とは一致していない。
・財務官僚たちは優秀で専門家なので細部までわかっている。つまり確信犯だから困る
・市場主義に任せると、自己責任になる。薬のように生命に直結するものを、自己責任で手に入れる仕組みを作るのは危険

その3

優生学と人間社会 第2章の2 市野川容孝

前回
優生学と人間社会 第2章の1 市野川容孝

ドイツの優生学。続きです。

◆ドイツで優生学(人種衛生学)が学問として形を整えはじめるのは、19世紀後半
◆細菌学は、コレラやチフスといった伝染病から人びとの命を救うことに多大な貢献をなしたが、研究が進むにつれて、細菌学自体の限界が露呈しはじめる
◆菌に感染しているのに肺結核を発症しない人の存在が確かめられた。結核菌なしに肺結核はありえないが、その発症には最近の侵入以外のもっと複雑な要因が絡んでいる

ルドルフ・ヴィルヒョウは、「医学とは一種の社会科学である」と述べながら、貧困の解消等の社会改革もまた医学の重要な課題であると説いた

○アルフレート・グロートヤーン
◆ヴィルヒョウ以来の伝統を「社会衛生学」として継承した
◆病の原因として、まず細菌の侵入等、個々人の身体に関わるもの、第二に貧困等の社会的なもの、第三に遺伝に由来する者が付け加え、これに対応して、医学も保健、社会衛生学、そして優生学の三つを課題としなければならないと説いた。
◆少なくとも20世紀初頭において、「遺伝」という概念は、厳密な科学的概念としてよりも、克服できない病や生涯を説明する一つのマジック・ワードとして多分に機能した
◆遺伝として説明された不治の病や障害をもつ人々がその生命を再生産する回路を、何らかの方法で遮断することによって、彼らの病や障害そのものを将来、社会から根絶することに、求められた

○ヴィルヘルム・シャルマイヤー
◆グロートヤーンに先立って、優生学の雛型をドイツでもっとも早く提示した
◆基本的主張は、文明、文化が発展すればするほど、淘汰が阻害され人間の「変質」(退化)が進むというものだが、それはすでにダーウィンによって述べられていた
◆「変質」(退化)の原因として、シャルマイヤーは三つのものをあげている
 ・第一、医学、公衆衛生の発達。それまで淘汰されてきた虚弱な個体が延命と生殖を許されるようになった
 ・第二、戦争と兵役制度。徴兵検査にパスする屈強な人間を死に追いやったり、負傷させる一方で、徴兵検査で失格するような欠陥のある人間には、銃後で安全に暮らすことを許す。
 ・第三、私有財産もしくは資本制。厳しい労働に耐えうる屈強な労働者が貧困に苦しみ、家族を持つことも困難。資本家は、労働能力のない虚弱な者でも生き延び、そして子供を作っている。
社会主義、平和を恒常的に維持することが優生学に最も適した社会制度だと考えていた
◆これまで「治療」が中心だった医学のあり方を「予防」重視に変え、なかでも子どもをつくる生殖の過程で疾患や障害が次世代に伝達されないようにしなければならないと説いた。
◆文化の発達によって諸民族間の交通がさかんになり、その結果、混血の機会が増えることは優生学的に見て望ましいとした。
◆優生学は即、人種主義を意味するわけではない。人種主義に結び付いた優生学は、当初はドイツでも傍流に過ぎなかった。
◆患者からの報酬に依存している限り医師は予防に力を注ぐことはできないと主張

○アルフレート・プレッツ
シャルマイヤーと異なり、プレッツは強い民族主義的思考をもっており、アーリア民族こそもっとも優秀で、その優秀さは他の民族との混血によって次第に損なわれてきたと得フランス人ゴビノーの教えを広めるため、1894年に設立された「ゴビノー協会」とも、関係をもっていた
◆社会主義に大きな影響を受け、ギナジウム終了後、自然科学への傾倒を捨てて、経済学を学び始め、チューリッヒに移って社会主義の思想に接近
◆アメリカのアイオワ州にあったコロニー「イカリア」に体験入植。しかし、コロニーが喧騒、怠惰、裏切りの横行する社会として映り幻滅。こうした悪癖が多分に生物学的な要因によって決定されいるのではないかと考え、専攻を医学に変える
◆社会改革と同時に、人間の生物学的質の改善を強く意識するようになる
◆イカリア:フランスの社会主義者エティエンヌ・キャベーが1848年に、社会主義の理想に基づいて建設したコロニー
◆1905年、ベルリンで「人種衛生学会」を設立。この学会はドイツ優生学の1つの牙城となる

◆社会という概念と、種という概念の違いを強調
◆社会も種も個体の集合であることに変わりないが、社会は相互扶助であり、種は持続する生命体と定義している
◆種:①時間的な連続性
   ②個々の要素を超越した全体性。個々の要素を犠牲にすることも必要。社会は個々人の生命をあくまで維持しようと努める「社会」の原理を批判的にとらえる
   ③闘争、淘汰の原理。種の進化は、品種間の生存闘争と淘汰によってもたらされると説明。
◆民族主義、人種主義を嫌ったグロートヤーンなどは「人種衛生学」という言葉を嫌い、「優生学」あるいはプレッツが最初に用いた「生殖衛生学」という言葉で通したけれども、そのグロートヤーンもまた、プレッツの「人種衛生学会」の正式会員だった

◆社会や相互扶助の原理の重要性を認めながらも、これを種や淘汰の原理となんとか両立させることに、最大の知的努力をそそいだ。
◆解決策を、淘汰の過程を出生前に移行させることに求めた
 ・暫定的な処置(遺伝性疾患・障害者の結婚や子づくりの禁止、不妊手術で当時すでに実行可能だった)としていわゆる自然淘汰を性的なものに転換する。これによって、劣った資質の個人が子孫を持つこと、そして自らの欠陥を遺伝させることが防げる
 ・淘汰の過程そのものを有機体としての個人の段階から、細胞、とりわけ生殖細胞の段階に移行させる。…低価値であることが何らかの形で観察ないし推定できる無能力な生殖細胞の除去へと切り替える
◆1960年代以降、超音波診断、羊水検査、絨毛生検、そして母体血清マーカー検査といった出生前診断の技術が次々と開発、応用されるようになり、胎児の障害の有無を調べたうえで中絶することが可能に
◆1970年代末以降の体外受精技術が可能に。生殖細胞や受精卵に対する遺伝子治療も登場しつつある。
◆これらの技術はプレッツの時代には、まだ夢でしかなかったが、彼は100年も前にその到来を予見し、待ち望んでいた。

第2章の3






2016年6月24日金曜日

はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光1

イギリスのせいで市場がめちゃくちゃ。
腹たち紛れにまとめてやりました。

第1章
◆日本再生戦略のなかで、2020年までにREIT市場の資産規模を、対2011年比で倍増させようという狙いが、政策サイドにある
◆REITの魅力のひとつに、高い配当利回りがある。それは、利益の90%を配当しなければならないというルールがあるから
◆利益の90%を配当に回せば、当然利益の内部留保はほとんどできない。そうなると、リーマンショック時のような金融不安に見舞われたとき、資金繰りに窮してて倒産に追い込まれるリスクが生じてくる
◆REITというのは、一般事業法人の株式に比べて高い配当利回りが期待できる一方、こうした財務面の脆弱さを併せ持っている
◆ライツ・オファリングは、企業の資金調達方法で、その銘柄を持っている投資家全員に割り当て、株主はその新株予約権を行使して金銭を払い込み、株式を取得する
◆2013年度末までに整備される予定の投資信託法改正で実施されるライツオファリングの解禁と自己投資口取得の解禁は、REITにとって多いにプラスの材料になる
◆不動産投資をインフレリスクの回避と考えた時、きちっとリスクを回避できる物件とそうでない物件に分かれてくる
◆REITの配当利回りと、投資信託の分配金利回りは、似て非なるもの。
◆不動産物件の値上がり益については、物件を入れ替える際に売却した物件で値上がり益が得られた場合、収益に反映されるが、基本的にREITに組み入れられた不動産物件は、そう頻繁に売買されるような類のものではない。分配金原資は、組み入れられた不動産物件から得られる賃貸収入が中心になり、わかりやすく分配金の予測がつきやすい
◆REITはREITの運用会社に対して、運用報酬を支払う形になる
◆不動産投資の知識を持たない個人がワンルームマンション投資をするのに比べれば、はるかにリスクは軽減されている

第2章
◆REITは契約型ではなく、投資法人型という種類に含まれている
◆REITの仕組みは一般企業のなりたちとかなり似通っている。投資証券を発行して調達された資金は、REITの自己資本となるが、これは一般企業が株式を発行して自己資本を調達するのと同じ
◆REITは収入の9割を配当として支払うという前提条件のもと、法人税は課せられないことになっている
◆REITの場合、組入不動産の選定や組み入れた後の物件管理、あるいは投資の運用に必要な諸々の事務処理などは、すべて外部に委託している。具体的には、資産運用会社、資産保管会社、事務受託会社の3社が、これに該当する
◆資産保管会社は、信託銀行がその役目を務める。
◆信託銀行が破綻という事態に直面したとしても、REITの組入資産は、信託銀行自身の資産とは分けて管理される「分別管理」になっているので、組入資産が勝手に処分されてしまうようなこともない
◆スポンサー企業の信用力も、REITの投資口価格に大きな影響をを及ぼす。リーマンショックや欧州債務危機の際、REITの投資口価格は大幅な調整を余儀なくされましたが、全体的に投資口価格が下落するなかでも、より大きく売り込まれたものと、そうでないものとの差が開いた。
◆REITの投資対象におけるスタンスの特徴によって、主に3つのタイプに分類される。特化型、複合型、総合型である。
→それぞれの特徴は本を読んでみてください
◆日銀5%ルールというのは、各銘柄の発行済投資口数の5%を超えて投資することはできないというもの。
◆目下、REITにとって最大の買い主体は銀行。
◆銀行の場合、新年度がスタートする前から、新年度の投資計画が策定され、4月1日以降、投資計画にそって資金運用が行われる。昨今では、その投資計画のひとつに、REITが組み込まれている
◆外国人投資家の場合、基本的にグローバル分散投資の一環としてREITにも投資している。その傾向は、世界的に景気がよく、株価が上昇ムードの時に買ってくる傾向が見られる。下落時はその逆。
◆JAPAN REIT:REITに関連した調査・分析を行っているアイビー総研が運営しているウェブサイト。REITに関連する情報サイトでは、ここが内容的にも一番充実。





2016年6月22日水曜日

データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会 

気になっていた検討会の第1回議事録が上がっているのでシェアします。

ざっくり言うと支払審査機関の改革というところでしょうか。
資料を読むだけでも勉強になります。

データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会


山本雄士先生も構成員で参画されています。
尾形先生は勉強会で、大学院では佐藤先生にもお世話になりました。
元中医協会長の森田先生など凄いメンバーですね。


飯塚 正史  元明治大学大学院客員教授
尾形 裕也  東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニット特任教授
葛西 重雄  情報処理推進機構CIO 補佐官
金丸 恭文  フューチャー株式会社代表取締役会長兼社長
佐藤 主光  一橋大学大学院経済学研究科教授
神成 淳司  慶應義塾大学環境情報学部准教授
西村 周三  医療経済研究機構所長
林 いづみ  桜坂法律事務所弁護士
松原 謙二  日本医師会副会長
宮田 裕章  慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授
森 昌平  日本薬剤師会副会長
森下 竜一  大阪大学大学院医学系研究科寄付講座教授
森田 朗  国立社会保障・人口問題研究所所長
山口 武之  日本歯科医師会理事
山崎 泰彦  神奈川県立保健福祉大学名誉教授
山本 雄士  ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー
山本 隆一  自治医科大学客員教授

2016年6月21日火曜日

医療防衛 なぜ日本医師会は闘うのか 今村聡 / 海堂尊 1

はじめに
◆市民は医療に対し理解が乏しいのではなく、正しい情報から隔離され正しい反応ができないだけ

第1章
◆医師会は郡市区医師会、都道府県医師会、そして日本医師会という三層構造で、全国にざっと900ある。
◆患者さんが保険証を使って医療を受けるときに、代金に消費税はかかっていない、いわゆる非課税。

◆日本中の病院や診療所などすべての医療機関は、1年で国に本来支払う必要のない税金を日本医師会の推計では2300億円も余分で支払っている
◆社会保障関係費、国債費、地方交付税交付金等が三大経費と呼ばれている
◆日本の医療費は「自助・共助・公助」という三つの部分にわけられていて、一般的に医療費とは、医療に対し国民が支払う総額だが、国が税金として払う公助部分だけを指して医療費と言うこともある

◆国が30を医療に入れると、およそ50が保険料から払われ、ほぼ20が自己負担となり合計が100になる計算。国が出した金が、医療費の総額を決めることになる。
◆大本は国が医療に対して税金から投入する金額で公定価格が決まる。

◆日本の法人税は、諸外国に比べて高いといわれるが保険料は低い。企業負担を考えると、法人税など税の部分と保険料の部分があるので、日本の企業は、諸外国と比較してこれらの負担が大きいとはいえない
◆保険組合ごとに自助努力で保険料を決め、組合健保の財政状況が限界まで悪化すると、組合を持つ意味がなくなるから解散し、協会けんぽに加入することになる
◆保険診療に対する消費税が非課税のまま、消費税が上がると、その影響の直撃を受けて、医療現場は崩壊してしまう

◆アメリカから見ると、日本は魅力あるマーケットで、自分たちも参入させろとなる。米国と利害が一致するのは日本の財務省で、医療のグローバリゼーションによって税金を減らせるから
◆最低ラインだけ国が面倒を見て、それ以上は自費にすれば医療費を軽減できるというのが財務省の基本スタンス

◆どうして医師会が医療の市場化に疑義を唱えるかというと、市民のための医療が崩壊してしまうから
◆医療の市場化は社員にかける民間医療保険の保険料が高額になり過ぎて、企業の体力も削ってしまう
◆経団連には保険会社も参加している。保険会社にすれば、自由診療部分は高額なので一大マーケットになる。
◆非常時に機能させるには、ふだんの投資が重要

◆診療報酬があたかも医者の収入で、診療報酬の値上げ要望が医者の収入アップのための運動とされるのは、意図的な情報操作といえる
◆診療報酬とは、医療機関が提供する医療の対価として医療保険から支払われる報酬で、厚生労働大臣が中医協の議論を踏まえて、個別の医療行為の価格として設定する
◆国における、医療に対する位置づけが不明瞭。医療を真の社会保障と考えるのか、市場化したサービス業とするのか、が整理されていない
◆税の視点で医療をみてみると、医療分野の扱いには一貫性がない。国税ではサービス業と言う扱いで法人税が課税されている。一方、地方税の中の都道府県税である事業税では、医療は公益性が高いことで非課税扱いになっている

◆無料のものは選択肢がなくなりがち。無料でありつつ良いサービスが受けられる仕組みがいいが、往々にして無料のものは「これで我慢しなさい」となる
◆日本医師会では現在、手順を踏み20年かけ、保険を一本化しましょうと提案している。武見太郎会長時代からの話。

◆中医協、中央社会保険医療協議会は、医療の公定価格を決定する、厚生労働大臣の諮問機関。
◆医療保険で支払われるのは、個別の役割としての積み上げではなく、総合的なもの。たとえば胃がんの手術料の中には、医師の技術料の他、介助している看護師さんの費用も含まれる

◆日本の医療界代表は、世界医師会に認定された日本医師会。
◆日本医師会を開業医集団だという間違った位置づけにすると、医療全般を取りまとめることができる組織がなくなってしまう
◆以前は中医協で医療費の総額を決めていた。来年国庫が出す医療費を決めていたのは中医協だった。ところが何年か前、中医協は国が決めた医療費総額の中で配分するという形にされてしまった

◆○○(という項目)が、○年度○件、保険診療請求されたという社会医療診療行為別調査のデータがあり、それを1点(10円)いじれば、いくら医療費が変わるかは即座に計算できる。
◆中医協は医療制度の議論では医学的な議論をする。直接議論するのは、医療政策的に影響の大きいものなど。
◆日本の仕組みは利害対立者を両方入れ、第三者が判断する仕組み。この時大事なのは人選だが、人選は事務局の胸三寸

その2




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2016年6月11日土曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第2章ー2

つづきです。
第2章ー1

◆”あの人は私を信頼している”という認識は、ケアされている人が、そのような信頼が正しいものだと信じ、自分自身が成長していくのだということを確信するのに、大きな力を発揮する
◆信頼の欠如が露呈されると、私たちは相手よりも優位に立とうとしたり、ある鋳型に無理やりに当てはめようとしたり、成果について保証を要求したり、さらには”ケア”しすぎる結果となってしまう
◆未知のものを恐れたり避けたりする人や、いかなる結果になるかをどんな場合でも確信しないではいられない人は、相手にまかせ、その相手が自分のやり方で成長していくのにまかせることができない人なのである。
◆相手を信頼する一方、、私はまた、ケアにたずさわる自分自身の能力も信頼しなければならない
◆私の行動が正しいか否かに自信がなく、それにいつも気をとられていると、自身への信頼の欠如に陥り、さらに自分に注意を向けすぎると、相手の要求がなお見えなくなってしまう

◆ケアは自分の相手の成長に対応していくものなので、ケアは相手について継続的に学ぶことを含んでいる
◆問題はいつも、直面するその新しい状況に対して何が適切かということであり、原則を単に機械的に応用して行けばよいというような過去の反復ではないからである
◆ケアそのものが、より広い意味の謙遜と言う内容を持っている。それは、相手をただ私自身の欲求を満足させる存在として見たり、自分にとっては単に克服すべき障害と考えたり、自分の気のすむように形づくっていけばよい粘土であると思って扱ったりするような態度をあらためさせる。
◆ケアを通して、自分の能力のみならず、自分の限界が本当に理解できるようになる。私に限界があっても憤ったり、美化すべきではなくて、私の能力をうまく活用することによって誇りを持つことができるのである。

◆希望は、現在の豊かさの表現であり、可能性の期待でいかにも生き生きした現在そのものなのである


2016年6月9日木曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第2章ー1

本文とは関係ないんですけど、
c型肝炎の薬が、また米国で承認申請(優先措置を取られている)されているそうです。

c型肝炎の 薬は一気に進歩しています。
薬剤師集団flzzさんのブログ(分かりやすくよくまとまっています)

今までは1ー6ある遺伝子型の1つや4つとかで使われていたのですが、
次出てくる薬はこの全部のタイプに効くという優れもの。
ガチでc型なくなるかもしれません(腎機能障害がある方には使えなかったりするので、そういう問題はありますが)。



では本編です。
前回 第1章


第2章
◆ケアするためには、私はその人の要求を理解しなければならないし、それに適切に応答できなければならないし、しかもまた、好意があるだけではこのことが可能でないのは明らかである
◆その人の要求にどのようにこたえるか、私自身の力と限界を知らねばならない
◆一般的な知識と個別的な知識は、お互いに補い合うものである。
◆あることを直接的知ることとは、単にそれを経験したということだけを意味するのではなく、それと直面し邂逅することであり、それ自身の権利において存在するものとして、それを理解することである。ケアにおいては、私は他人を直接的に知る。
◆ケアしていく中でいかに多くのことを知り得るかを、私たちが認識しきれないのは、私たちが知識というものを、言葉に表しうるものに勝手に限定する性癖が、ときおり頭をもちあげるからである

◆私が一人の人間をケアするにあたって、何もしないことがたびたびある。私がこの非行動性の状態にあるときこそ、過程やそれが動いていく結果を見、かつ考え、そこから適切に自分の行動を変える準備のときである
◆狭い枠組とより広い枠組みとの間を往ったり来たりする行動リズムはケアにおいても重要である

◆忍耐(Patience)はケアには重要な要素である。忍耐のおかげで、私は相手にとってよいときに、相手にそった方法で、相手を成長させることができる
◆忍耐できない人は、時間を与えることができないばかりではなく、相手からしばしば時間を奪ってしまう事態になる
◆忍耐を単に時間的側面からのみ理解するのは誤っている。というのは、私たちは相手にほかの余地も与えているからである。
◆ケアする人は忍耐強い。なぜなら、相手の成長信じているからである。しかし相手に忍耐を示すと同時に、自分自身に対しても忍耐せねばならない。
◆私はケアする機会を自分自身に対してもつくってやらねばならない。

◆他者をケアする中で、あるがままの相手を見つめなければならないのであって、私がそうであって欲しいとか、そうあらねばならないと感じる気持ちで相手を見つめることではない
◆正直であることがケアに全人的な統一を与える
◆もしも他人の要求を見てとり、それにこたえることよりも、自分がどのように見られているかに気をつかっているなら、私は相手のために十分な存在であることはできない


第2章ー2



2016年6月7日火曜日

優生学と人間社会 第2章の1 市野川容孝

第2章です。

今回からは市野川容孝先生。
市野川先生はtwitterのbotでもなかなか人気です。

第1章の米本先生のバトンを受け継ぎながら、
とある1人の事例(まとめの都合上その要素は抜けているので、本を是非読んでみて下さい)を中心に、ドイツの戦前戦後のナチスにからむ優生学上の動きを辿っています。

戦後、ユダヤ人などは迫害されたという認識の一方、
優生政策上の強制不妊手術は法に基づく正当な行為だったとされたという点が問題点でした。
それでは何故、すぐには不当と認められなかったのか。

↓以下まとめです。

◆”ヒトラーという隠喩”が、優生学の歴史の多くを、逆に見えなくさせる

◆ナチス政府は1939年に、安楽死計画を内密に開始。しかし、精神病院病院の患者や施設にいた障害児が次々と「謎の死」をとげていくにつれ、何か恐ろしいことがおこなわれているとの懸念がドイツ国内で広まっていた
◆1941年にヒトラーは口頭で、安楽死計画の中止を命じたが、表向きで、その後も殺害は続けられていた

◆戦後も、戦前に行われた不妊手術が33年の遺伝病子孫予防法に基づいた合法とされたり、精神分裂病という診断も正しいとされた。
◆1953年西ドイツでナチス迫害被害者に対する連邦補償法が制定された後でも、申請が同様の理由で申請が却下されていた
◆連邦補償法第1定の被迫害者には社会主義者やユダヤ人は含まれていても、ナチスの優生政策の被害者は除外されていたや

◆1980年、西ドイツ連邦政府は、連邦補償法の対象からもれる被害者の救済を目的とした「一般戦争帰結法」(1957年制定)を適用して、ナチズム期におこなわれた強制不妊手術の被害者に対し、補償金(約40万)を払う旨の決定
◆1987年、当事者を中心とした「『安楽死』・強制不妊手術被害者連合会」が結成
◆1988年、ドイツ連邦議会が、遺伝病子孫予防法によるナチスの強制不妊手術の不正を確認(法自体ではなく、強制不妊手術を弾劾)。
◆1990年、一般戦争帰結法の適用ガイドライン改正。全ての強制不妊手術被害者に月額9000円の年金。家族の安楽死により困窮した遺族へ補償金を拡大。
◆1998年、ドイツ連邦議会は、ナチズム期に遺伝健康裁判所が下した強制不妊手術の判決のすべてを、当時なされた他の不正な判決とともに向こうとする法律を可決

◆ナチズムの2層
 ・ユダヤ人その他に対する迫害
 ・優生政策
◆強制不妊手術や安楽死計画の被害者に対する戦後補償を求めて活動した人々も、実現させる一つの政治的工夫として、ナチスの断種法と安楽死計画が、人種差別その他の犯罪的行為と同じく、ナチスの固有の不正であると主張してきた。
◆人種差別にもとづくユダヤ人の大量虐殺や、残忍な政治的迫害がないような国でも、ナチスと類似した優生政策は実施されていた。


第2章の2








2016年6月5日日曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第1章


◆一人の人格をケアするとは、もっとも深い意味で、その人が成長すること、自己実現することをたすけることである。
◆他の人々をケアすることをとおして、他の人々に役立つことによって、その人は自身の生の真の意味を生きている
◆”ケアすること”と’’自分の落ち着き場所にいる’’という二つの概念は、人間であることについて実りある考え方を提示してくれる。そしてそれ以上に大切なことは、私たち自身の生を自分たちがもっとよく理解するのに役立つということなのである。

第1章
◆ケアする際に経験される相手との合一の体験は、寄生的関係で起こる合一とは異なる。相手を支配したり所有しようと試みるのではなくて、私は、それが本来持っている存在の権利において成長すること、またよく言われるように’それらしくなる’ことを望んでいる
◆ケアしている親にとって、子供はそれ自身の価値を持っていると感じとられている。そのときその価値は、親たちの要求を子供が満たす力を持っているのとは全く別のものなのである
◆他者を支配する力を私に与え、他者に優越する何ものかを私にそなえさせる一つの関係性の中でではなく、むしろ一種の信頼感の中で、私が他者から必要とされていると深く感じ取っている
◆他者が成長するのを援助するとき、私は自分の方針を他者に押しつけたりはしない。私はむしろ、他者の成長の方向をみて、それが、私がケアの中で何をするかを導き、どのように私が応答すべきか、そしてそのような応答には何が適切であるかを決めるのに役立ってもらうようにする
◆他者の成長を尊重することから生まれる方向性を、”他者の志向まかせ”と混同してはならないー後者は、私が自分自身とも生きた接触を失った一種の妥協を指すからである

◆専心は、友情に不可欠な要素であるように、ケアにとって本質的なものである。
◆長い目でみた場合、専心は私の首尾一貫性によって示される ー 不利な状況のもとで退かないことや、困難をすすんで克服していくことにみられる一貫性である。
◆専心のひとつの帰結として導き出される諸義務は、ケアを構成する本質的な因子である。私はそれが、自分に押しつけられたものとか、必要悪とは感じないのである。
◆ケアすることの実際場面では、ケアの対象はどれでもよい一般的なものではなく、いつも特定の誰かであり特定の何かである。

◆ある人が成長するのを援助するのを援助することは、少なくともその人が、何かあるもの、または彼以外の誰かをケアできるように援助することにほかならない。またそれは、彼がケアできる親しみのある対象を発見し、創造することを、励まし支えることでもある
◆成長することとは、その人が新しいことを学びうる力を持つところまで学ぶことを意味する。
◆学ぶとは、知識や技術を単に増やすことではなく、根本的に新しい経験や考えを全人格的に受けとめていくことをとおして、その人格が再創造されることなのである
◆できるだけ独り善がりの幻想を排し、自分自身を見つめるようになってはじめて、彼は何が手段であり、何が目的であるかを理解するようになる
◆見かけ上は異なった種々の活動が、どの活動もケアすることを含んでいるので、互いに関係を持つことが明らかになる
◆ ”ケアする”という概念は、”信頼””正直””謙遜”という他の意義深い概念との関係を明らかにすることによっても展開される



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