2017年8月29日火曜日

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛  その4 ラスト

前回

7章 落合陽一
◆コンピューターにとって苦手なことを克服させてあげて、コンピューターの存在を広める側にいる人の方が、やはりコンピューターに愛されて楽しく生きられている。これこそがITの原理だろう
◆コンピューターの存在が意識されないくらいに道具として使い倒してやれば、うまく共存できる気もする。それは、人間と機械が1つになるという話ではない。むしろ逆で、環境に埋め込まれた、それこそ酸素くらいに無機的な存在になれば、完全に支配できるんじゃないか
◆今の2Dディスプレイのような中途半端な速度と解像度では、どうしても機械のような印象を受けてしまう。コンピュータをそうと意識しない未来は、今の状況越えた先にあって、こうした視点はこの先、差し迫ったものになる

◆どうして映像が見えるのか、というところから考え直している。大事なのは、一つ一つ手を動かすこと
◆そもそも世界は変わらないという前提自体が単に鈍感さの産物であったとしか思えない。そしてこの鈍感さがどこから生まれてきたかと言うと、60年代から始まった左翼的なものの世界的な衰退に起因している
◆つまり20世紀的なイデオロギーを根拠にした世界変革以外のイメージを、人類はなかなか持つことができなかった。革命に失敗したら、あとはもうヒッピー的に、あるいは昔のオタク的に、ドラックやカルトやニューエイジに走って自分の内面をチューニングするしかなくなってしまった

◆僕らのちょっと上の世代の人々って、現実世界と仮想世界と言う区分、あるいは現実と虚構のパラダイムでむりくり考える。でも、テクノロジーは日常と不可分なほど身近なところまで落ちてきているのに、無理矢理SF調にもっていくのはきつい。
◆書物を徹底的に読み込むことで自分がすごくなっていくと思い込むような、まるで当時の文学青年のような発想で彼らはコンピューターを扱っている。ここではないどこか、もう一つの現実を求めている

◆仮想現実的な虚構感がテクノロジーの発展に置き去りにされて、既判力を持たなくなってしまったのが現在なんだと思う。僕ら自身の内面を変えるよりも、僕らと現実の「関係」をテクノロジーによって書き換える方が効果があるし、面白くなっている
◆攻殻機動隊はインターネットの時代を書いている。しかし彼が考えるインターネットは結局、「脳に電極を指す系」のイメージを引きずりすぎてしまっている。あの映画は、情報技術が発達すると人間の内面により深く潜ることができて、そして他人が自分の内面に深く潜り込むことで新しい人間像が生まれる、と言う世界を描いている

◆世紀の変わり目に情報技術のトレンドは仮想現実(VR)的なものから拡張現実(AR)的なものに移り変わっていると言われている
◆20世紀的、映画的、仮想現実的な極寒の持ち主には、自分と現実との関係をテクノロジによって書き換えていくことが社会の変革につながると言うイメージをどうしても持てないみたい。まだ表面化していないけれど、実はこれは大きな思想的対立になっていくと思う
◆映画は結局、フィルムにうつされた物体が物語を語っている。でも、僕らの世代がやるべき事は、物体が直接我々に、そして身体性を伴って語りかけてくる仕組みを作ることだと思う。それって、時間と空間をあやつることで、まさに魔法と同じ
◆落合さんの言う魔法的なテクノロジー、人間と世界との関係性に介入して書き換えるテクノロジーは、確実に現実の一部を書き換えている。人間の脳内の錯覚を生むのではなく、物体から発する信号自体を書き換えているわけだから。

◆宇宙空間に行って3次元的な空間の操作に対応していけば、人間のある1つの能力が開花するはず
◆アムロはモビルスーツの装甲越しにシャアの存在を感知する。あれは要するに、富野由悠季が未来の人類は物理的、あるいは社会的空間を無視して相手の存在にたどり着くようになるという感覚を持っていたということだと思う

◆そもそも日本の現代アート自体が、どれも弱者であることを押し出すことで勝利していると思う
◆十字架は日本人にはバッテンにしか見えない。だから僕らにはあまり思いではない。でも、こういう風に、日本人には当たり前でありながら、西欧人には強いインパクトを持つ表現というのもあり得るはず

◆ソニーはニュートラルな形で、生活を快適にする商品を世界に売っていた。日本の文化的側面の1つの特徴である「からくり」に対する造詣の深さがフルに活かされた品々
◆国家や社会というのは映画のようにバーチャルなもので、それを信じることによって巨大な社会が成立していた。しかし、消費社会や情報社会が加速すると、そのほころびが見えはじめてくる。
◆バラバラになったものは新しい装置でどう結び直すのか。そこで重要なのが、ポスト映画的なものとしてもインターネット的なものであることは間違いない。しかしその具体的なイメージはまだ誰も出せていない。





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2017年8月28日月曜日

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛  その3

前回

第5章 猪子寿之
◆単にコストカットと最適化だけが追求される社会なんて、憧れの対象になるわけがない。そうではなくて、理想的な世界のイメージを提出するには文化の力が絶対に必要。文化の領域でビジョンを出していかないと、人を動かすことはできない。
◆頭がいい人たちが思っている以上に、人々は「かっこいい」みたいな基準で物事をジャッジしているから、美の概念がバージョンアップすると、社会そのものもいずれ、求めていた世界に変化していく

◆お金を持った偉い人が「アートを大切にする」なんて言って、クラシックのコンサートを開いたりマネとかモネとか買ってる場合じゃない。何を支持して、何を達成したいのか。そのビジョンのために美の基準をバージョンアップすべき
◆どういう「美」を推し進めたら日本が生き残りやすくなるか。大航海時代に、ヨーロッパが武力でアジアやアフリカを植民地にする時だって、軍人や政治家だけでなく、宣教師も一緒についてた。力だけではなくて、ある種の価値観や「美」を変える仕組みをセットにすることが、昔から重要だった
◆インターネットが生まれたことで「表現すること」の敷居は下がったように見えた。しかし実は逆で、個人単位での発信が平易になると、個人間の才能の開きが露骨に見えるようにもなった。

◆場の空気が決めていることを「天皇」というキャラクターが決めたことにすることで個々人が責任を回避するための装置として機能してきた
◆コミュニティの中で実在しない人格を実在するかのように扱うこと、そしてその架空の存在、つまりキャラクターを介して個人が間接的に社会にコミットする、というのが日本の文化の本質にあると思う
◆日本のキャラクター文化って「性的なもの」と結びついている。昔から今に至るまで、セクシャルなイメージの回路を使って、キャラクターと言う感情移入装置を稼働させてきた。猪子さんの場合はテクノロジーで補っている。

◆文化を作る者には固有名詞からトップダウン的に創造されるものと、コミュニティからのボトムアップに生成するものという、二つのクリエイティビティがある。そして、この2つは大きく分断されている。
◆ジャンプが実践しているのは、作家と編集者のユニットで一旦閉じてしまって、日本の業界のどこともつながってなくていい、という割り切り。



第6章 尾原和啓
◆ここ20年の日本のインターネットの進化史をある視点から見れば、この先の民主主義のあり方だとか、共同体を作っていくための手がかりや道具がたくさん埋まっている。
◆尾原さんの「ITビジネスの原理」のなかでは、アメリカのインターネットは確かに「コストカットと効率化」が重視されているけれど、日本的な情報社会では「無駄と過剰性」を生むところにポテンシャルがある、と一貫して主張されている
◆結局、「過剰なもの」は僕たちのパワードスーツ。ある種のコミニケーション消費というか、「自分が強くある」と言う感覚を含めて、着ている気がする

◆選挙って短期戦だから、炎上マーケティングの方が効果が高い。炎上を起こして100万人の敵を作ると1万人ぐらいの味方ができて、その1万人の味方は熱量が高いから投票に行ってしまう
◆戦後の日本で言えば、農協は自民党、連合は社会党と結びついていて、田舎の農業従事者と都市の工業労働者の利益をそれぞれ代弁していた。でも社会が複雑化すると、自民党にも社会党にも自分の利益を代弁してもらえない人たちが出現し、都市部を中心とした浮動票になる。浮動票となった人たちは、マスコミによる世論形成に強く影響されて投票を行うようになる

◆ネットが社会の一部になった今だからこそ、ネットで起こったことが本当に現実社会を変えるようになる。その時一体何が課題になるのか?

◆効率化によって既得権益を壊すだけで、新しいものを生み出す量が少ないというネットのマイナス面だけを見て「ネットは悪いもんなんだ」と思って欲しくない
◆この「過剰性」をちゃんとポジティブに捉えられるようになると、楽天のように「物語を生む」ことでお金を払ってもらえるようになったりする

◆今まではコミュニティーを形成して集まったとしても、そこに集まった人たちの悩みを解決してくれる生活インフラが提供されないから、コミュニティを作る意味がなかった。◆これからは、ネットを使って彼らのライフスタイルに合った良い生活インフラを、コスト破壊して簡単に提供できるようにしてあげれば、集まる意味ができてくる

◆今までのシェアって、airbnbのように空いているキャパシティーを有効活用しようという観点からしかビジネスを作っていなかった。
◆シェアを通じてライフスタイルを群体にすることができるならば、必要とされるファイナンスサービスはこれで、ヘルスケアサービスはこれだというような形で、生活インフラを束ねたベクトルにできる。そしてライフスタイルが群体になると、政治に対しての圧力という話につながってくる
◆同じようなものを使用したいと思っている人や、同じものを必要としている人同士での連帯の可能性の方を目的にすべき

◆インターネットの良いところは「嫌な同調圧力をかけられたら他のところに行けばいい」という状況を生んだこと
◆6人のコミュニティだと空気を読まなければならないけど、500人とか1,000人のコミュニティになれば「既読をつけているのに返事をしない」とか、そういうことを気にしても仕方なくなる
◆いじめって30人や40人の規模で1カ所に集めているからなくならない。大学の大講堂みたいなところで授業やって、コマごとにメンバーが入れ替わる形式であれば、いじめなんて起こらない。起きたとしても逃げやすい。つまり、規模が大きくなると、ローカルな文脈の空気がどうでもよくなる

◆「子育てが楽しい」「子供がかわいい」とか、そういうシンプルなところで子供を作るということを動機づける以外には考えづらい。現状ではその「楽しい」というメリットの対価として、母親のキャリアが一瞬で水泡に帰すと言う大きすぎるリスクを負わなければいけない


つづく
その4 ラスト



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2017年8月26日土曜日

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛  その2

前回
その1

第3章 駒崎弘樹
◆政治という回路も遅いし、市民運動的なアプローチも力が弱い。であれば、自分で事業を作って目の前の人を助けて成功事例にして、それを制度化するロビイストとして振る舞うことで、官僚たちの意思決定回路に乗せて制度に接続して全体を救うと言う方程式があるのではないかと考えた
◆これまでのNPO業界は、自分たちのやっていることが現場オリエンテッドだから、国に対して「お前の机の上だけで政策作ってんじゃねーよ」と敵対意識を持ってしまいがちだった
◆もしかしたら変革のイメージと言うのは、救世主が劇的に現れてパーンと変わるよりは、いつの間にか良くなっている方がいいのかもしれないと思った
◆怒りが動機だった時は、いろいろな人を巻き込むのに失敗した。怒っている人には誰も近づきたがらないから。特に、怒る対象だった行政等は、うまく巻き込むことができなかった。でも、楽しいと思うようになってからは、巻き込める人が多くなった。

第4章 門脇耕三
◆少なくとも、スポーツ施設のみに特化したエリアを開発することによって問題が生じたという、オリンピックの歴史上の教訓が生かされている。しかし、そうした歴史を知らずに批判をしているから、今の議論はとても的外れなものになっている
◆再開発の結果生まれる新市街を実際に使っていて、文化的にも親和性の高い人たちが、オリンピックを「間」と思っていて、「電通の広告戦略になんて載せられねぇぞ」と反発している
◆逆に、テレビで「オリンピックが来ると日本の景気が良くなりますよ」と言われて「これで昭和の日本が帰ってくる」と喜んでいる人たちの住む旧市街は、はっきり言ってしまえば相対的に捨てられていこうとしている
◆旧市街はもはや文化を担う場所ではない。資本投下の対象になりきってしまった都心では、新しい文化を育てるなんてリスクでしかない。だから現在の都心では、既成の文化の二次消費的な動きばかりが目につく

つづく
その2



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2017年8月25日金曜日

静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話 宇野 常寛  その1

批評誌『PLANETS』編集長である宇野常寛が、

1 根津孝太、2 吉田浩一郎、3 駒崎弘樹、4 門脇耕三
5 猪子寿之、6 尾原和啓、7 落合陽一

という次世代を担う企業家やデザイナーと対談した本。

この本を手に取ったきっかけは、
落合陽一さんの講演をyoutubeで見て感銘を受けたからです。
まずこの本が手に入ったので、これから読み始めました。

やっぱり時代を進歩させるものは技術だったりデザインで、
自分で生み出せなくても、しっかり押さえておかなくてはいけない。

駒崎さんと猪子さんはテレビなどで知っていたのですが、発言を読むのは初めてだった。
特に駒崎さんの政策化するためのリアルスティックな考え方、猪子さんの「ビジョンのために美の基準バージョンアップさせる」というのは至言。

他の方たちは存じ上げなかったのですが(会社の名前は知ってたけど)、
それぞれの分野でのこだわりや見通しがあって面白かった。
っていうかこれだけ広い分野の話を捌く宇野さんも凄い。

さて、自分は何ができるかをしっかり考えなくてはいけないなあ。

第1章
◆若者の車離れが話題に上る時、僕はいつもこう言います若者に擦り寄っても、彼らはこちらに来てくれない。まず、カッコいいオッサンを作ること、あなたがカッコよくなることから始める。
◆最適化の話をすると、まずは自分たちの生活レベルを落とすところから始めよう、という話になってしまう。
◆お客さんに本当に喜んでもらおうと思ったら、お客さんの想像を越えて行くことが絶対に必要で、それがプロダクト・アウトの部分
◆結局のところ、僕らがこういう未来にしたいと考え抜いて提案した部分しか、これからは評価してもらえない

◆トヨタは高めてきた効率が生産効率だったら良かったが、結果的には管理効率を高めていた
◆日本的コミニケーションを逆手にとってクリエイティビティを伸ばすという発想を忘れて、形だけの欧米化としての官僚組織化を行った結果、日本的ムラ社会の悪いところだけが残ってしまった。
◆ステップを踏むことに、少しずつ車に対する欲望が変化していく
◆ミニ四駆工作教室を開催していていつも感じることの1つに、「動くものが持っているカタルシス」があります。苦労して一生懸命組み立てたミニ四駆がコースを走りだした瞬間に、子供は狂喜乱舞する

第2章
◆国からしてみれば、正社員と言う制度は非常にまっとうな選択。年収を正確に把握できるので、確実に税収を確保できる。
◆雇用の流動化を批判する自称リベラルな政治家やジャーナリストは、目先のことを考えて、すぐにみんなが正社員になると時代に戻そうという主張してしまう。
しかし、本来彼らは日本の家族的で、封建的な人間関係を知る日本の企業文化を批判して、もっと自由な働き方を訴えてきた人たちだったはず。

◆クラウドワークスでは受注者が5社と契約して毎月10万円ずつもらうという形式をとっている。そうすると、たとえ1社から契約を切られても、残り4社との契約があるから、個人が強くなれる。
◆アメリカで、クラウドワークスは仲間を変えてプロジェクトを組める世の中を目指しているという話をした。すると向こうの人はその感覚はよくわからない。仕事はプロフェッショナル同士がやるものだから、仲間と言う感覚は無いと言った。
◆仲の良い男女が、ある日突然Facebookでいいねを使わなくなったら、それはこっそり付き合い始めたサイン。このようにインターネットは日本的な文脈や空気を可視化する効果がある。

◆月々2万円のお小遣いをプチ稼ぎして夕食のおかずを一品増やそうというのもアリ。正社員ではない人たちを「お前たちはダメだ」とか「あなたは搾取されていることに気づいていない!」と決めつけてしまう議論は、リベラルなようでいて、実はすごく狭量。本人たちが楽しがっていることを、きちんと尊重できていない

◆土地と文化が生き残るのに必要な人口は1,000人から5,000人で十分
◆高千穂のような街に住むのは、その土地でないと生きられない人々、特に高齢者と、その土地と文化を守る仕事に従事している人だけでいいと思う。そして彼らの安全な生活とクリエイティビティを確保するためだけに税金を使うべき

つづく
その2



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レアメタル超入門 中村繁夫

2009年出版の少し古い本だけど…
なんだよ…超面白い世界じゃないか。

興味深かったのは、2009年1月に小池百合子現都知事が、予算委員会でレアメタルの備蓄について質問を行っていること。
筆者によると
「日本の国会で衆議院議員がレアメタル資源の重要性について質問したのは、筆者が知る限りでは初めてである」
「小池議員は中東事情や石油資源問題に詳しいが、金属資源についても戦略性を持つべきとの見識の持ち主である」

これは、環境大臣をやっていたことにも一種関係があると個人的には思っている。何故かというとレアメタルの採掘は、やり方によって物凄く環境汚染が生じるからである。

「ハイブリッド車が増えれば増えるほど、資源開発の現場で環境破壊が進んでいる現実がある。」
「先進国から見れば、ハイブリッド車は環境にやさしい乗り物であるが、資源国においては環境汚染の元凶になっている」
というような事情があり、採掘方法も国際的な行動基準に基づいた方法であればよいが、中国が行うような、「鉱石の運搬コストを削減するために、採掘現場に直接硫酸をかけて浸出採取する」というような荒っぽい方法では広範な土壌汚染が起きる。
また、アマゾンなどの森林減少も著しい。

秋田県北部には、鉱床があるが、国立公園の中にあり、環境問題をクリアしなければ、採掘が難しいという事情もある。
小池さんは、環境大臣の経験でこの辺の事情も詳しいだろうし、防衛大臣もやっていたから、安全保障的観点からもレアメタルの備蓄などの資源問題については関心があったのだろう(もしくはそういう助言ができるブレーンが居たのだろう)。

素人なんで、こっから先はふと思っただけだが、最近では電子部品に関してレアメタルを使う分量は削減できていると聞く、しかしテスラなどが強くEVを普及させればレアメタルの使用総量はドカンと増えるわけだし、その辺りどうなってるんでしょう。

とにかくモリブデンとかタングステンとか、聞いたことない言葉ばっかりで超面白かった。チタニウムとかは医療機器でも結構使われてるよね。

筆者の会社のHP、結構資料がUPされている。
アドバンスド・マテリアル・ジャパン
http://www.amjc.co.jp/


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2017年8月22日火曜日

HDAC(ヒストンデアセチラーゼ)を因数分解して掘り下げた

HDAC:ヒストンデアセチラーゼ。ヒストンの脱アセチル化を行う酵素。
     遺伝子の転写制御において重要な役割

ヒストン:真核生物のクロマチンを構成する主要なたんぱく質

クロマチン:真核細胞内に存在するDNAとたんぱく質の複合体

アセチル化:有機化合物中にアセチル基が導入されること
脱アセチル化:有機化合物中からアセチル基が除かれる反応
         ⇒遺伝子の発現・転写が非活発化

アセチル基:アシル基の一種、酢酸からヒドロキシ基を取り除いたものにあたる1価の官能基

アシル基:オキソ酸からヒドロキシル基を取り除いた官能基

官能基:化合物に特定の科学的な性質を与える基

基:原子の集合体

価:原子が何個の他の原資と結合するかを表す数


結論:
HDACとは、真核生物の真核細胞内に存在するDNAとたんぱく質の複合体
を構成する主要なたんぱく質の有機化合物中から、酢酸からヒドロキシ基を取り除いたものにあたる、原子が何個の他の原資と結合するかを表す数が「1つ」の化合物に、特定の科学的な性質を与える原子の集合体が除かれる反応をさせる酵素。

いやあ、分かりやすいですね。

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2017年8月20日日曜日

陸王 池井戸潤

まあ、熱くなっちゃうよね。
もうちょっと技術とか薬の勉強しないとな。

◆走るなら一般的なランニングシューズと決めてかかっていた。そうした既成概念を覆すと商品を市場に投入する際相当の勇気と決断がいったはずだが、それこそが新規事業と言うにふさわしい
◆アトランティスだって、50年近いシューズメーカーとしての研鑽の上に今がある。

◆金がないって、世の中への言い訳にはならないですからね
◆グラウンドの中にまで経営学を持ち込むんじゃねぇよ
◆一流大学を出て、アメリカの有名大学で経営学修士号を取得している小原のような人間の代わりはいくらでもいる。だが、30年間、陸上競技の現場を見続け、これほどまでに数多くの選手たちの信頼を勝ち得ている男は、他にいない

◆あんたは今まで手抜きをしたことがないだろ
◆会社にとっての本当の危機とは、実際にお金に困ることになるずっと前にあるのではないか。往々にして、そういうときの会社にはまだ余裕がある。その余裕に任せて、本来すべきことを怠り、必要な改革に着手しなかったがために、数カ月後、いや数年の時を経て、目に見える危機が訪れるのではないか。そうなる前に、あなたのいってを打つのが経営者の仕事ではないかと思うのである。

◆その「ちょっとしたこと」に気づいて乗り越えるまでが、実は「大変なこと」に違いない。
◆銀行と言うところは、融資を承認する理由を探しているんですよ。それを提供してやらないと
◆真剣に向き合えば向き合うほど、あるか無いかわからない自分の才能や可能性を信じるしかない。

◆シルクレイという新しい素材や、ランニングシューズに関するさまざまな知識終えた今、またその技術と知識を、逆に本業の足袋へ生かすことができるのではないか
◆難しい経営の理論はわかりません。でも、儲けを逸する事は、損失ではない

◆どんな仕事してたって、中小企業の経営だろうと、大企業のサラリーマンだろうと、何かに賭けなきゃならない時ってのは必ずあるもんさ。そうじゃなきゃ、仕事なんかつまらない。そうじゃなきゃ、人生なんて面白くない。

◆我々だって同じように生きるか死ぬかの覚悟が必要なんじゃないですか。でなきゃでなければ、安易にシューズなんか供給すべきじゃない。金の事はともかく、今私が聞きたいのは宮沢さんにその覚悟があるのか、ということです

◆利益は小さくても、ウチはそうやってこの世界の片隅に、狭いながらも生きていけるだけの版図を得てきました。それに価値はないんでしょうか


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2017年8月19日土曜日

文明と病気 下 シゲリスト その2

前回
その1

◆脾臓肥大は慢性マラリアの一症状であり、その恐ろしく肥大した脾臓を肝臓よりももっと容易に触れることができたであろう
◆四体液の学説をガレノス、さらにアラビア人、特に11世紀初期のアヴィケンナがいっそう発展させた
◆ガレノスは薬物を性質の違った四群に分け、各群はそれぞれ強さが四段階に分かれていた。彼の体系は医師にはっきりした指示を与えたから、アラビア医学においても西欧側の医学においても、中世に非常に広く用いられた
◆人によって血液、粘液及び黄胆汁がそれぞれ生理的に優勢を占めるものと仮定され、アラビア人はそれらをそれぞれ多血質、粘液質及び胆汁質型と記述した。これらの見解は長い間存続し、それを知らなければシェイクスピアの劇を理解できない

◆古代には科学、すなわち高度に発達した数学、物理学、天文学が存在し、また生物学において科学的な実験が行われたが、健康と病気の解釈には、科学的な手段が手元になくて、これらの現象を理解したいという望みは哲学的な思索によって叶えられた
◆パラケルススは病気の仕組みを説明することで満足しなかった。彼は人はなぜ、そしていかにして病気になるかを知りたいと思った。彼は1冊の本の中でこれらの問題を論じ、それにからパラミルム篇と言う不可解な題をつけた。それは5つの生活界すなわち健康と病気における人間の生活を決定する5つの領域を取り扱っている
◆ラヴォアジエが科学に量的な方法を導入するまでは、生理学を化学的観点で正確に説明するのは不可能であった。

◆医学は非常に徐々に進歩し、無限に多くの問題が未解決であったし、今なお未解決で残されている。これは大変不満足なことで、したがって医師は常に自分の科学的知識を哲学的な思弁によって補う傾向があった
◆民衆はいつも性急であったし、自分らの知識で説明できなかったものを説明する概念を作り出してきた。アリストテレスは生命を持っている自然物とそれを持っていないものを識別した

◆ドイツ医学は着実に、まっすぐ発展したのではない。いつもそれは一極端から他の極端へと動いた。これはその弱点であると同時に、またその長所でもあった

◆国の政治哲学がその科学に大きな影響を及ぼすことを歴史は我々に教えてくれる。医学は理性的な問題であり、したがって中世、ドイツロマン主義の時期、それに今再びファシズムの下におけるが如く、基礎となる哲学が神秘的であるときに、医学は栄える事はできない。
◆ファシスト国家において医学を崩壊から救ったものは、その帝国主義的プログラムであった。現代の戦争は高度に科学的な実験であって、医学のあらゆる手段を必要とする。
◆総力戦を準備する必要から、ファシスト医学はある程度地に固着し、神秘的な思弁の中に自己を失うことなくてすんだ。


つづく


  

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2017年8月18日金曜日

文明と病気 下 シゲリスト その1

下巻、やっとまとめます。

上巻その1
その1

上巻ラスト
その8

◆病気は人体に起こり、ある機関に局在するが、どの機関も互いに関連があって、1つの有機的な全体を形作っているから、犯されるのは常に全体である。そして体と心が1つであるから、病気は肉体的ばかりではなく、精神的にも経験される

◆多くの部族の薬物の知識は全く広範囲であった。しかしこれらの一見合理的な治療法は術的な儀式の一部として用いられたのである。薬は薬として作用したのではなく、薬を授ける儀式、それに唱える呪文が薬に病気を治し苦痛を和らげる力を与えた。

◆医学の歴史においても紀元前6世紀は、転回点である。健康と病気の本質を解釈しようと努力する医学の合理的な体系が発展した
◆合理的な医学は発達したものの、宗教的な医学、それに技術的な医学さえもが決して滅びなかった。原始的な医学の要素は皆今日まで幾百年、幾千年も生き延びた

◆自然あるいは社会の大変革時のように神秘哲学が支配しているときには、宗教的な医学と呪術的な医学が指導的な立場に立った。恐怖が理性を押し殺し、民衆は原始的な段階に立ち返り、自分を脅かしている災いを呪術の方法でそらそうと努める
◆暗示とか自己暗示がある種の病気の症状を除き得る事は疑いがない。信心、宗教上の熱烈な緊張は治療に最も好ましい心の状態を生み出す。

◆伝染性の病気であるいぼは暗示に非常に要因に反応することはよく知られている。したがっていぼはあらゆる種類の治療礼拝に非常に頻繁に登場する
◆不愉快な経験はしまい込まれるが、愉快な経験は長い間記憶されるように、失敗はすぐ忘れられ、治療が成功すると注意して記録されている。

◆キリストの時代にはどの礼拝においても病人の治癒は重要な役割を演じていたから、新しい宗教は、同じように奇跡の地位を約束しない限り、それと競争できなかった。福音書は多数の治療を物語っている。
◆時々キリストは奇跡の治療の典型的な仕草である手を触れることによって民衆を直した。
◆ペテロやパウロや他の使徒は同じ治療を行った。彼らは神の力の最も強力な実証と考えられ、異教徒の改宗に重要な役割を演じた。

◆ギリシアの医学は異教徒の技で、初期の教会では相手にされなかった。紀元前2世紀にはガレノスのキリスト教徒の学生は破門された。しかし漸次和解が生じた。
◆マリアには治療の能力があり、そのためフランスだけでも約40の教会がマリアに捧げられた。
◆聖人は漸次特定の病気の場合にその助力が求められる専門家となった。

◆宗教的な医学は新教内で各種の方法により組織され、信仰による治療の望みを強調したいいくつかの教会が現れた。その中で最も普及しているのはいわゆるクリスチャン・サイエンスで、それはメリー・ベイカー・ エディによって創始された
エマヌエル作業健康学級:この運動は決して科学的な医学に対立するものではなかった。それどころか、それは一流の医師と協力し、医師は患者を検査した後そこへ入れた。別の言葉で言えば、それは医師に代わって牧師が行い、宗教的な要素を用いた暗示を主とする心理療法であった。多くの神経症の患者がこのような方法で治り、あるいは少なくとも病状が好転した事は疑いがない

◆医学が病気を根絶すると言う目標に到達しない限り、常に奇跡を信じて宗教あるいは呪術にさえ助けを求める患者がいることであろう

つづく
その2
 

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