2016年12月30日金曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 6 ラスト

ラストです!

前回
その5

≪第2章3≫

◆革新官僚の代表通算当局は、このときすでにチェーンストア志向企業群を中小商業としてではなくて基幹産業の一つとして予見し、対応していた。43年通産省は「流通産業の展望」を発表し、チェーンストア産業への期待をいち早く宣言した
◆四S主義
(1)スぺシャリゼーション:あるべき形の徹底による差別化、特殊化
(2)シンプリフィケーション:未熟者でも確実にできる仕組み
(3)スタンダーディゼーション:仕組みのより的確な実行と改善のための工夫
(4)セグメンテーション:いろいろ手を広げない、その代わりに完全に実現する

◆終身雇用制が日本企業の常識といわれるが、勤務先の流動性のトレンドは、この業界(小売・フードチェーン)が昭和40年代前半からすでに実行中で、終身雇用年功序列制を破壊した最初の業界なのである
◆変革とは別名、経営体質手術の連続を意味している。彼らは現実に経営手術を繰り返して、脱皮と転換を繰り返してきているのだ
◆国民性や常識や慣習、風俗の違いが日本ではしばしば強調され続けているが、私たちはそれを割り切って違いの方を見直そうとした

◆チェーン志向企業に従事する人々は、日本国民の暮らしの実体と水準とを左右する立場になりつつあることを、この上泣く深刻に自覚しなけらばならない

◆昭和53年からお目見えしたぜネリック(商品本来の一つの機能だけを実現する特別廉価品)はたちまち他のチェーン化勢力も追いかけた
◆トレード・オフとは、これまで業界常識から必要としてきた商品の性質を、「買う」立場ではなくて「使う」立場で再検討し、無駄な性質をすべて捨てて必要な性質だけを与えた機能主義の廉価"暮らし"用品だ。食品から始まって日用雑貨、服飾、住居用品へと拡大中である。





この本の下巻的な本。
チェーンストア経営の原則と展望

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2016年12月29日木曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 5

前回
その4

≪第2章2≫
◆大チェーン・ビジネスになった企業は、食品ではコーヒーや紅茶、非食品では腕時計や旅行トランク、ドレスなどを、プライベートブランドとして廉価で売り出して成長した
◆江戸時代から消化に伝わる家憲や家訓通りに、2桁の店数になればたちまち管理の限界に到達足して倒産するのである。
◆こうした家憲や家訓は店数を5店、あるいは7店までにとどめるように規定していた。だからこれらはいずれもビックストアまでいかなかった

◆まず江戸時代から町民たちの間で語り伝えられてきた商人道を、現実の業務の形で狼煙をあげた。それが昭和30年から始まった「主婦の店」運動である。
◆営業形態と計数管理とは確かに新しい武器であったし、店は客のためにあるとの精神はしっかりしていたものの、ビックビジネス化していく方策はまだ大きく欠落していた
◆基盤づくりの寛容さについて既に気づいていた倉本長治、喜多村実の助言の下に再出発を図ろうとしたのが、渥美俊一(筆者)が主催するペガサスクラブの運動であった
◆昭和30年代、私どもがチェーン化産業づくりの旗揚げをしようとした頃は、大学を出て商業に就職するのは商社と百貨店だけだった。一般の小売店やフードサービス業へは、店主の息子ですらも逃げ回ったものなのだ。普通に教養のある人物なら、絶対に就職するところではなかった。これでは、いかに繁盛店が生まれても立ち消えになるばかりである。
◆優秀な素質のある人物たちを採用し、さらに長期間の教育で人を育てることができる仕組みがなければ、商業本来の社会的任務と経済的機能を果たせるはずがない。そのためには、何十年も勤務させられるような労働環境作りをしなければならない。それには賃金支払性の確保、すなわち労働生産性の確保ができ、しかも企業をビッグ化できる経営システムが必要なのだった。

◆19世紀以降、ビジネスの世界における貢献者は熟練した技術者集団。彼らが文明を築造してきたし、21世紀にかけてますます技術者の時代になる

◆売上高100億円や1000億円くらいでは国民生活へ貢献できるパワーをまだもちえないことは、チェーン化の当事者の方がわきまえている
◆結局、ビッグストアづくりという段階を簡単にいえば、経営戦略的にいえば不動産獲得業とマンパワー育成業を経営戦略の重点とする

◆まだ担当者たちが未熟で生産者に対して発言権もなく、みずからの開発力もなく、管理水準も低い以上、商品対策は他の既存の力、とくにベンダーの力を上手に活用する以外にすべがない

◆零細浮遊、水泡のごとき存在からビッグストアへの足掛かりは、お客に対し便利さの提供に専念すること、それが提供できるご利益だ、と徹しきることなのだ。
◆誠実さ、立地、店の広さ、売価の低さ、セルフ・サービス、多店化とにかく、こうした便利さを実現できるあらゆる手を使いこなすこと、それが経営戦略の内容でああった

続き
その5




続き
その6

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2016年12月25日日曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 4

前回
その3


≪第2章1≫
◆わが国で生活水準の向上とは、まず動物的生存に必要なモノの充足が先決であり、次いで文化的支出を次第にふやしていくことだとしている
◆昭和50年代以降は高級化=趣味化=感性化=オモシロ化の方向をたどるという話に発展していく。そうしたかん考え方は、国際的に比較すると、欧米人とまったく異なる。

◆産業革命のご利益は、豊かさの庶民化にとどまった。庶民化とは、その良さを入手できる人を一人ずつふやしていくこと。アメリカでおこった新しい革命はその修正としての大衆化。
◆大衆化とは、一挙に国民の大部分、およそ八割くらいが豊かさを享受できる状態にすること

◆チェーンストアの経営のシステムは、大衆の暮らしを王侯貴族や一部の特権階級と同様な豊かな水準にまで引き上げようという、革命的な経済制度づくりである
◆暮らしの向上とは、何かすばらしいことができるという状態のことではない。ずっとよい状態が続くこと。言い換えれば、高級化ではなくて日常化だ。日常生活が充実して、初めて本当の生活水準の向上なのである。
◆ライフ・マネジメントのための支出とライフ・エンタテイメントに対する支出とは、一人の人間、一つの家族の中で並行し、そして互いにバランスがとれ、互いに調和したものであり、しかもそれが日常であり、ふだんである状態が、少しでも充実していくときに、生活の向上があると表現する。日本にはそれがない。

◆経済のあるべき仕組みは、使う立場、食べる立場、楽しむ立場、商品を提供できるようになっていなければならない。しかも、だれもが気軽に入手できる価格と方法とである

◆材料製造業は製鉄、紡績、化学工業など素材産業のことであり、動力革命が最も大きく実りをあげた分野である
◆材料製造業だけがとてつもなく巨大化してくので、つじつまが合わなくなる。そのため全生産計画の主導権を握って、一方では原料製造業に生産命令を出し、他方では製品製造業に対し生産指示をすることになる。彼らは、製品製造業をも、彼らにとっては流通だとさえ考えたのである
◆この現象がメーカー系列。当然にこれまでの流通分野にもその系列化が及んで、小売業・飲食業は材料製造業の指定する軌道の上だけで営業を強制され、その下請け配給機構と堕落していくのであった

◆一部の識者が流通段階が複雑で多数と言い、先進外国の人々が日本の流通そのものが不可能というのは、小売業、フード・サービス業に隣接する問屋・卸売業のことではなくて、実は製品製造業分野内でのことである
◆日本のほうは材料製造業の方から、この材料をどれだけ使えと指示するわけだが、製品製造業の方は実需が分からないから、加工を一段階やるたびに、需給の模様眺めをし、その調整とリスクを背負う別の商売、つまり問屋・卸売業が介在しなくてはならない
◆チェーンストア産業の成立している欧米での小売価格は、製造原価の二倍弱ですむ。理由は、仕様書発注品については計画と実績との差がわずかであるからだ。
◆使う立場になって商品生産のプロデュース業の役割を果たすのが、チェーンストアの任務なのである。それができないかぎりは、チェーンストア産業の革新性はない。そうして初めて、第一次産業革命の長所をとり、その短所を矯めた商品提供ができる。







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2016年12月22日木曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 3

前回
その2

≪第1章の4≫
◆チェーンストア経営の目的は、一部特権階級のみが享受できる欧米の豊かさへと、国民大衆の毎日の暮らしを変革すること
◆経済民主主義とは、生活民主主義が現実のものとなるような経済の仕組みづくりに努力すること

◆ビッグストアづくりには経営戦略が不可欠
◆チェーンストアづくりは、資産と人材との準備ができてからもう一度、第一店から出直しての店づくりとなる

◆たとえば、1ダースなら安くなるといい、100ダースならもう少し仕入原価は低くなる。500ダースなら、さらに若干下がるかもしれない。けれども実際問題として、日本の現状では1,000ダースになるとかえってコストが高くつくはず。5,000ダースなら、確実に間接コストも高くなっていく。
◆ところが10万ダースになると、材料や加工方法や集荷ルートがまったく一変して、一挙に最初のコストの半分以下で入手できたりする

◆200店を超すと、まったく別の領域で創造活動が可能となり、まったく新しい方法で商品づくりと店づくりとマネジメントについての創造活動ができるようになる
◆日本で、わずか数点なのにチェーンと名乗っているにせものは論外としても、20店を超せば名実ともにチェーンのつもりになり、50店を超えてもう自他ともに許すモデルになった雰囲気があるのは、噴飯ものである。

◆商品開発イコール製品開発ではないし、また技術的には提供方法の開発、その研究と改善の方が、製品開発と取り組むよりもさきに確立されるべき課題
◆マーチャンダイジングという概念は、日本の大学では無視されている。アメリカではマーケティングの中の商品に関する開発行為の総称とされている。いってみれば売れる商品づくりである。売る仕掛けのことではない
◆規格化と修正化の二つが集まって繰り返されていく過程が、標準化である

◆主婦たちが、プラカードを持って抗議運動を展開した。そのスローガンは「シアーズ社よ。われわれアメリカ国民を裏切るのか」だった。
◆シアーズ社こそ、アメリカの人々が、チェーンストアとして、アメリカ国民の生活を守り育て豊かに維持し発展させる社会的機関として、考えていた証拠なのだ。

客数のふえつづけていることが最も重大な数値的指標というべきである。決して、売上高や、純益高や、賃金水準や、経営効率ではない。いわんや、上場株価や従業者の自己満足感で、その貢献度あるいは成就度をはかってはならない
◆ビッグストアづくりというチェーンストアづくりへの準備過程では、関係者は右のような瞬間的にだけ必要な数値に、気を奪われやすいことを、反省しなければならない

◆チェーンが否定する言葉
・大売業(量販店)
・繁盛店
・小さくてもビューティフル
・名声店
・ファッション・トレンド店

・自家製造
・大量仕入れ・大量販売
・メーカー直結・産地直結
・中間段階の排除
・現金仕入れ

・流通は暗黒の密林
・流通の近代化
・流通業零細性の救済

続き
その4





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2016年12月8日木曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 2

前回
その1

≪第1章 2≫
◆現状肯定の立場から出発する以上、出てくるものは姑息なあの手この手しかありえないし、人手をかける値打ちのあるビジネスは生まれてくるはずがない
◆流通革命が、しかも昭和40年代に早くも行われたとするのは、その言葉の意味が百貨店という代表的既存勢力に新しく"スーパー"・グループがとって代わったことだけをさしているにすぎない

◆流通革命とはチェーンストアが経済の仕組みを変えること。製造段階のそれが、見込み生産体制から受注生産体制へと切り換えられること
◆「作る立場・売る立場」から、「使う立場(食べる立場)・買う立場」に転換した商品生産体制にすること
◆国民大衆の暮らしのニーズとをンつに応える商品提供のプロデュース体制


≪第1章 3≫
◆識者の多くが日本は"暮らし"まで豊かになったと錯覚しているが、それはとんでもない無知である。日本人の大衆の暮らし、日常生活は、まことにみじめで貧しい。
◆消費財、とくに日常用品はモデレート・プライス(製造コスト積み上げ型の中級売価)ばかりで、用途も多目的・多用途の見せかけの品がほとんど。使う側からすると、調和のない生活しかできない
◆アメリカのチェーンは品種数は多いが、ほかは絞られている。TPOSごとに必要な品種はコーディネートしてそろえられ、当然に売価はプライス・ポイント(中心値ごろ)に集中し、スタイルと色数はホット・ファッションばかりだから、その数は少なくなる。スタイルと色数が少ないからコーディネートもできることになる

◆豊かさが味わえる10条件
⇒本を読んでみて下さい

◆流通革命の三条件
①ビッグストアづくりで、資産と人材の準備
②標準化された多店化づくり
③同志企業が数百社にふえる

◆チェーンストア産業が変えようとしている事例(たくさんある中から気になったものを抜粋しました)
(国際ブランド)
・ルイ・ヴィトンのバッグを持って大シャンデリアのある会場でのパーティーに行く
(このブランドは本来、旅行用品。日本では、高いものはなんでもよそ行きという考え方が定着している)
・今、アメリカでエスニック(少数人種)の間では、国際ブランドがもてはやされている。(彼らは手に技術がなく、収入が不十分なので、普段の暮らしを豊かにする方法を知らず、虚勢をはるためだけに買っているとされている。もちろんコーディネートはしていない)

(食品)
・小麦粉を用途別に調合している例は、わずか。(おいしいパンケーキもマフィンもつくれない)
・牛肉は霜降りが最上とされているが、牛肉そのもののフレーバーは重視されない。(本来、赤身でないとフレーバーはないし、よい肉の定義が他国では違っている)
・挽き肉は脂肪分をふやして、売価を下げている。(欧米では脂肪分の含有率を表示して、脂肪分の少ないことを誇示している)

(住居)
・壁と床と窓が、色も風合いもチグハグ、ほとんどが縞柄と植物柄
・シーツとタオルを、中元と歳暮などギフトにする。(欧米では、これらこそ主婦のセンスで我が家のために選ぶのが常識)

(衣類)
・男性の部屋着は、ジョギングウェアかパジャマかステテコだけ
・トップとボトムとシューズが、互いに無関係な売り場で売られている
・もともと衣料が高すぎるから、単品買いになる(アメリカでは、婦人物上下で計35ドルまでで7割が買われている。一度に上下そろえて、あるいは同時に着る品種をコーディネートして買える)

(化粧品)
・1個3,000円以上が主流である(アメリカは、値ごろは1.25~3.50ドル)
・中年になるとお出かけのときしか使わなくなる、ふだんはあきらめてしまう。(高価なのと、種類が少ないため。日本の女性と夫は気の毒である)

◆日本女性の貧しさ(2ページ半に渡って平均的女性の独身時代から中年までの消費事例がツラツラと書かれています…)

◆人々の暮らしを真によくするためのわれわれの努力は、このわが国の消費財提供システムの欠落部分を、国民大衆のニーズとして充足すること


つづき
その3





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2016年12月7日水曜日

無資格医師の中絶による水口病院の死亡事件について~問題点は?~

タイトルどおりです。

悲しい事件ですね。
旦那さんの身になって考えると泣けてきます。

この記事では、無資格医師による中絶とはどういうことか、
日本における中絶問題を含めて簡単に解説します。

◆日本では中絶は犯罪
我が国の刑法では、中絶は堕胎罪として、
犯罪であると明確に定められています。
この場合、自分で堕胎した女子、堕胎を行ったもの(医師や医師以外)が対象です。

◆母体保護法による違法性の阻却
ただ、実際には中絶は広く行われています。
これは母体保護法という法律があって、その条件に合致すれば、
刑法違反の状態をチャラにします(違法性阻却といいます)、
という条件にあてはまっているためです。

件数としては近年では約20万件で徐々に減少。
ただ、この数値は資格のある医師(母体保護法指定医師)の届出に基づくので、
こういう事件があると、統計の信憑性も疑わしくなってきますね...


◆母体保護法とは?
wikiより。
 母体保護法(ぼたいほごほう、昭和23年7月13日法律第156号)は、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等により、母性の生命健康を保護することを目的とする法律である

◆母体保護法による条件(母体保護法第14条)
第十四条  都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
 
 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。

 
現在、我が国における90%以上の中絶は一の「経済的理由」により行われています。
子供が生まれれば経済的負担はかかるため、
どんな場合も経済的理由に当てはまるためです。
実質的には、意思があれば自由に中絶を受けることができるわけです。
 
今回の事件の中絶は、
それとは違って「母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」のようです。
報道を見た限りでは。
患者さんの側としては条件を満たしていたわけです。

以上を踏まえて。
 
◆結局今回何が問題だったのか。
今回のポイントは2点、
①無資格医師による中絶だった
②術後の予後不良でお亡くなりになった
 
◆①について
無資格とは、母体保護法14条にある、
 「都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師」
ではなかったということです。
いわゆる「都道府県医師会の指定」を受けていなかったと。
 
これはもう全くダメです。言い訳しようがない。
この医師が別の県から移動してきたばかりの可能性もあるのかなと考えたのですが、
12件くらい手術をやっていたという報道を聞いたので、そういうことでもなさそうです。
 
しかも医療機関ぐるみで分かっていてやっていたようですから、
医療機関も完全にアウトですね。
確信犯。
 
従来は、上記の指定医師の指示の下では、
指定医師でない医師が手術を行うことについてもOKだった。
その名残があったのでは...という報道も見ましたが、
「2人いる指定医師が休みだったから、今回の人が手術を行った」ということで、
これも言い訳できませんね。
 
◆②について
これはしっかりと調べなくてはいけないところで、
この医師が無資格だったということは確かに悪い。
 
ただ、それとは別に、一般的に、
今回のような中絶手術を行った場合、
こういった予後不良が一定程度起こるリスクがあり得るのかということです。
 
何故かというと、仮に通常の指定医が行った場合でも、
このような予後不良は起こりうる可能性(リスク)がある場合、
予後不良=訴訟という方程式になり得るからです。
 
医療機関側の術後の管理が悪かったのか、
一定のリスクに該当してしまったのか。
 
これは専門的見地から切り分けてはっきりさせないと、
他の産婦人科医が行う中絶手術にも多大なる影響が出ることが想定されます。

ただ、今回の行政解剖にも何かおかしな点があるようなので、
どうなるのか...というところです。
 
◆まとめ
今回は無資格であったことが問題。
違法性が阻却されないため刑法の堕胎罪に該当すると考えられる。
 
女性が死去したことについては、
無資格であるがゆえに医学的管理が不足していたためなのか、
医学的手法は適切(無資格なので「適切」ということはあり得ないが)だったが、
予後不良や、受診の遅れが原因だったのか明確にする必要がある。
 
中絶後の女性の死亡=訴訟という形にしないようにする必要がある。


以上、コメント等でご指摘、ご質問お待ちしております。

2016年12月4日日曜日

チェーンストア経営の目的と現状 渥美俊一 1

≪まえがき≫
◆第一次産業革命による素材工業、材料製造業優先の経済システムを修復し、「作る・売る」立場から「使う・買う」立場に変わった生活財提供システムを構築するのが、チェーンストア産業のめざすところ

≪第1編 1≫
◆一店ではできるはずのないことを、特別に工夫された経営上のシステムによって、素晴らしい暮らしというご利益を国民に提供するものというのが、つまりチェーンストアという言葉の本来の意味
◆標準化とは、①最良の方式を発見し、②関係者に教育し、③そのとおりに実行できる状態をつくりあげること。そして、④あらかじめ想定した期間が過ぎたら、その規格を改善・修正し、さきの①からまた繰り返すという過程をまとめていう

◆アメリカをはじめ欧州を含めて文明先進国では、11店以上を直営する小売業あるいはフード・サービス業とされている
◆欧米における歴史的経験からみれば、そうした画期的な経営的効用が生まれてくるのは、標準化されたテンポが200店以上出そろってからのことである
◆厳密に標準化されたもので200店を超えるところは20世紀末では一社もないのが実情である

◆ボランタリー・チェーン:一つの本部と多数の加盟店とで構成された経済事業体である。それぞれはまったく独立した法人格をもっていて、営業活動の一部を協同でやるもの

◆競争段階の初期においては、リテイラー・オウンド・コーペラティブ・チェーンという協同行為も生まれてくる。
◆リテイラー・オウンド・コーペラティブ・チェーン:小売業やフード・サービス業の小売店が協同で本部を構成し、加盟店の中の有志が資金と人手とを拠出し、全加盟者が運営費を負担する。

◆競争が激しくなってくると、これでは弱体なので、ホールセラー・スポンサード・ボランタリー・チェーンの形をとることが、欧米では普通。
◆ホールセラー・スポンサード・ボランタリー・チェーン:有力な問屋が数社集まって共同で本部を新会社として作り、一般加盟店を募集する形。運営費用は、本部から供給した加盟店の商品仕入額に応じた手数料でまかなわれる。

◆1990年代後半から、いよいよ日本の小売とフード・サービス業界にも、初めて欧米並みの、あるいは日本の製造業界におけるのと同様な競争が発生し、激化しはじめた。
◆しかし、事業のノウハウを知らないが多少の資産はある人々に事業を展開させられるという社会的貢献はあるものの、経営のやり方を細かく規定し違約には制裁がある点で、厳密には独占禁止法違反行為を本部側がやることになる。そこで公正取引員会では、健全なフランチャイズ・チェーンなら容認するという立場を、欧米同様にとっている
◆フランチャイジーそのものにみずから築きあげた管理技術があるわけではないので、小規模店向きであり、とくに我が国の場合は契約遵守の観念が希薄なので契約違反が時折り起こって、脱退者も少数ながら絶えない
◆加盟店は別法人だからチェーンストア以上の権威を本部側がもたねばならぬのに、フランチャイジーの資産をかつようできるという安易な通念から、無手勝流の単なる開店代行屋や、巧妙に納入業者からピンハネするまやかしものが続出する危険も指摘されている

◆生協活動はつねに生協運動と呼ばれるが、チェーンストア経営のめざすところと大規模経営の方式との二点で一致している部分が多い。ふつうのチェーンストアが株式会社であるのに対して、生協の資本は一般消費者で、しかもいこ^る生協の顧客である点が違っている
◆コンセッショナリー・チェーン:特許が与えられた、あるいは租借されたという意味で、店名を表示しない売場出店チェーン

◆ローカル・チェーン:一つの商勢圏内に集中的に11店以上を出店しているチェーンストア
◆リージョナル・チェーン:社内に2つ以上、ローカル・チェーンを持つ
◆ナショナル・チェーン:社内にリージョナル・チェーンを2つ以上、複数で持つ
⇒ローカル・チェーンと呼べるものがなければ、どの3種類にも属さない
◆チェーンストア経営のあるべき形がいつもドミナント・エイリアづくりを前提としている



つづき
その2




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2016年12月2日金曜日

文明と病気 上 シゲリスト 9 ラスト

ラストです!
ペスト、発疹チフス、マラリア、王の権威、
本編ではもちろんもっと詳しく歴史的観点から書いてあります。

読んで見てください。

前回
その8


【ペスト】
◆歴史上中世と呼ばれている時代が、ヨーロッパが経験したペストのわずか二つの大流行に始まり、それに終わっている

◆14世紀、1348年にはペストは猛襲をし、再び世界を震撼させた。今度それは黒死病と呼ばれた。
◆病人、死者の数は2500万から4000万と見積もられた。ヨーロッパはたぶん人口の4分の1から3分の1程度を失った物と思われる。
◆人々の反応は放恣と浪費に身をもちくずすか、あるいはもっと多くはざんげをして禁欲に頼るかのどちらかであった。
◆南ドイツではユダヤ人が迫害され、その家の中で幾千となく焼かれた。大災害がある時にはいつで人々は身代わりの山羊を探す。ユダヤ人にたくさんの負債がある貴族と市当局にとっては、ペストはユダヤ人という軽蔑していた債権者から手を切るよい機会となった

◆スペイン、ドイツ、ポーランドとロシア、ビザンツ帝国、どこででも軍事行動はこの流行病によって中断されるか、あるいは全く停止させられた
◆黒死病は、ヨーロッパの歴史において新しい時代の下となるべき新しい経済秩序の勃興に道を開いた点で大きな役割を演じた
◆ペトラルカ、ボッカチオなどイタリア・ルネッサンスの入口に立っていた人々はペストと同時代の者であり、ペストは6世紀におけると同じく14世紀というヨーロッパの歴史の転回点に起こった

【発疹チフス】
◆軍隊に十分に組織された医療部隊が配属されたのは比較的最近のことであり、将軍連は軍医を必要悪や害になるものとしか考えず、自分の計画をいつでも妨害しようとしている人間と考えがちであった。
◆ルネッサンス以降、発疹チフスは軍隊を打ち破り、多くの国の一般市民を苦しめるもっとも危険な敵の一つであった。
◆ルネッサンスから現代に至るまで発疹チフスは歴史的な事件を起こすのに大きな役割を演じた。
ナポレオン戦役を含めてその時代のほとんどすべてのヨーロッパの戦争では、戦傷よりも発疹チフスで死んだ者の方が多かった

◆発疹チフスはロシア人に良く知られている(憎むべき)病気であった。革命前の20年間にこの国では毎年平均して8万2447例が記録されていた。飢饉とか穀物の凶作の時にはいつでも罹患の数は倍以上になった
◆1918年から1922年の4年間に2000万人から3000万人の病人が発生し、10%が死んだと推定しても間違いではない。しばらくはロシア革命の運命は発疹チフスによって左右されそうにみえ、1919年にレーニンは「社会主義がしらみを打ち破るか、しらみが社会主義を打ち破るかどちらかである」と言った


【マラリア】
◆1880年にアルジェリアでラヴランは血流中に進入してこの病気を起こす原生動物を発見した。
◆マラリアの蔓延がギリシア人に不幸な影響をおよぼしたことは疑いがない

◆イタリアでマラリア研究に生涯を献げたアンヂェロ・チェリの研究
◆ローマの待ちを取り巻いている土地、古代ローマ平野の歴史を決定するのに重要であった。
◆この地域は時々全くの荒地であり、また別の時には生命の充ちた生き生きした景観であったことに彼は注目した。
◆チェリの歴史研究によれば、ある地域においてはマラリアが周期的に起こっている。この病気は一つの地域をとらえて拡がり、すべての生命を追い払う。そしてそれから数世紀の後に、まだ理由はわからないが、この病気は漸次後退して生命が帰ってくる。

◆古代の神々は患者に触れることによる奇跡の治療を行った。アスクレピウスは自分の神殿に泊まっている病人の夢の中に現われ、その両手で触れ病人を治した。
◆古代ローマの皇帝達は神性を持っていて神のように崇拝され、そのうちの若干の者は治療をおこなったことをわれわれは聞いている
◆塗油式を通して王は神性の力を与えられ、王が病人に触れると神は病人を治した

◆るいれきを治すというフランスおよびイギリスの帝王の力は王権の象徴となって注意深く守られた

瘰癧とは、
頸部(けいぶ)リンパ節が数珠状に腫(は)れる、結核症の特異型。感染巣から結核菌が運ばれて起こる。頸腺(けいせん)結核。結核性頸部リンパ節炎頸部リンパ節結核

◆権力の地位にある者が病気に罹った時、病気によってその人の行為は影響され得る。歯痛は人を著しくいらいらさせるし、頭痛とか感冒は気を重くし、肺炎は人をうちひしぐのであり、このことは人が盛大なる決定を下すことが予期される決定的な時期にも起こり得る。
◆確かに歴史は個々の人間によってつくられ、その人間が健康か病気か、正気か狂気かによって差ができる。
◆だが個人が占めている地位、与えられている権力、それから自分に許されている権力の行使は、第一に社会的および経済的条件、他の心理的要因によって決定される。





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2016年12月1日木曜日

こうすれば必ず人は動く  カーネギー その1

最近はkindleをvoice overで聴くことが多い。

i-Phoneのkindleアプリでvoice over最速で聞き流す。
とにかくインプットの時間を早くできるのがいい。

家から駅まで聞き流せる。
満員電車の中で本を開く必要がない。
会社の最寄駅から会社まで聞き流せる。
とにかく聴いてればいい。そりゃ早いわ。

あと、アウトプットが物凄く絞られる。
聞き流している中で「本当に引っかかったところ」しかチェックしないからだ。

今回はカーネギーのラジオ講座を本にした「こうすれば必ず人は動く」。
これも通勤や家事の最中に聴いて、2日で聴き終わった。

安い言い方をすると、人付き合いのhow to本の傑作。
・人は自分にしか関心を持っていないから、その人の話を聞いてあげる。
・その人の喜ぶことをしてあげる(愛する)
・人を変えるより、自分が(接し方を)変える方が簡単
などなど、人付き合いを上手くいかせる基本原則が事例とともに満載。

やっぱり王道。1回読んどいて損はないですな。
ただ問題は、知るだけではなく、実行に移すこと。
ただ、あざと過ぎない程度にね。笑


第1章
◆自ら裁かれることを欲しないならば、人を裁くことなかれ。
◆人を非難する前に、まず自分自身を正すこと

第2章
◆自分が扱ってもらいたいように、人を扱う

第3章
◆生まれつき恐怖心が強いと思う人々はたくさんいます。しかし心理学の実験によると、赤ん坊というのは、大きな音と空中を落ちていく感覚という二種類の恐怖しか持っていないということが、証明されています。その他の恐怖心はすべて、自分で後天的に身に付けて生長させていったもの
◆いちばん肝心なのは、「あなた自身が、自分をどう思っているか」ということです。
◆ベンジャミン・ディズレリー「相手のことについて話をすれば、その人は何時間でも話を聞いてくれる」

第5章
◆四十歳であるということは、あなた自身がそこに限界を設けない限り、何ら限界を画するようなことではない

第8章

◆ホワイトハウス・ギャング


◆セオドア・ルーズベルトは男の子を持つ父親にはいつもこんなアドバイスをしていると言っていました。「あなたの息子さんと親しくなりなさい」と。

第9章
◆ごく小さな心遣いが、あなたのキャリアにおいても、ターニング・ポイントになるかも知れません
◆私たちのほとんどは、人に対してもっと心遣いを尽くす習慣を身につける必要があると思います。そして新たに良い習慣を身につけるには、常にそれについて考え、日々努力することが大切です。

第12章
◆その人にとって名誉となるような期待をかけてあげることです。そうすれば、その人はそれにこたえようと懸命に努力するようになるでしょう。
◆サミュエル・ボークレイン「人を指導するということは、普通そんなに難しいことではない。その人がある分野で持っている脳力に対して、心から敬意を表せばよいのだ」



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