2016年7月31日日曜日

横山尊『日本が優生社会になるまで』合評会に参加

ということで、二週連続駒場に行ってまいりました。

合評会の内容は割愛しますが、

ディスカッションの応酬や、新たな出会いなど刺激的な二週間でした。


先生方や諸先輩からも背中を叩いていただいたので、

研究活動も再開するような流れになりました。


懇親会も卒論で引用させていただいた先生方に囲まれて、

初対面ながら研究の話で楽しくお話しさせていただきました。


そして、ご著書の裏話をその場で授業。

たまたま私が持っていた本に、その場で直筆のメモを頂く。


心に残ったのは、優生学分野の研究は、

実社会とのつながりを考えることが必須ということでした。


歴史を見て、優生学的装置が発動した社会状況、条件、社会システム、

それらの考察を今に生かす。

優生学は過去じゃない、これから必須の学問です。


超大御所の、

「人口問題があれば、それを政策的に調整する際には、優生学が問題になる」

という言葉も重く響きました。


いやあ、良かった。

やはり人のつながりと、えいやと飛び込む覚悟ですね。

頑張るぞー!!



昨日の横山さんの本です。




2016年7月28日木曜日

長谷川高先生のセミナー

かねてからご本を読みまくっていた長谷川先生のセミナーに行ってきました!

長谷川先生のブログ

暖かい、柔らかい、穏やか

というイメージだったのですが、

気さく、バイタリティ、明るい

という印象でした。笑


終わってからサインいただいちゃいました。

ミーハーです相変わらず。

いつか不動産に手を出す時は是非先生にコンサルティングを依頼したい。


最近の株式投資方針が、先生の講演と一致していて嬉しかった。

いやあ、まずは本業で一流になろう。そこからや。

2016年7月27日水曜日

相模原の障害者施設の事件

相模原の事件、非常に痛々しいですね。
被害に遭われた方々のご冥福をここよりお祈り申し上げます。

ニュースを見ていると、
犯人の障害者に対する心無い発言が報道されています。
それを見て第2、第3の事件を誘発するのではないかと、
犯罪心理学者の人が述べている姿を見たりもします。

ヤフーニュースなどのコメントでは、
口々に障害者差別に対する批判がなされています。
そもそも殺すなど論外。

私も同意見です。


ただ一方で、人々が知らないだけの、
もしくは都合良く忘却されていることもあります。


1つ目は現存する障害者差別。

障害者雇用の促進がなされる昨今、
多くの人が障害者の方と触れ合う機会が増えました。
会社でも、いいこともあれば、心ない状況をよく見かけます。
それ、「殺してないだけやで」って思う。

特に40、50代の女性(独身)の、
障害を持つ同僚への態度は、見てるこっちが胸糞悪くなります。
あんた達の存在もなかなかのもんだぜ、と言ってやりたくなります。

まあ、どんな感情を持っていれば正しいなんて定義することはできなさそうですが。

このブログでも紹介しているケアの本質を読めば、
見える気がしますよ、ぼんやりとした答えが。
2つ目は出生前診断のこと

検査技術の進歩によって、
出生前診断で障害があるかどうか分かってしまう。

正確な数値は忘れたけど、
今は出生前診断で胎児に障害があることが分かった場合
90数%は中絶を行う。
それって今回のこととどう違うのってこと。
 
犯人を肯定する気は全くない。

でも、犯人のような考え方を学問にしていた人達がいたこと、
一国の政策として行っていた人達がいたということは、
歴史として学んでいかなくてはいけないのではなかろうかい。
ねえ。



2016年7月21日木曜日

真田丸好きとして 六文銭nanaco(ナナコ)

ゲットせずにはいられませんでした。



六文銭nanaco。

上田限定発売だったのが、ヨーカドーの各県10店舗限定で売っているそう。

私の家の近くのヨーカドーでもあったので即買いしました。

セブンの店員が「おっ」っていう顔をするので嬉しいです。

お近くのヨーカドーにお問い合わせしてみてはいかがでしょう?



2016年7月20日水曜日

日本の看護のあゆみ 日本看護歴史学会 4

前回
その3

◆1985年に改正医療法(第1次医療法改正)が公布。2年後に試行。医療計画を策定することが決められた
◆医療計画により必要病床数(現在は基準病床数)が規定されると、それ以降は病床数を勝手に増やすことができなくなり、法施行前の駆け込み増床が1987年ごろより社会問題となった
◆医療の高度化等による看護職員の需要増に加えて、病床数が急激に伸びたため、これに対応しきれず看護職員の需給の逼迫を一層深刻なものとした。
◆これに伴って現場の看護職の労働条件が悪化し、日本医療労働組合連合会(医労連)は労働条件の調査をする一方、看護婦闘争を開始
◆1990年、医労連は「ナースウエーブ行動」として、北海道、大阪などの地域での宣伝とデモ行進を実施
◆1992年、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案が衆議院本会議で採択される
◆医労連が「看護婦110番」を実施。準看護学生が準看護婦学校に通うことの前提として病院・診療所等が準看護婦に労働を義務づける「お礼奉公」が社会問題となる

◆医療の高度化、平均在院日数の短縮等の医療提供体制の変化に伴って看護業務の密度が高まる中、新卒看護職員の早期離職が明らかになってきた
◆離職理由には①基礎教育終了時点の能力と現場で求める能力とのギャップの大きさ、②現代の若者の精神的な未熟さなどが挙げられている
◆新卒1年未満の看護職員の再就職は、一般の看護職員以上にハードルが高く、キャリア形成に悪影響を及ぼす

◆外国人看護市の導入は、公的には経済連携協定(EPA)によるが、これは人材確保を目的とせず、看護教育・日本語教育の問題、在宅分野の活動制限もあり、現状では国外の看護師による人材確保は困難
◆看護師の就労者数は2004年頃までは25~29歳が頂点として鋭い山となって30歳以降急激に減少していた。2008年には25~29歳よりも30~34歳が多くなり、35歳以降も緩やかな下降線。
◆準看護師就労者数は1982年には20~24歳を頂点として鋭い山を形成していた。2008年には20代30代は減り、40代、50代を中心とする就労構造となっている。
◆2006年に高年齢者雇用安定法が改正され、病医の事業所は体制を作らなければならなかったが、看護師・準看護師のいずれにしても60歳以上は急激に減少しており制度改正の波及効果はまだ十分とは言えない

◆介護施設・事業所、福祉施設は40代、50代が多くなっている。長い臨床経験と看護の技を持つ中高年看護師が、セカンドキャリアとして介護・福祉領域を選択している可能性が考えられる
◆現在、介護・福祉領域では病院以上に看護職の不足が問題となっている。2006年の介護施設における看護職員の離職率は介護老人福祉施設で23.9%、介護老人保健施設では18.9%で、病院よりも高くなっている



つづき

その5




日本の看護のあゆみ 日本看護歴史学会 3

前回
その3

資料出展などは省略してます。
研究で使いたい方は本を購入して当たってみてください。


第2章
◆戦前であっても紡績工場や製糸工場の婦人労働には就業時間の制限(1929年)があったにもかかわらず、看護婦を保護するような仕組みは労働基準法が制定されるまで全くなかった
◆勤続年数は5年未満が87%で経験年数もほぼ同様であり、未婚者が9割前後であったことからも、戦直後までの看護婦は独身者で、短期に離職していた
◆看護婦の労働に関する規定は、多くの例外規定があって、保護が最も薄い職種の1つであったと言うことができる
◆大きな病院では比較的分化した給与体系を持ち、食事を支給して看護婦から食費を徴収する場合が多いが、小さい病院や診療所では、住み込み食事付きで月給何円と一本で決めているのが普通であった
◆診療所では通勤者が30.9%となっているが、病床数が多いほど寄宿・住み込みが8割を超えていた

◆1950年の完全看護の導入では、学生3名は、看護婦1名分にカウントされていた
◆1958年、完全看護から基準看護に変わり、労働力として看護学生が評価されることはなくなった

◆戦後、労働組合結成を奨励する中にあっても看護婦はそれほど積極的ではなかった
◆戦後は知識と技術を支えるものは精神であるとの教育が浸透し、組織率の高いところでも看護婦の労働者意識は低かった
◆初期の医療労働運動が、労働者の労働条件の確保と向上という日常的な要求に乏しく、民主化や軍国主義除去といった政治的スローガンは、理解が困難であった
◆戦後設立された日本赤十字社の労働組合「全日本赤十字社従業員組合」は巨大組織に成長し、経営協議会をもって経営にも関与しようとするなど急進的な高まりを見せた

◆1955年以前の病院で働く看護婦は宿舎を利用し、結婚する場合は仕事を辞めるのが当然のような状況であった
◆病院設置の保育所はすべての職場に即座に設置されたわけではなく、保育所という1つのファシリティだけでは看護労働を守ることはできなかったし、医療統一闘争(病院スト)の後も仕事と過程の両立には厳しいものがあった
◆1960年の病院ストは全国に波及したが、患者の医療には支障のないようにして行われたものであり、患者にも好意的に受け入れられた
◆看護婦の妊娠制限事件(1959年)
◆仕事と家庭の両立に困難する当時の看護婦のコラム(切実です。現在にも通じると思います)

◆1951年、厚生委員会草案を基に、準看護婦制度は成立した
◆なぜ準看護婦自身も自分を規定している制度を廃止しようと考えたのか。1つには後輩に自分と同じ思いをさせたくないと考えたこと、2つには、準看護婦の教育だけでは十分な看護ができないと考えたから(こういう側面は確かにあったと思いますが、若干日本看護協会寄り?)
◆準看護婦制度を廃止しなければならなかったもう1つの問題は、強制労働と言われても仕方のないような、人権を無視した労働の実態があったこと(准看護学校を仕事で休まさせられた。院長の家の畑を手伝わされた。病院研修での差別)

◆看護婦不足は解消されず、1969年、高卒プラス1年の準看護婦養成案を検討
◆1970年、佐藤栄作内閣が保助看法改正案が提出。目的は、①これまで中学校卒業以上であった準看護婦の基礎学力の水準を高等学校卒業以上として資質を高め、教育期間を短縮して量的確保を図る②国、地方公共団体が法人に対して設置する養成施設に要する経費を補助する
◆日本看護協会を中心に反対、結局審議未了廃案にされた
◆参議院社会労働委員会の委員長が社会党の佐野芳雄だったことが大きかった
◆清水嘉与子「その委員会が開かれても、その法案は全然かからない。つまり委員長がかけない」

つづき
その4










2016年7月18日月曜日

文明と病気 上 シゲリスト 2

前回
その1

(第1章つづき)

◆衣服がもはや階級差別のシンボルでなくなると、その性的機能がよけいめだってきた。
◆生体を不具にし、あるいは損傷するような服装習慣は明らかに有害な作用をもっていた。数世紀にわたって中国の少女に行われた纏足は、少女を頼りない不具者とし、中国の夫人の解放はこの風習との戦いで始まった

◆西洋諸国では足をくくらなかったが、何世紀もの間腰をしばっていた。コルセットはバロック時代の産物である。
◆フランス革命は古代ローマを理想として夫人をコルセットから解放し、夫人はわずか20年の間だけ古代ローマ夫人のような衣裳をつけ、そのようにみえた
◆王政が復活してコルセットが用いられ、以降それは男子にたいする夫人の中世的服従の無意識的な象徴となった
◆女子が男子と同等の権利を要求する時代がきて、ほぼ夫人が選挙権を獲得した時期にコルセットはきっぱりと投げ捨てられた
◆十八世紀の貴婦人の身に起こったふさぎこみ、失神とけいれんの原因はたぶんコルセットであった。コルセットをきつくつければつけるほど健康に悪い影響をおよぼす

◆身につける衣類が少なければ少ないほど、ふつう人は清潔のようである
◆新しい清潔はごく最近の成果である
◆ペッテンコーファーが多くの人々は二十四時間に一クォートの洗い水で満足しているし、ミュンヘンの家庭では入浴設備は例外であると述べたのは、ほんの1873年のことである

◆汚れは昔から美しいものとは思われなかった。人々が薄いものを身につけ肌を多く露出している時には、いつでも美的な理由から体を洗ったが、衛生上の理由はそれほど顧みられなかった
◆キリストは衣服をつける習慣を現在に結びつけたから、羞恥心という観念を必要以上に育てた。それは人々はできるだけよけい自分の体を覆わなければならないことを主張したので、裸に不健全な魅力をおしつけた
◆衣服は寒さ、雨あるいは日照のような大気の要因から体を保護してくれる。その目的に適うためには、衣服は身体のどの生理的機能をも防げないようにつくられなければならない

◆病気の現象はまた特有な服装を生み出した。
◆無菌法が生まれて特殊の服装が現れ、病院の医師は「白衣の人」となった
◆病人と負傷者を看護をするため中世に組織された修道会は特殊の標章をつけた。こうしてエルサレムの聖ヨハネ慈善宗教団員は八つの尖端がついた十字架をつけていたし、現代では赤い十字が、1863年にアンナ・デュナンが創造した国際組織のシンボルとなった

◆家は天候の害から人を保護し、こうして健康に役立つのであるが、それがある一定の要求を満たさなければ、また健康に害となる
◆居住には根本的に矛盾がある。住居は天候から人を守らなければならないが、その空気は人間の整理的な機能により、また多くの住居によって汚されないよういつも取り換えられなければならない
◆各室にストーブをおくことには費用がかかりすぎたので、普通居間だけがあたためられた。その結果、家やアパートメントの暖房は非常に不均一で、ひとつの部屋から他の部屋へ動く時にはいつも温度の急変に会うことになった。このような有様は確かに健康に良くなかった

◆中央の炉によって家全体を暖房するという考えは18世紀に生まれた
◆現代の空気調和は居住個所の温度を下げ湿度を調節することによって、われわれの快感と仕事の能率を非常に増していることは疑いない。空気調和された家はなお少数者にしか利用できない贅沢である
◆中世には美しい色ガラス窓がつくられたが、より透明なガラスをつくるのには長い年数がかかったし、財産のある者しかガラスの大きい窓をもつことはできなかった。ある国では扉や窓に課税し、その結果安価なガラスがらくに手に入る時になっても、貧乏人の家は暗くて換気が悪いままであった

◆照明ガスがもたらされた19世紀の間に事情は根本的に変わった
◆ガスは新しい火災の危険を生み出したばかりではなく、一酸化炭素を含んでいるのでまmた非常に有毒であり、ガス中毒で多くの死傷者が出た
◆今日人間は暗黒を征服し、照明を自分の必要とかいろいろの職業の要求に応じて加減し、夜にまでその活動を拡げることができる
◆人工照明はわれわれの年の安全、それに人間の活動の速度増加にいちじるしく貢献した。都市の住民は過去におけるよりは睡眠時間が短いし、しばしば不十分であり、それによってさらにその健康は害を受けている

◆人間はその生理的機能と居住の結果として汚物を生み出す。汚物そのものは決して有害ではないが、有機物が分解するからそれは寄生物の繁殖個所となり、人間にとって脅威となる
◆古代ローマ人は大量に使える新鮮な水の衛生的意義を充分に承知していた。古代ローマ人が足跡を残したところにはどこでも、いまだに巨大な水道の廃墟が見られる。
◆生活水準が向上した結果、住民の死亡率は絶えず減少した。1681ー90年の間にロンドンの年間一般死亡率は住民1000人辺り42であった。18世紀にはそれが35に下がり、1846ー55年の間には25、今日ではほぼ12である
◆水洗便所は、詩人であり、エリザベス女王の廷臣であったジョン・ハリントン卿によって発明された。水洗便所は衛生学の偉大な貢献ではあったが、都市が新しい給水と下水の設備をつくった19世紀まではまだ大規模に用いられなかった

◆病気という現象からある種の衣裳が発達したと同じく、特別の型の建物が発達した。その中の主なものは病院である。
◆キリスト紀元の初期にはそれは接待の館、困窮した者および外国人の宿泊用の宿舎であったが、後には貧窮の病人が看護を受け、無料の医療を受ける場所となった
◆中世初期に病人用にとっておかれた修道院のいくつかの部屋から、病院は発展して中世後期およびルネッサンスの大きな病室をもった堂々たる建物、都市の誇りとなった
◆今日病院は苦痛と病の場所であることに変わりはないが、重点は生命の保持と健康の回復にある

つづき
その3







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2016年7月17日日曜日

文明と病気 上 シゲリスト 1

医学誌の大家シゲリスト先生の講義録です。
1940年当時の講義録なので、その点を踏まえてご覧下さい。

序論
◆人間は文明の創造者であるがゆえに、病気は人間の生活と行動に影響をおよぼすことによって、また人間の創造物に影響を与える
◆病気はいつの時代にも起こっているから、人間の掟、制度はみな病気の影響を受けてきたし、いろいろの手段でそれを考慮に入れなければならなかった
◆人と人、人と物との間の関係を調整しようと努める法律は、病人を考慮に入れなければならなかった
◆人がもってこの世に立ち向かわねばならない物質はすでに妊娠の時にきまって与えられ、その物質の半分は自分の子供一人一人に伝えられる
◆病気に罹り易い生まれつきの素質がある一方では、主に生活のし方によってきまる後天的の素質もある
◆たいていの病気の原因となる社会環境と自然環境は、こんどは代わって人間の生活を著しく変える文明によって形を変えられる
◆発展の過程において、文明はしばしば健康に有害な条件をつくり出した。文明には利点もあったが、多くの危険と病気の原因をもたらした

第1章
◆人口の6分の5が農業で生計を立てているインドでは、ごく軽微な収穫不足から恐るべき影響が起こる
◆ルーマニアでは人口の圧倒的な多数を占める農民は、不況が絶頂に達した時、はじめて栄養のよい時世を迎えた。農民は自分が生産した食物を食べていた。彼らは税金を払うことができず、政府に雇われている多数の職員が主な被害者となった。これは人民大衆を犠牲にして少数者の利益のために発展した文明の性格から起こっている
◆五千年もたったのにまだ人間は必要としている食物をすべての人に供給することを会得していないというのは、われわれの文明にたいするひとつの悲しむべき証言である

◆過食はなんら社会的な意味をもつ脅威ではない。しかし中毒する飲料の過度の使用はどの階級をも襲うものだから、はるかに重大な脅威である
◆飲酒には主な理由が二つある。そのひとつは社会的であり、経済的である。
◆災難、悲惨な生活条件、教育と休養設備の不足は人を飲酒に追いやる。不幸と抑圧を感じて民衆がうちひしがれている時にはいつでも、彼はますます飲酒によってその忘却を求めがちである
◆ウイスキーはインディアンの抵抗力を弱め、インディアンを用意に搾取の餌食とした。同じ征服法は他の場所でも用いられた
◆有害な飲酒のもうひとつの原因は民族の習慣と群衆の習性に求める。アルコールによって民衆は遠慮なしに話すようになるから、社交で民衆が集まった時にはいつでもアルコールを飲むのが習慣となった
◆フランス人が呼んでいる社交上のアルコール中毒には、いちばん高い教育を受けた階級がかかっている。それは目立つものではないが、それでも非常に有害な結果をもたらす

◆ペッテンコーファー「栄養には一定の必要標準があって、生理学の研究だけがそれを確立できる」
食習慣は古いならわしによるもので、したがって非常に堅固であり、なかなか変えられない。欠陥のある食物は明らかな人殺しの下手人ではないし、すぐに病気を起こすものでもないから、この分野において教育の仕事は特に難しい


つづき
その2






2016年7月16日土曜日

日本の看護のあゆみ 日本看護歴史学会 2

前回
その1

史料がいいです。史料が。

戦後の看護の制度基盤を作った、
GHQのサムス公衆衛生福祉部長、オルト公衆衛生福祉部看護課長、
保良せき 第二代厚生省看護課長(看護職として1人目)、
金子光 第三代厚生省看護課長(同2人目)
林塩、小林冨美栄日本看護協会会長
武見太郎日本医師会長
などの写真が見れます。

では第1章つづきの続きです。

◆1960年代:排泄を人間の基本的な営みと位置づけながら、次第に増える医療処置や看護婦不足などから、頼まれてもすぐに対応できないとの悩みが看護婦から出されるようになった
◆手術室での留置カテーテルの挿入が定着したことにより、自然排尿の観察が不要となり、同時に自然排尿を促すケアが後退した
◆電解質の解明、輸液技術の進歩、中心静脈栄養の普及、経管栄養剤の進歩、胃瘻造設技術の普及に伴い、看護の基本でもあった患者の食欲を引き出すケア、経口摂取への価値づけが後退した感がある。経口摂取は免疫力を高める結果に通じることを再確認すべき

◆組織的養成以前の看護婦は、医師の家に住み込み、医師の診療を手伝うことから始まったこともあって、草創期から敗戦まで看護師の仕事といえば診療の補助が中心であった
◆戦後、保助看法が制定され、療養上の世話と診療の補助が看護の二大看護業務となった
◆治療面における看護業務は、その時々の医療技術の変化、進歩、そして医師のヒューマンパワー等により影響を受けてきた。とりわけ、診療報酬上の影響が、看護婦の行うこの仕事の量に、最も大きく占めていると言ってもよい
◆1960年代:ディスポーザブル製品の登場は、それまでの看護業務の多くを占めていた器械・器具類、特に注射器の消毒の必要を減少させた
◆看護におけるモニター監視業務は、看護婦自身の身体ツールにより観察していた事象を、あらゆる場面で器械を介在させ、デジタル化した数値によりアセスメントする風潮を招いた

◆敗戦の1945年、当時の乳幼児死亡率は13.1%、1949年には出生数史上最高の269万6,638人
◆1950年まで死因第1位は肺結核であった。292万人が結核に罹患していたが、1954年の目標が19万床であったので、在宅での保健指導や相談の重要であった

◆1991年:老人保健法改正とともに老人訪問看護制度創設
◆1992年:訪問看護ステーション制度が始まり、初めて看護職が所長となる
◆2000年介護保険法に基づく訪問看護が始まる

◆事故の背景や要因の多くがシステムの問題であるとされるが、どのような完璧なシステムであっても、それが十分に機能しなければ事故は防げない
◆看護師一人で多くの薬剤調合をしていた時期もあった。職種間の連携が必須となった現在、薬剤処理は、薬剤師に移行しつつある
◆医療技術が高度化すればするほど、事故の規模も大型化する
◆五感と身体ツールの延長としての道具を排除して、モニター装置による「画面上の世界」で患者観察を行い、器械がもたらす情報の判読・解読で患者を把握する看護師ら。結果として、新しい種類の「手を出さない」看護をもたらした

◆医学における専門文化に添って、看護もまた、外来、病棟を問わず、それぞれが診療領域を標榜する場で、その科特有の看護を提供してきた
◆看護独自の知識の拡大に伴う専門文化の道を目指すことは時代の養成かもしれない
◆日本看護協会の認定資格(2014年当時)
 1)専門看護師
 2)認定看護師
 3)認定看護管理者(ファーストレベルからサードレベル)

◆アメリカでは、すでに1960年代から専門看護師制度があり、Clinical Nurse Specialist(CNS)やNurse Practitioner(NP)らの、活動による成果面と問題点なども論じられている
◆アメリカの場合、専門看護師の誕生の背景として、当時の一般医が医師の7人に1人に過ぎず、患者の受診機会の困難さという現象を生み出し、高学歴の保健専門職の活用拡大が必要となったことが挙げられる。
◆スザン・ヌゴードン「今やNPは独立した職業であり、看護師の範疇には入らない」
◆1つの専門分野に優れた専門看護師や認定看護師などによる看護的なアプローチは、確かに必要であるとしても、病気や障害や高齢を持った人々へのよりジェネラルな視点からのケアの必要性は、いささかも減じるものではない

(個人的に響いた写真史料)
◆結核病棟での食事の盛り付けに忙しい看護婦
◆人手不足により、動かないように固定した哺乳瓶からミルクを飲んでいる赤ちゃんたち

その3




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2016年7月14日木曜日

日本の看護のあゆみ 日本看護歴史学会 1

今日から看護史に関する本です。

今日我々が普通に見る「看護」は、定義も職業としての成り立ちも歴史が浅い。
先人達がいかに「看護」というものを定義し、
いかに「看護」の意義を示すために苦心してきたことが分かります。

一方で医療の進歩、ニーズの高まりによる看護業務の増大によって、
かつての「看護」から著しく変化してきた現状があります。

本著は充実した写真資料と共に、
歴史をなぞりながら、新旧の問題を浮き彫りにする本となっています。

個人的には、多くの先達の映った写真史料を見て奮い立つものがありました。
医師に隷属していた時期もあったためか、少しコンプレックス的な語調が鼻につくこともありますが、コツコツまとめて勉強して行きたいと思います。



◆看護師の動きもこれまでになく過密となり、かつては医師を批判したデータ重視の姿勢が、看護の日常にも及んでいる
◆保助看法制定当初から二大看護業務とされた、「療養上の世話」と「診療の補助」のありようが、歴史の流れとともに変容するのはやむを得ない。だが、その文言は、制定以来変更されていないところに価値がある

◆社会的な地位に影響するような変化は、第二次世界大戦敗戦が契機となった。占領によってGHQが進駐し、敗戦国の我が国の過去の制度を根本的に見直す諸改革が始まった
◆1965年、人事院は看護師の夜勤制限の必要性を認め、「夜勤は月平均8日以内」「1人夜勤の禁止」などの「判定」を出した。その実現をめぐって、夜勤制限を要求する実力闘争が全国的に広まり、ニッパチ闘争と呼ばれた

ニッパチ闘争とは(ページの一番下)

◆近代設備の整った医療施設の新設や改築などによるベッド数の増加はあるものの、必ずしもそれに見合った看護ヒューマンパワーの得られぬまま、看護業務も診療面に偏り、あるべき姿と現実の姿との乖離に悩む看護師の姿があった
◆資格の二重構造である準看護師問題。看護師不足に端を発したとはいえ、我が国の低医療費政策を支えるもとともなった。
◆看護は1つであり、2つの資格は不要であることを共有しながら、未だに准看護師養成が続いていることも確かな事実である



第1章
◆戦時下に多くの看護婦を必要として国の取った施策は、養成期間の短縮や年齢の繰り下げであった
◆1946年3月には、看護制度審議会が設置され、教育と業務の分科会によって看護婦の教育、業務、資格等について協議された。審議会の目的は、看護教育の基準を改善すること⇒モデル校の創設、職種ごとに再教育の実施等であった

◆保助看法制定。「発生以来医業に隷属してきた看護が、この法によって目覚めて医業の一端を担う、すなわち完全な協力体としてその独自性を認められたことは、新制度における数項目にわたる革新の中の基盤となる原則的思想」
◆1950年、完全看護が導入された。
 ①看護婦(補助者を含む)勤務形態はなるべく3交代制
 ②患者の直接的な看護は看護婦によってなされている
 ③患者付き添いがない
 ④看護記録がつけられている
 ⑤看護に必要な器具、器材を準備する
◆この条件を満たすためには、まず人員確保が必要であったが、当時の医療法で定められていた看護要員数(4対1)では、付き添い廃止は絵にかいた餅に過ぎなかった。完全看護と言う言葉からの誤解も生まれ、1958年基準入院サービスの導入により「基準看護」に改められる

◆1948年、保助看法制定とともに生まれた乙種看護婦であったが、1951年に法改正がなされ、看護婦に名称が統一された
◆サンフランシスコ平和条約発効(1952年)とともに撤退したGHQに代わって日本医師会の力が台頭し、看護婦集団を揺さぶるり、苦しめ続ける歴史がはじまることとなった
◆なぜ、准看護師制度は廃止されないのか。それは、時々の深刻な看護婦不足事態を乗り越える上で、看護ヒューマンパワーの一翼を担う準看護婦を認めないわけにいかない、わが国の医療事情もあった。

◆保助看法によってもたらされた最も大きな変化は、看護職者が清掃や給食などの仕事から解放され、看護を専門とする職業として踏み出したことであると言える
◆看護婦数の配置による診療報酬上の加算条件として、完全看護(後に基準看護)病院では付き添いは認められず、病院の看護は看護婦の手で行うというものであった。一方、診療報酬加算と引き換えに約8,000人の付き添いが病院から離れたことにより、看護婦の人手不足による労働過重は激しくなってきた。

◆療養上の世話が看護業務の中でも、極めて独自性の高いものとされたのは、1960年代前半に翻訳紹介されたヘンダーソンの「看護の基本となるもの」以降である
◆単なるルーチン業務として位置づけられているに過ぎず、その意味を考えたり検証したりすることはあまりなかったと考えられる
◆60年代に入って、経済成長とともに医療技術も進歩し、診療面の仕事量の増加が療養上の世話の仕事に大きく影響してきた
◆療養上の世話業務の内容を変えた原因は、患者のニーズでもなく、理論的根拠でもなく、看護ヒューマンパワー不足と看護業務の過密化の影響

◆昭和40年代頃になって病棟設備も整い、シャワーや入浴の設備が病院内に設けられるようになったことは一面で評価できるが、臥床患者の清拭の様相はかなり変貌した
◆看護ヒューマンパワー不足による効率化の流れに併せて、清拭車が普及し入浴剤などが導入され、石けんを用いない清拭が一般化してきた

(第1章続く)

その2





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2016年7月12日火曜日

メディファックスの記事より。あと新しいまとめ。

2014年度
特定健診実施率は48.6%
特定保健指導終了率は17.8%
特定健診受診者のうち26.2%がメタボ該当者・予備群

〇特定健診の実施率
共済組合74.2%
健康保険組合は72.5%
国民健康保険組合は45.5%
全国健康保険協会(協会けんぽ)は43.4%
市町村国保は35.3%

〇被扶養者の特定健診・特定保健指導の実施率の向上が課題
例:共済組合の特定健診実施率
被保険者は87.8%、被扶養者は39.0% 


あと新しいまとめでーす。

はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光 5

前回
その4

ラストです!

第6章
◆制度信用銘柄の中には、貸借銘柄とそうでない銘柄がある。貸借銘柄は信用買いと信用売りの両方ができる。
◆貸借銘柄以外の制度信用銘柄は原則として信用買いしかできない
◆非制度信用銘柄は証券会社がルールを決めている一般信用取引でのみ取引できる銘柄。証券会社によって認めている銘柄がバラバラ
◆制度信用銘柄でも一般信用銘柄になっているものもある。(証券会社がおkなら両方できる)

◆信用取引を行う場合、証拠金という担保を差し入れ、その額に対して3倍程度のポジションを取ることができる証拠金が100万円であれば、300万円程度まで取引できる
◆制度信用取引の場合、信用買い、信用売りを行った日から6ヶ月後には、反対売買を行って決済しなければならない
◆レバレッジを高めることによってリスクも高まることを、しっかり認識する必要がある
◆信用取引で含み損が増えると追証がかかる。追証とは、追加で納める証拠金のこと。

◆REITの税金は基本的に株と同じ。売買益、配当金ともに株式と同じ料率が適用される
◆売買益は、譲渡所得として分離課税になる
◆運用期間中の分配金は配当所得となり総合課税に当たる。株の配当と違い、配当控除の適用がない
◆売却したときの損益は株式や投資信託との損益通算も可能で、通算して損が出た場合に、毎年確定申告をすることを条件に翌年以降3年間の繰越で譲渡所得の金額から控除できる

◆ISA:Individual Saving Account 。1999年にイギリスでスタートした制度で、日本版ISAは、これに範を取っているものです
◆NISA→効率的な使い方が図解されています。是非読んでみてください。


7章
◆各REIT銘柄の解説が載っています。とても参考になります。ちなみに出版が2013年初版ですが、当時より値段がかなり上がっており、掲載されていない銘柄も上場されています。







2016年7月11日月曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第5章

前回
第4章

選挙、自民が勝ちましたね。
櫻井充さんが再選して個人的には嬉しいです。
では本編。


第5章
◆ひとたび他者をケアすることとなったとき、以前重要であると感じていた多くの事柄が、その重要性に変化を生じ、ケアに関係した事柄が新しい重要性を帯びてくる
◆自分のケアとその諸条件とがかみ合わないものは除外してゆき、全く関連していないようなものは切り捨てていく。こうした序列化の活動は、いわば自然が芽を吹くように人生の内面から出現してくる
◆私のするケアが十分包括的なものであるならば、このケアは私の生活のあらゆる領域に深くかかわってきて、実りある秩序を提示する
◆全面的な序列化をする際には、ある種の事柄や活動をあきらめなければならず、そのため服従という一要素をも含んでいる。しかし、この服従は、きほんてきには自分自身を解放し、確信を与えてくれるものなのである
◆この服従は自己主張をしりぞけ、自己をありのままに認めるようになる意味を持っている。私はじこの人生の諸条件をこうあって欲しいと願うかわりに、そのまま受け容れるようになる。

◆私たちは全面的・包括的なケアによって、私たちの生を秩序だてることを通じて、この世界で”場の中にいる”のである。
◆自らを発見する人が、自らを創造することについても大いに力をつくしたと同様なやり方で、私たちは自分たちの場を発見し、つくり出していくのである
◆場は、それが個人の所有物であるかのごとくに、私が所有しているものではない。むしろ私は、他の人にかかわっている、そのあり方ゆえに’場の中にいる’といえる
◆場というものは、たった一度だけ確立されればそれでよいというものではない。成長していこうという他社の要求にこたえて私たちが応答すること、これこそ私たちに場を与えてくれるものである
◆場は実体化されるべきものでもない。これは物でもないし、固定した状態でもない。場の中にいることを安定した状態になることと考えるかもしれないが、安定とは力動的なもので静止しているものではない

◆自分に適した場所を知ることにより、場の中にいることができなくなる場合さえ、しばしば起こり得るのである
◆私が場にいるということは、場の中にいることから他の人たちを排除することを前提としているのではない
◆私には場の外にいる人たちと自分を比較したり、その人たちよりも自分自身を上に位置付ける必要は全然ない
◆ケアすることが、私が場の中にいることを可能にするほど全面的・包括的なことであるとすれば、ケアは、私に特有の能力に根ざしていなければならない
◆ケアが十分包括的なものであるためには、私たちは自分自身をケアしなければならない。なぜなら、自分自身の成長の欲求にこたえられないような人は、けっして場のなかにいることができない
◆あるケアの方が他のケアに優先するという場合も、ときには出てくることがある。しかしこうした不均衡は、やがては平衡が保たれ解決されるにいたる。
◆私たちは同時に多くのことに専心することは実際できない。時間の方がそれほどない。

◆補充関係にある対象に無関心であることは、同時に自分自身への無関心にもつながり、やがては場というものを失ってしまう結果になる
◆私の対象が、私のせいにとって中心的なものとなるまでに成長しなければならないように、自分自身もまた、こうした包括対象を持つことができるように成長を遂げなければならない
◆ある特定の対象が自己と補充関係にある対象であるかどうかは、それが短期的な観点から観察されるか、あるいは長期的観点から観察されるかによる
◆私は自分と補充関係にある対象に関しては、その要求に対し、いつでもこたえることが状態にある。

◆ある対象が成長していくならば、その対象が私に持っている特定の要求によって、私は私の生の意味を生きることが可能となる
◆ある目的のゆえに自分の生の中で意味を強く感じとったり、意味あるときを過ごしたり、あるいは、他の人が私の生を意味あるものとみなしていることがあったりしても、必ずしもそれで、私が私の生の意味を生きているということにはならない
◆意味ある状態でいられるかどうかは、私自身の能力や限界、私が存在している一般的環境、そして私にとって可能な手段の如何による
◆私は私の生の意味を生きるためにケアにたずさわっているのではなく、私と補充関係にある対象へのケアを中心にすえた人生を生きること、それ自体が、私が私の生の意味を生きることになる


ラスト!
第6章







2016年7月9日土曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第4章

前回
第3章

「自己中心的な人は、自分を正直に見つめることを避けている」
これはキラーフレーズですね。


第4章
◆自分以外の人格をケアするには、私はその人とその人の世界を、まるで自分がその人になったように理解できなければならない
◆相手の目に映るようにその人の世界を見るといっても、その人の世界に対するその人の反応と同じ反応を私も持つ、ということではない
◆”私とともにいる”ことは、ケアのもつリズムのうちの一つの相であり、その当の相手とぴったりと、ともにいるということ

◆彼の成長が彼をケアする人の中に、賞賛、驚き、心からの喜びをひき起こすのに気づくことほど、彼に取って励ましとなることはそう多くない
◆心からの喜びとしての賞讃は、おだてと混同されてはならない。賞讃によって、私はケアされる人に近づきうるし、そのとき私は、相手のありのままを見るのである
◆相手が私のケアを通じて成長していくのならば、その人は私を信頼しなければならない。私を信頼できてはじめて、その人は私に対して率直に自分自身をさらけ出すことができ、私も相手をよく知ることができるからである
◆私をケアする人を私が信頼するかどうかは、その大部分が、彼が私にとって誠実であると考えることができるかどうか、また、彼にケアされている私の現実の経験がどのようであるかにかかっている
◆私が成人をケアする際には、私は彼に変わって決断することをできるだけ避ける。もし私が彼に代わって彼の決断をすれば、私は彼をないがしろにしているのであり、彼を子供のように扱っていることになる

◆ケアすることのほとんどすべての特性ー専心、信頼、忍耐、謙遜、正直、そして過程の第一義性は、そのまま自分自身をケアすることにも当てはまる。
◆私は自分自身から切り離され、別個の存在となったものとしてではなく、私が自分自身と一体となっているものと感じなくてはならない
◆自己中心的な人格は、根本的にその人自身には関心を持っていない。彼は自分を正直に見つめることを避けている。彼が他ならぬ自分自身を実現したいという固有の欲求に対して、本質的に無関心だからである。
◆他者をケアするということは、自己をケアするということでもあるが何か他の物事をケアすることと自己をケアすることとの関連性は、さほど密接なものではないように思える

つづき


はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光 4

その3

5章
◆サブプライムショックやリーマンショックを経て、東証REIT指数は大幅に下落。実に73%もの下落率を記録した
◆東証REIT指数は、用途別指数シリーズも発表している

◆NAVとはNet Asset Value(純資産価値)のこと。REITが保有している資産の時価総額から、負債総額を差し引いたもの
◆このNAVを投資口価格で割って求められるのがNAV倍率
◆NAV倍率が1倍を超えていると割高、1倍を割ると割安(この点だけから投資判断を下すことはできない)
◆NAV倍率が1倍を割り込んでいるということは、現在の資産価値に比べて安い株価で増資を行わなければならない

◆FFO:Funds From Operation
 REITの収益力を示す指標。賃料収入からどれだけのキャッシュフローを生み出しているのかを示す
◆FFO=当期純利益+減価償却費+(不動産売却損ー不動産売却益)
◆FFO倍率=投資口価格÷1口あたりFFO
◆FFO倍率が低い銘柄ほど割安

◆REITは、売買益を追求するよりも、長期的に保有し、年1〜2回支払われる配当金を着実に確保して行くというのが、正しい使い方
◆信用力のないスポンサー企業企業が付いているREITは、市場で大きく売り込まれ、結果、30%の利回りを記録したファンドもあった

◆LTV:Loan To Value
 長期借入金と短期借入金そして投資法人債の発行額、いわゆる借金の総額が、総資産に対してどの程度の比率を占めているのかを見るためのもの
◆REITは、自己資本のみで物件を組み入れ、運用することはできない
◆投資口証券を発行して資金調達を行うことも必要だが、銀行などの金融機関から長期資金、短期資金を合わせて借り入れるとともに、投資法人債を発行して長期資金を調達し、合わせてファンドに組み入れる物件を買い付けて行きます
◆LTVが高い銘柄はレバレッジが高く、結果、LTVが低い他の銘柄に比べて、分配金利回りが高い可能性があると考えられる

◆2008年10月、ニューシティ・レジデンス投資法人は、REIT初の破綻という汚名を着せられることになった。2008年9月17日の時点で、ある格付会社はこの投資法人に対して、「A+」という、高い格付けを付与していた。
◆PML値:475年ごとに起こると言われている最大想定地震によって、どの程度の被害を受けるのかという数値
◆REITに組み入れられている物件というのは、大半が新耐震設計建物や、耐震補強工事が行われているものばかりなので、このようにPML値を低く抑えられている


ラスト その5








2016年7月7日木曜日

はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光 3

結論としては、ファンド・オブ ・ファンズはなしってことですな。

その2

第4章
◆投資信託の中には、REITを投資対象とするファンド・オブ・ファンズ(投資信託に投資するファンド)がある。
◆ファンド・オブ・ファンズは、一般の投資信託と同様に、販売金融機関に対して購入手数料を払うとともに、ファンドの保有期間に応じて信託報酬がかかってくる。コストはREITの方が割安
◆REITとは違って、証券取引所に上場されていないため、いつでも自由に売買できない
◆REITの株価はザラ場中に変動するが、ファンド・オブ・ファンズの基準価額は1日を通じて1本しか値段が付かない
◆自分が買いたいと思ったファンド・オブ・ファンズがすべての証券会社や銀行で扱っているとは限らない

◆過去において高い運用実績を上げているファンドを買ったからといって、着実にお金が殖えていく保証はどこにもない
◆純資産残高の規模が大きなファンドは、それだけ投資信託会社の経営に貢献するが、純資産残高の規模が小さなファンドは、投資信託会社にとっては赤字要因になる
◆もともと投資信託は信託期間という運用期間が決められている。信託期間を無期限にしていても、投資信託会社が受託銀行と協議した上で、繰上償還した方がいいという判断が成立すると、公告を打った上で、反対がなければ繰上償還する

◆多くの投資信託の繰上げ償還条項を見ると、受益権口数で30億口を割り込んだら繰上げ償還を検討することになっている。純資産残高ベースで30億円を割り込んできたら危険水準
◆純資産残高の増減率と基準価額の騰落率を比較
純資産残高増減率<基準価額騰落率=資金流出
純資産残高増減率>基準価額騰落率=資金流入

◆インデックス型:東証REIT指数にほぼ連動した運用実績になることを目指してポートフォリオを構築
◆アクティブ型:インデックスの値動きを超える運用実績を目指したポートフォリオを構築(値下がりも指数よりも留める)
◆あくまでも「目指している」
◆資産形成層の人たちは、ファンド・オブ・ファンズを利用するのであれば、できるだけ決算回数の少ないファンドを選んだ方が良い

◆ファンド・オブ・ファンズの中には海外のREIT市場に投資するファンドも設定・運用されている
◆海外REITファンドを購入する場合は、配当利回りを安定的に取っていくというよりも、むしろ地価や賃料の上昇にともなう投資先ファンドの資産価値上昇を狙って投資するイメージが適している
◆為替ヘッジ付きのファンドの3つのポイント
→FXや海外株式にも通じる非常に重要なポイントです。本を読んでみてください。

◆海外REITファンドの中には通貨選択型といって、複数通貨の中から、ヘッジ対象通貨を選ぶファンドがある
◆ブラジルレアルコースの場合(北米REITを購入するケース)
・日本円でファンド購入→ファンドがレアルに替える
・レアルから米ドルに替える
・米ドルでREITを購入
→ドル・レアルの金利差がヘッジプレミアムとして発生。為替差益(損)は円とレアル。
◆ヘッジプレミアムというリターンがどの程度かは知るよしがない。わざわざブラジルレアルで運用するリスクを取る必要は、どこにもない。

◆目論見書には交付目論見書と請求目論見書がある。
◆交付目論見書:金融機関の店頭で、金融機関が必ず投資家に交付しなければならない。こちらを読めば十分。
◆請求目論見書:投資家から請求があった時、販売金融機関が渡す。内容が細かすぎる。

つづき
その4







優生学と人間社会 第2章の3 市野川容孝

社会保障の代償が社会化(国有化)ということは、
往々にして頭に置いておかなければならないですよね。

義務と権利。
その対応関係を忘れていると後で痛い目に合うと。



前回
第2章の2

◆ワイマール憲法は、「所有は義務をともなう」というかたちで自由主義経済に一定の歯止めをかけ、包括的な社会保険制度の導入や、労働者の権利の保障など、すべての者に「人間としての尊厳を有する生活」を保障することを社会の義務とした
◆福祉国家と優生学はおよそ対極に思えるが、事実はむしろ逆で、ワイマールの時代に、優生学は、社会意識の面でも、具体的な政策の面でも、着実にドイツ社会に根を張っていった
◆ワイマール期のドイツは、戦争後の廃墟からの出発、そして福祉国家の立ち上げと言う二つの点で、第二次大戦後の日本と非常によく似ている。無視できない違いもあるが、優生政策が戦後になって本格化していく日本の問題にも手がかりを与えてくれる

◆多くの優生学者達は、戦争を逆淘汰の一つとして真っ向から批判した
◆逆淘汰(生物学的に「優秀な」者が減り、「劣等」な者が逆に増加すること)

◆プレッツ(前回参照)は、優生政策を実現するうえで、ヒトラーに大きな期待をよせ、ナチスに接近していったが、同時に、戦争回避と平和の維持をもヒトラーに懇願していた
◆プレッツは1933年の断種法によってやっとドイツでも緒についた優生政策の成果が、再び戦争が開始されることで、すべて台無しにされることを何よりも恐れていた
◆「戦争は、生まれつき優秀な者の出生率が低下するのをくい止め、低価値な資質の持ち主を民族内部から除去するために人類衛生学が全精力を傾けておこなうことのすべてを、一瞬のうちに、何百倍、何千倍の規模で無に帰してしまう」
◆プレッツは、ナチス首脳部との対立も覚悟のうえで、戦争抑止のため積極的に活動し、1936年には、北欧の優生学者たちの力添えでノーベル平和賞の候補者にさえなっている



〇マックス・ヒルシュ
◆人口政策には量と質の二つの側面があるが、戦争が終わりを告げた今、富国強兵のための人口増大政策はもはや必要なく、今後、力を注ぐべきなのは人口の質の向上であると説いた
◆劣悪な住居環境の改善と栄養不足ゆえに死んでいる現状の改善
◆貧弱な子供の出生を予防し、屈強な子どもが生まれ、生きながらえるようにする事こそが、新生ドイツにおける人口政策の課題

◆第一次大戦によって多くの女性が夫をなくした。
◆自分で働き、かつ子供を育てなければならない女性が確実に増える
◆そうした女性たちの負担を軽減するために、子どもの養育を肩代わりする公共施設が必要
◆来るべき世代は、単に親の子どもであることはできない。そうではなく、人民の子ども、国家の子どもであるのだ
◆新しいドイツ人民国家において社会化(国有化)が着手されるのであれば、その対象として、経済において最も重要な材である人間の生命が忘れられてはならない


◆福祉国家としてのワイマール共和国は、従来、家族という指摘領域で女性たちに押しつけられてきたさまざまな役割を吸い上げ、その社会化(国有化)を目指した
◆国家社会が家族という敷居を取っ払いながら、人間の生命の維持や再生産に深く介入していくことを意味した


第2章の4



2016年7月5日火曜日

はじめてのJーREIT完全ガイドブック 鈴木雅光 2

第3章
◆REITの資産価値は住宅特化型などの特化型を除けば、複合型、総合型の大半が、ほぼ必ずといっても良いほどオフィスビルの動向から影響を受ける
◆オフィスビルの賃貸契約は、一般的に2ー5年程度と短いので、景気が悪くなると、テナント側は契約更新をせずに出ていくという選択をする。景気低迷に弱い。

◆スーパーマーケットやデパートなどを商業施設の場合、オフィスビルなどに比べると、一般的に賃貸契約が10年、あるいは20年と長期契約になるため、景気の変動による影響を受けにくいという特徴を持っている
◆都市型商業施設の場合、賃貸契約期間は短期だが、その分、新しいテナントがすぐに見つかる可能性があるため、賃貸収入が途切れるリスクは低いと考えられる
◆郊外型商業施設の場合、賃貸契約期間が長期のため、収益面では安定しているとも言えるのですが、10年に一度、あるいは20年に一度訪れる契約更新時に更新されなかった場合、新しいテナントが見つかりにくいため、最悪、空白期間が生じてしまうリスクがあります。


◆これから最も注目されてくるのが、物流・ロジスティックス。昨今、インターネットによる通信販売が盛んになったことで、倉庫需要が非常に高まっている
◆人の流れは移ろいやすいものだが、モノの流れは一旦ルートが確立されると、そう簡単に他へと流れてしまうようなことにはなりにくい
高級賃貸マンションなどの住居を組み入れて運用するREITは、収益性のブレが小さい反面、収益性はオフィスビル型のREITなどに比べると、いささか低めになる

◆ホテル・リゾートの需給動向には、変動要因がたくさんある
 1、景気動向
 2、季節要因
 3、(ホテルの)周辺事情
◆ホテルへの投資を中心にしているジャパン・ホテル・リート投資法人、その収益分配が年1回になっているのは、季節要因による収益変動が大きいためだと考えられる

◆REITは会社である以上、経営難に陥ったり、資金繰りに窮したり、挙げ句の果てには経営の継続が困難な状況にまで追い込まれるケースもあった
◆スポンサー企業が優良であれば、それだけ市場から安い金利で資金を調達できる。REITは資金調達を繰り返しながら新しい優良物件をファンドに組み入れていくので、増資によって自己資本を厚くすることも大事だが、同時に外部資金に依存する側面も非常に大きい
◆スポンサー企業の信用力は、REITの配当利回りに表れている
◆銀行がREITに投資する際は、やはりスポンサー企業の信用力に対して、慎重にならざるを得ない。配当利回りの高いものには手を出せないということになる

◆REITで長期投資をする場合の基本
 →基本ですが、これを遵守するのが一番難しいです。本を読んでみてください

◆銘柄選びが面倒、少額から始めたいと言うのであれば、東証REIT指数に連動することを目標にして運用されるETFを買うという手がある
◆東証REIT指数:上場しているすべてのREITの銘柄を対象に、その銘柄ごとの時価総額の加重平均で計算。2003年3月31日の時価総額を1000として、現在の時価総額がどの程度かを表すもの。
◆ETF:ExchangeTradedFund。上場投資信託。証券取引所に上場し、株価指数などに代表される指標への連動を目指す投資信託。
◆REITは、より良い運用成績を出すために、増資を行ったり融資を受けたり、あるいは投資法人債を発行したりして資金調達を行い、新しい物件を組み入れていく


その3




2016年7月4日月曜日

ケアの本質 ミルトン・メイヤロフ 第3章

前回から結構経ってしまいました。
第1章

今日は有給でした。
ホテルで朝食からの、プール、カフェでお茶という島耕作みたいな一日でした。
いやあ、優雅やった。
まとめもしっかりとやりますぜ。

今回まとめた章は、かなり示唆に富んでいますよね。

第3章
◆相手をケアすることにおいて、その成長に対して援助することにおいて、私は自己を実現する結果になる。
◆教師は学生をケアすることによって成長し、親は子供をケアすることによって成長する
◆信頼、理解力、勇気、責任、専心、正直に潜む力を引き出して、私自身も成長する
◆私は、自分自身を実現するために相手の成長をたすけようと試みるのではなく、相手の成長をたすけること、そのことによってこそ私は自分自身を実現するするのである

◆ケアにおいては、成長よりも過程が第一義的に重要である。というのは、私が他者にかかわることができるのは、現在においてのみのことだからである
◆現在は、過去から受け継いだ示唆と洞察によって支えられているのであり、新しい成長を見込むことができるという未来への期待によって豊かなものとなっているからである。
◆現在の関心と欲求は、過去の示唆や洞察の中でどのようなものが現在に関連しているか、また、未来におけるどのような可能性が現時点で実際的かつ重要といえるのか、これを明らかにすることができる
◆子供が早く成長して、現在そうでないのに”ひとかどの人物”になって欲しいと望むあまり、焦りすぎる父親は、真の意味で現在の子供をとらえていないのであるから、ケアするということは不可能である

◆ケアするには、ときに特別な資質あるいは特殊な訓練を必要とする。一般的なケアができるということのほかに、ある特定の対象に対してもケアできなければならない。
◆精神病患者に対するケアでは、特殊な訓練以外に、人間関係についてのなまはんかでない感受性が要求される
◆相手に対してケアできなければならないのと同様に、相手もまたケアを受容できる状態でなければならない。

◆ケアは連続性を前提としている。ケアの相手が、絶えず一人また一人と変わるようであれば、ケアは不可能である。対象は一定でなくてはならない。ケアすることは発展的過程を指しているからである。
◆尊敬に値する人が相手に対する約束を破れば、それは自己をも裏切ることである。それと同様に、ケアにおける自責感は、単に相手を裏切るということを意味するだけでなく、自己背信をも意味している

◆友情が深い場合、そのケアは相互関係にあり、お互いが相手に対しケアをするのである。ケアは伝染する。私が相手をケアすることは、その人が私をケアすることの活性化をたすける。
◆全てのケアは、終わりを告げることをもって理想としているように思えるが、私たちは相手の成長を互いにたすけ合うような成熟した関係が、無限に続いてくれることを望む

◆よい日もあれば悪い日もある。ケアには浮き沈みがある。
◆私がある対象について、それが本来的に持っている権利ゆえにそれが存在していると、心の底から感じとっていないならば、私はケアしているということにはならない
◆自分の行動は相手の成長の動態によって変化すべきであり、実際に起こっていることに照らして修正されるべきである以上、もし相手が事実上成長していないのであれば、私は相手の要求に対応していないわけであり、ケアをしていることにはならない。


つづき
第4章



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