竹中先生、日本経済次はどうなりますか?
竹中平蔵、田原総一朗
2013年
4限目
○小泉政権は01から0 6年だから、ジニ係数で見る限り、格差は小さくなった
○世界銀行が出す世界ガバナンス指標は、「ある国の権威や権力が行使される際の一番の慣習や制度」。各国のガバナンス状況が数値でわかりやすく示されれば、ある国の政府が「この制度が世界に遅れているから改善しよう」とか、「国際的な企業が英国より米国の方が進んでいる進出して工場作るならB国だ」と判断できる。ODAを出す時の参考にもなる。
○日本企業側されている六重苦
①円高
②40パーセントと高い法人税率
③TPPなど自由貿易協定の対応の遅れ
④厳しい労働規制
⑤厳しい環境規制
⑥電力不足
○六重苦のうち、不合理で過剰な規制はやっぱり取り除かなければダメ。もちろん何でもかんでも規制をなくせばいいのではなく、環境規制などは必要なものをきちんと残さなければいけない。
○株価が上がれば株を持っている人が資産が増える。企業の時価総額も膨らんで例えば海外企業を買収できる。それで新しいビジネスを広げて設けることができる。個人も企業も豊かになれば、経済全体が成長する。「日本経済は成長できない」という人は絶対にそうはならないと言っており、その考えは根本的に間違っ行っています。
○現実に今、世界の主要国の中で深刻なデフレで苦しんでいるのは日本だけ。ところが人口が減少している国は25カ国ある。
○ロシアもウクライナも人口が減っているが、どちらの国もインフレ率は6パーセント。だから、デフレと人口減少が何の関係もないということはないが、人口減少によって必ずデフレになるというのは誤り。
○労働の移動を促進させる補助金は、金額がなんと年に5億円。「労働者を固定する補助金」対「労働者を移動させる補助金」の比率が1000対5、こんなことをやっているから、現状が固定されてしまって新陳代謝が進まず、経済成長ができない。
○シュンペーターは起業家を単なる経営者とは考えない。イノベーションを担う経済主体のことを企業家と呼ぶ。
○日本企業の問題最大の問題は、だめな社長クビにできないこと。日本ではまともなコーポレートガバナンスが働いていない。
○アメリカの年金基金が2013年から、独立した取締役置かない会社については株主総会で代表取締役の人事を否認すると決めた。莫大な基金を株式に投資している大株主だから、能力のない社長が企業に座って利益率が上がらない状態など断じて許さないというわけで、コーポレートガバナンスの世界標準はそこまで来ている。
第5限
○政府が設置する政策審議会や諮問委員会は、以前からずっと構造的な問題を抱えている。大きな問題の1つは、明らかに利益相反行為がおこってしまうこと。
○コンセッション(concession)
もともと譲歩や容認という意味で、与えられた免許、特権、土地の使用権などを指す。例として、施設の所有主体とは別の会社が、駐車場や売店をやっているなど。
○東京時間をサマータイムで2時間早くすると、ニューヨークのマーケットが閉じる時間に、日本のマーケットが開くようになる。すると巨大な国際マーケットが連続して、本当のマーケットになる。
○特区は、特別な地区を設定して域内では規制を取っ払うというように、一種の実験をやる制度だった。その地域だけに特別な補助金が出るという制度に変質してしまった。
○農業はきちんと3つに分別して、それぞれに最適な対応をして行くべき
①海外からの農作物に十分対抗できる競争力がすでにあるもの
②集約化で耕地面積を広げるなど構造改革をうれば、競争力がつくもの
③中山間地農業など、競争力は期待できないが、社会的・環境的な要請から残すべきもの
○医療については供給を増やして競争してもらわなくてはダメ
○20数年前に出た文部大臣の告示以来、新しい医学部の設置が認められていない。まずこれをはずしてもらいたい。そして、医者になる人を増やせばいい。
○医者は必ず「医は仁術だ。カネ儲けではない」とか「病院の株式会社化なんてもってのほか」と言うけど、人の命を預かっている株式会社なんて山ほどある
○所得が高い人、元気に働いている人には、申し訳ないけど年金は出さない。それから、年金の支給年齢をもっと上げていく。
○医療についても、混合診療をはじめ、もっとおカネを出したい人に出してもらって、国費の投入を減らしていく
第6限
○中国の(限界的な)資本効率はかつての日本の半分くらい。効率の悪い投資をたくさんやっていて、効率の悪い資本は、いざ大きな社会変動があると、不良資産や不良債権として一気に顕在化してしまう