2016年10月8日土曜日

人間における勝負の研究 米長邦雄 2

前回
その1

すいません、一度上げた時にタイトル間違ってました。


◆会社で雑事ばかり命ぜられるとか、たいした意味もない単純作業ばかりさせられると言ったグチを耳にすることがあるが、そういう人は、たいてい本人のやり方がまずい。
◆もし、本人の自分のしたい仕事、するべき仕事があるのなら、会社に行って席に着いた瞬間から、必死になってそれを始めてしまえば良い。その気迫は必ず周囲の人、その人には雑事を頼めなくなる。少なくとも、雑事を頼むときには、必ず都合を聞いてくれるようになるもの。
◆いわば初段の肩書きで3,4段の手を出させなければだめ。初段の肩書きで初段の実力では後から来る人にどんどん追い抜かれていき、それっきりで終わってしまいます。

◆将棋の世界では、師匠が「1局教えてやろう」と言うのは、見込みがないから破門するということ。そんなわけで師匠が教えてくれないのだから、自分でやるより仕方がない。そして、そういう意欲とか積極性を持たせることが、一人前に育てあげるには、大切なこと。
◆勉強方法としては、詰将棋と新聞の将棋欄を利用して、次の一手を考えるという方法を多くとりました。他人の将棋を勉強したところで、その人の水準にしかしないのではないか。その人の水準を越すためには、自分の独創で指すしかない。という考えがあったからです。

◆本当に強くなりたい、勉強したい、と思ったら、まず、独立心、孤独に耐えられる力が必要。最終的に頼れるのは自分自身の力だけなんだ、ということがわかっていないと、本当の成長はできない。さもないと、他人の残したものを少しずつ吸収するだけで一生が終わってしまう。
◆将棋の勉強の最善手は、ある局面を見て、自分の力で必死に極限まで読み、考え抜くということの繰り返し。自分の力で自分の結論を出す。
◆とにかく自分で考えて、自分で何とかすると言う事は、自分を本当に鍛える方法で、このムダが実力を産み、育てるわけです。
◆実力がつくかつかないかは、自分が本当に「これだな」と気がついたやり方で精進するかどうかで決まってくる。子供の時に、1年でも早くそのやり方に気がつくかどうかが重要なポイントとなる。
◆そのうちに、わからないものを考えたって仕方がないんじゃないか、という気がしてくるものです。しかし、そこでもう一度、挫けずに気力を奮い起こし、そのわからないものをいつまでも、鼻血が出るほど考え、自分なりの結論を出す。

◆カンというのは、ものすごいスピードで考え、読み切った結果として生じるもの、あるいは読み切るというよりも、読まずに済むところを読まないで済ますことです。つまり、読みの省略があると言うことで、下手な人はを読む力が弱いから、省略する力がなく、すぐに答えを出せない。
◆その数多くの体の中から、選択するときに、最善手であるかどうかは別として、とにかく悪手ではない手をほぼノータイムで指す能力があるか、これが実力を計る1つのバロメーターです。
◆自分のミスを反省し、自分の指したいた手がいかに馬鹿げたてか、よく認識するように教育されます。勝負師として1番大切なのは、第一感でできるだけ多くの最善手が指せるようになること。だから、こういう勉強が必要なのです。そして実力がつくにつれて、いくら手が広い局面でも、意味のない指し手は削っていく能力が身に付きます。

◆5分ぐらい考えてもわからない場合、その局面では2時間考えようが3時間考えようが、自分の実力では、自分の持てる結論は出せないだろうと考えて、まず間違いがない。そしてそういったそういった判断がないと、いつまでたってもただ考えているだけと言うことになってしまう。
◆考える順番としては、まず、①問題の意味は何か、②答えは何か店ですが、大抵の場合、ここでわからなくなります。そうしたら、今度は③自分の力で答えが出せるか、と考えてみる。そして最後に無理だと言う結論が出たらどうするかと言うことがポイントになる。
◆考えること自体は良い事ですが、考える手順を謝らず、考えるべき対象はあらかじめ絞ることができなくてはダメ。何を考えるべきかを本人がよくわかっていなければ、単なる時間の浪費に終わってしまう。この原則は、将棋以外のどんなことにでも、つまり日常の生活や仕事の中でも、共通して認められること。

◆大事なことだからこそ、簡単に決めるべき。悩み、考えあぐねてから答えを出す場合よりも、大体において間違いが少ないもの。
◆そういうときにカンに頼っていい、と私がいうのは、その裏付けとなる読みが大抵の場合存在するからです。強くなるためには、物事の好き嫌いをなくすことです。人間を鍛えると言う場合に、好き嫌いなどと言う甘えた考えは認められません。


続き



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