2017年9月17日日曜日

服従 ミシェル・ウェルベック

アメトークでオードリー若林(失礼!汗)ピース又吉が紹介していた本。


2020年のフランス。
ファシスト政党とイスラム政党の決選投票を迫られた国民、
着実な戦略的手法をとってきたイスラム政権は政権奪取。

大学教授の主人公。
国立大学ではイスラム教徒以外は教鞭をとれなくなる。

不自由なく年金をもらいながら余生は送れるが、
改宗すれば高い地位、何人も若い妻を取ることができる。
折から改宗を進められる主人公は、どうするのか。

徐々に変化していく主人公の周辺、
どこからどこまでがファクトか分からないほどリアルな政治的動向。

その一方でダラダラした主人公の心的描写や口の悪さ、どうでも良いような性描写。
これらが振り子のように繰り出されることで、物凄いリアリティーを生み出している。
注の振り方など細部もこだわってあり、それを本文で匂わすなどオシャレな構成。

個人的に好きだったのは、
付き合っていた学生の女の子が家に来たのでスシの出前を取ったが、
気まずい感じになって彼女が帰った後にすごい量のスシが届くというシーン。
そういう緩急がたまんない。

全体のキーワードは、
・ヨーロッパの内的崩壊
・インテリの弱さ
・体制への迎合
・イスラムによるローマ帝国の再興
佐藤優の解説参照。

◆西洋諸国は、対立するギャングが権力を分け合うに過ぎないこの選挙システムを非常に誇りにしていて、時には、その熱狂を共有しない国にそれを押し付けるために戦争を起こしたりもする
◆既存の社会制度の中で生き、それを享受してきた人間にとって、そのシステムに期待するものが何もなかった者たちが、格別怖れもせずにその破壊を試みる可能性を想像することはおそらく不可能なのだ

◆現在、フランス軍は33万人を雇っています。毎年の雇用人数は約2万人です。つまりほぼ15年間でフランス軍スタッフの全体が総入れ替えということになります。若い活動家が大量に軍隊に志願するならば、彼らは比較的短期間で、軍を思想的にコントロールできるようになるでしょう。
◆彼らは、通常の政治的に重要な点にはほとんど関心がなく、特に、経済をすべての中心に置くことはありません。彼らにとって不可欠な課題は人口と教育です。出生率を高め、自分たちの価値を時代に高らかに伝える者たちが勝つのです。

◆朝、おそらく彼女はブラッシングをして、、自分の職業のステイタスに適うよう細部まで気を遣いながら服を選び、彼女の場合はセクシーよりもエレガンス中心だえろうが、とは言ってもその配分は複雑で、子供を保育園に送る前にかなりの時間をかけ、そうして一日は、メールや電話、様々なアポで過ぎていき、午後九時に疲れ切って家に帰る(ブリュノが子供を保育園に迎えに行き、ご飯を食べさせる。公務員だからだ)、すべてのエネルギーを使い果たし、トレーナーとジョギングパンツに着替え、このようにして彼女は自分の旦那様、ご主人様の前に出てくるのだ。彼は必然的に、どこかで騙されたような気がしていたに違いないし、彼女自身もどこかでやられたような感覚を持っていただろう、そういうことは年月が解決する問題ではないし、子供は育ち、職業上の責任は自動的に増加する、肉体が衰えつつあることを考慮することもなく。

◆すぐに現れた効果は失業率で、そのカーブは急速な右肩下がりになっていた。それは間違いなく、女性が労働市場から大量に脱落したことが原因だった
◆工業地域では、物々しい救済活動が行われたにもかかわらずいくつもの工場が次々と閉鎖されていった。その反対に農業と職人仕事は窮地を巧妙に切り抜けて、市場の一部を占めてさえいたのだ

◆無神論の人間中心主義の根本には傲慢、途方もない慢心があります
◆人間の文明の頂点にあったこのヨーロッパは、この何十年間で完全に自殺してしまった
◆人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、それ以前にこれだけの力を持って表明されたことがなかった






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