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2018年1月23日火曜日

世界の酒 坂口 謹一郎

坂口先生のお酒ヨーロッパ紀行@1950年...

坂口先生は以前、
日本の酒という本を読みました。
https://bunkeiiryonohondana.blogspot.jp/2017/08/blog-post_13.html

イタリア→スイス→フランス


→デンマーク→オランダ→ドイツ

→スペイン→ポルトガル→イギリス→アメリカ
 

おまけソ連・中国
という感じ。
仕事で海外行って酒飲むって羨ましすぎる。
 


さて、醸造学というのは、
生物学、細菌学、ひいては医学にとても関連が深い。

カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(上)
http://amzn.to/2DqwGvb

でも、ド頭は延々古代の酒造り(あとチーズ作りとか)の話から始まる。

 活字版の酒場放浪記みたいな感じで、
読んでると飲みたくなってくる。


本に書いてあったお酒で飲みたいベスト3

・シードルのどぶろく(フランス)
・シェンク・ビーア黒(ドイツ)
・ギネス(アイルランド)

諸事情により節酒中。
書くほどに、ああ飲みたい。






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2017年12月5日火曜日

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 ジェレミー・リフキン

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 
ジェレミー・リフキン

「資本主義の稼働ロジックは、成功することによって失敗するようにできている」

資本主義
競争
限りなく限界費用がゼロに近づいていく
ものの付加価値がゼロに近づいていく
売り上げがなくなっていく
資本主義の崩壊

シェアリング・エコノミーの台頭

※超簡略化して書いてます。

読むにも体力使うすげえ本だった。
2015年の本で、シェアリングエコノミー・IoTは、
その当時は先読みな話だったんだろうけど(日本においては)、
現在それが当たり前になっている世の中の速度が怖いっすわ。




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2016年9月20日火曜日

記事「医師は患者の健康に影響を与える社会的な要因も診るべきだ マーモット世界医師会長語る」

医師は患者の健康に影響を与える社会的な要因も診るべきだ マーモット世界医師会長語る
http://www.asahi.com/articles/SDI201609167566.html

先日書き起こしを掲載したマイケルマーモット先生のインタビュー記事です。
スライドとかも出ているので、是非ご覧ください。

書き起こしは↓↓↓

その1

その2

その3

その4質疑応答


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2016年9月16日金曜日

世界医師会長マイケル・マーモット日本講演書き起こし その4 質疑応答

前回
その3


○質問1
 ありがとうございました。素晴らしい講演でした。
 強調されてらっしゃったのは女性の教育、それこそがまさに強力なDVの予防要因であると、DVを減らすためには鍵であるとおっしゃっていました。その配偶者に対する教育はどうなのでしょうか。相関関係はあるのでしょうか。強いような気がしているのですが。
 また、夫婦間の教育格差には影響があるのでしょうか。

◆答
 教育によってDVを減らせると申し上げました。女性の教育のグラフを提示させていただいたのですが、今のご質問は、女性の教育なのか、そのパートナーの教育なのかというご質問です。
 この両者には相関関係があるのではないかというご質問ですが、私にはその答えは分かりません。先程アクションの話をしていたときには、少なくとも少年少女、「男女」の教育が必要と申し上げました。
 さて、2つ目の質問での両者の格差についてはエビデンスがあります。教育レベルの高い女性は、それよりも教育レベルの低い男性と結婚するとDVに曝される確率が高くなります。男女差において、女性のレベルが高い場合にはそのようなエビデンスがありますが、その逆は存在しません。


○質問2
 非常に印象に残ったプレゼンテーションありがとうございました。日本の高齢化社会の現状というのは、これは平等であって、つまり様々な意味で日本社会においては格差が小さかったことが言えるかなと思いますけども、高齢化社会の未来、例えば日本のような高齢化社会の未来についてはどうお考えでしょうか。
 
 例えば、医療制度という意味では非常に日本は進んでおります。また公衆衛生も進んでいます。しかし、高齢化社会というのは非常に大きな負担になりうると思っています。これは日本の国民全体に対してです。どのように高齢化社会をマネジメントしていけばいいとお考えですか。

◆答
 これは非常に重要なご質問です。様々な課題に関連性があると思います。私はこの件についてもモノを書いておりますけども、考え方を変える必要があると思います。
  イギリスのデータがありましたけども、70歳以上の人口の多くが、自分たちを高齢者と思っていないことが明らかになっています。例えば、高齢化社会のグループのメンバーの女性1人がおっしゃっていたのですが、それは確かに良いと思います。
  しかし、高齢イコール悪いことではないのではないかとおっしゃっていたのです。70歳以上の人たちが自分たちを高齢者と思っていないのは良いということだけれども、未だに「高齢」というのが悪い意味で言われてしまっている。そうではない、高齢とは良いことである。高齢者というのはより賢く、またより他者を思える気持ちが強い、そして高齢者というのは教育者であり、そして祖父母であり、芸術家であるということで、高齢者というもののとらえ方を変える必要があるのではないかということを言われたわけです。高齢者というものは良いものであるということです。

 現在のモデルでは、人生で、就業するとか、あるいは子どもを持つとか、退職するとか、谷が決まっていて、それが全部終わってしまったら役に立たないという考え方ですけども、そうではないと思います。今日、高齢化で機能障害という話をしましたけども、場合によってはより早く始まる場合もあるわけです。そして、子ども時代の経済的なストレスが重要だということも申し上げました。しかし、誤解をしないでいただきたいのは、高齢・・・(聞き取れませんでした)・・
 例えばモリヤ、90歳の方ですけども、バスがもっと歩道に近いところに止まってくれればバスに乗り易いのにと、そしてバスの値段を半分にしてもらえば劇場の鑑賞に行けるのにとかいうことが色々あります。実践的に全くコストをかけずに、社会が高齢者にできることがたくさんあるのです。そういうことをやれば、高齢者がより社会に対応できるようになります。もちろん高齢化してからの障害を増やすためには出生時から対策をしなくてはいけないわけですけども、それだけではない、既に高齢化してしまった方でもできることはたくさんあるということです。
 日本について考えてみたいと思います。人口の30%が60歳以上とか25%が65歳以上ということだと思いますけども、高齢化のスピードというものは、インドの方が実は日本よりも早いのです。北半球というのはまず豊かになってから高齢化しましたけども、南半球というのは高齢化してから豊かになって行きます。これはグローバルな課題だと思いますけども、世界的に見て高齢化は起きているので対策をしなければならない。しかし、問題ではなくチャンスととられるべきであるというのが私の見解でございます。

fine.
お読みいただきありがとうございました。






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2016年9月6日火曜日

世界医師会長マイケル・マーモット日本講演書き起こし その3

前回
その2

 健康における格差、不平等は、社会における不平等を反映しています。全ての社会にこういった格差、不平等は存在しているわけです。これは既に狩猟民族ではありませんので、非常に複雑な社会の中で今生きています。誰もが同じ収入、あるいは同じステータスというわけではありません。ということで、収入、ステータス、社会的な地位、こういったところに格差は存在しています。したがって、それに応じてある程度の健康の格差はあります。しかし、その度合いが違うわけです。

 例えば女性で見ると、その格差は男性よりも大きいということが分かります。15のヨーロッパの職業において、データを取りました。25歳における○○です。これを教育水準別に見ています。ISCDEというのは国際的な分類ですけども、5から6と書いてあるのは大卒という意味です。0から2というのは初等教育だけという意味です。イタリア、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、こういった国々においてはご覧のように平均余命が比較的長く、そしてギャップ、つまり格差も小さいということです。教育レベルが高くても低くてもそれほど違いはありません。しかし、元共産主義の国々、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、エストニア、こういうところを見ていきますと、平均余命がより低い、そして更に格差もより大きいということになっています。

 つまり健康格差というのは国によってその度合いが違うということです。イタリア、スウェーデンのような形、フィンランドのような形にもできれば、あるいはブルガリア、ルーマニア、ハンガリーのような状況もあり得るということです。そして、既にこの格差を是正する方法というのは明らかになっています。例えば社会的な支出ということで、国の予算としてどれだけの支出を社会保障に対してしているかということです。こちらは教育水準、そして初等教育、中等教育、高等教育ということで、男性女性で分けて見ていますけども、国の支出が少ない場合はこうなります。逆に国の支出が大きい場合はこうなります。そしてこちらは女性の方ですね。格差というのはほぼ無くなるということが分かるわけです。国の支出が大きければ格差はゼロに近くすることができます。

 さて、私のhealth gapでも書きましたけども、6つの領域というものがあると思います。子供達に最良のスタートを切らせるということ、そして生涯学習、教育を提供する。また、公平な雇用、良い仕事を全員に対して提供する。そして最低限必要な健康を達成するための生活水準を保持できなくてはいけない。そして、健康で持続可能な地域社会を作る。また健康にするための役割と、そしてインパクトについて強化していくということであります。細かいところは割愛しますけども、1つお話したいことがございます。

 WHOのSDHの委員会において、私が議長を務めまして、2008年に報告書を発行しました。そのときに、豊かな国と、それから貧しい国、それから中所得国ということで、健康格差の比較をしていたわけです。スコットランドのグラスゴーのカルトンという非常に貧しい地域ですけども、男性に関しては54歳という平均余命です。そしてレンジという豊かな地域においては82歳なのです。28年も差が男性の平均余命においてスコットランドの1つの都市の中でもあるということです。そして、この症例ですけれども、実は警察官の方が殺人事件を取扱っていて、そのときに発見したことなのです。警察官の数を100人増やすのではなく、健康関係の専門家を増やして欲しいということでした。つまり子供が育つ時期にそういった健康に関する専門家がかかわっているほうが警察の数を増やすよりも効果的であると彼は言ったわけです。

 さて、ジミー君ですが、シングルマザーが育てていました。そして複数の男性のパートナーが順番にいて、それぞれ身体的な虐待、そして性的な虐待などを行っていました。学校では問題児でした。そしてもう少し年をとりますと不良になりまして、ギャングのメンバーにもなり、暴力にも関わり、きちんとした仕事に就くこともありません。警察にもよく顔を知られていました。そして少しでもお金が懐に入ると、それを使って飲みに行ってしまう。そしてパブの食べ物しか食べていない。ファーストフード、アルコールしか消費していないということです。そして、アルコールによって非常に暴力的になります。インドの平均値よりも短い平均余命ということになってしまいました。

 世界の多くの地域において、政治家はこのように言うでしょう。貧しい人々は自分たちが不健康になっても、それは彼の責任である。ジミー君は自分のことしか○○できない、もっと健康な食事をすれば良いではないか、求職すれば良いではないか、ドラッグを止めて、そしてきちんと真面目に仕事を探して、彼女を殴るのを止めて、きちんとした行動をすれば良いではないかと言うでしょう。これまでの厳しい人生、子供の頃は虐待をされていたわけです。そしてギャングのメンバーにもなったわけです。貧困の中で生きてきたわけです。これがそうでなければ、つまり、もっと安全な子供時代を過ごすことができれば、きちんとした教育を受けていれば、その後は確かに喫煙とか飲酒というのは彼の好みで選べるのかもしれませんけども、ジミーの場合はそうではありません。彼は選んだわけではないのです。

 さて、このような人生を過ごしたことのインパクトはどうなのでしょうか。認知機能にどのような影響があるのでしょうか。これは、国語と数学、7歳ですね。リスクファクターを右に挙げていますけれども、リスクファクターが多ければ多いほどこの読解力も数学の能力も低いということであります。例えば、母乳で育てられていないとか、母親がうつであったとか、片親であった、家庭の収入が低かった、あるいは親が失業していたなど色々なリスクファクターがあります。つまり、読解力が低い、そして算数ができないということになってしまうと、その後の学業の成績も悪いわけです。そして学校の成績が悪ければ、良い仕事には就けません。もちろん良しごとに就けなければ、もちろん低所得になってしまいます。そして逆境で生きなくてはいけない、そしてそれが全て不健康につながるわけです。

 そしてこれらの要因、リスクファクターの全てが予防可能であり、予防することができればこの健康格差を大きく是正することができるはずなのです。ということで、子供時代という話、そして教育という話をしましたけれども、次に健康な生活をするために最低限必要な収入を考えて見たいと思います。計算をしてみました。どれくらいの収入があれば健康に暮らすことができるのか。健康な食事、清潔な家に住むとかですね。高齢者の場合には十分に収入があって、例えば孫のためにプレゼントを買ってあげるということも重要になってくるわけです。お金が無くて、孫達にプレゼントを買ってあげられないというのは、これは非常に惨めな状況です。尊厳がありません。尊厳がなければ健康な生活もできないと我々は考えています。

 こちらは英国イングランドの数字です。2008年・2009年から、2012年・2013年までの期間でそれぞれ見ています。ご覧のように、この閾値未満ですね。ここの部分がパーセンテージとしては増えています。彼らがブレクジットに票を落としたわけです。ロンドンにおいてもこの比率は上がっています。これによって健康における不平等にも影響があるということです。

 さて、health gap、健康格差という私の本から引用したいと思いますが、チリのパプロニ・ルーダという○○。そして彼は私と一緒に立ち上がって、この悲惨さの仕組みと戦うと言っています。しかし、この悲惨さの仕組みというようなタイトルでは本は売れないだろうと出版社に言われまして、だったら希望の仕組みはどうだろうと言いました。少し分かりにくいけれどその方がまだ分かり易いということで言われましたが、私が言いたいのは健康を増進し、健康格差を是正する方法ははっきりと分かっているのです。ヨーロッパのSDH、そして健康格差のレビューをしたときに弱ったのが、この健康格差というのは不必要であり、不正であるということです。ちなみにこの写真ですけれども、スペインのマドリードで抗議をしている写真です。失業率が50%以上、ギリシアでは60%以上、イタリアでも40%と言われています。若者です。一生懸命勉強した、勤勉に頑張ってきた、そうすれば明るい未来が開けると思っていたんだけれども、そうはなっていない。仕事が無いということで抗議をしているのです。我々に約束された未来はどこだということです。

 これが公衆衛生の時限爆弾です。若者が卒業しても、きちんとした職に就けないということになってしまうと、生涯的に社会から阻害されてしまう、そしてそれによって不健康な状態に追いやられてしまいます。きちんとした社会的な○○、社会的な包摂、また高齢になった時の平等ということが重要になります。その為には社会的な様々な階層のレベル全てにおいて対策が必要ということであります。そしてヨーロッパの地域においては、これは旧ソ連の、例えばウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、こういった国々、他にも何とかスタンというのがいっぱい入っていると思うのでうすけど、そういったところも含まれています。このSDHに関してきちんと対応していない国であれば、何か少しでもやって下さいというのがDo Somethingです。そして真ん中のポーランド、チェコ、ハンガリー、こういったところで少しやっているのであれば、もう少しそれを拡大してやって下さいというのがDo Moreです。そして、高所得であって、素晴らしいことをやっているのであれば、それを更に上手くやって欲しいということです。北欧諸国というのは、おそらく最も真剣に私のメッセージを捉えてくれておりますし、様々な仕組みを実際に構築してくれております。

 おそらく日本においては、ちょうど北欧諸国のようにもう既に達成を遂げているので、さらに改善して下さいということで、Do Something,Do More,Do better,Thank you.

つづき
質疑応答





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世界医師会長マイケル・マーモット日本講演書き起こし その2

その1
http://bunkeiiryonohondana.blogspot.jp/2016/09/blog-post_98.html


 さて、それではここからドメスティック・バイオレンスの話をしましょう。そしてそれを逆境的児童期体験に絡めて見たいと思います。ある調査で逆境的児童期体験が調査されました。それは言葉による虐待、身体的虐待、それから性的虐待と言っていますが、それはまた成人してから子供の頃を想起してもらった結果です。言葉による虐待を受けたということを覚えている人たちは18%、身体的虐待を15%が覚えていました。6%は性的虐待を子供のときに受けていたと言っています。また両親の離婚、これも逆境的な体験です。24%が経験をしておりました。また、13%はドメスティック・バイオレンスを目撃していました。12%は家族の中に精神障害の人がいた、10%はアルコール中毒者がいた、4%は薬物中毒者がいた、4%は家族の誰かが投獄されたと言っています。

 こうした数値を見ていますと、これは英国のデータなのですが、アメリカのデータもよく似ています。日本はことなるかもしれませんが、人口の9%が4種類以上ものこうした逆境的体験をしていました。16%が2種類から3種類、これは重要なことではないのでしょうか。4種類以上のこうした体験をしている場合、過度な飲酒を行う確率が2倍になります。喫煙率が3倍になります。16歳未満でセックスをする割合が5倍になります。10代で妊娠する確率が6倍になる、妊娠するあるいは妊娠させる両方含みます。それから、過去1年間で暴力絡む割合が7倍になります。ヘロインとか、あるいは覚製剤を使うあるいは投獄される可能性が11倍になります。すなわち4種類以上の逆境的な児童期体験をして しまうとこのようなインパクトが待っているということになるわけです。

 現状こうした体験は避けることができると思われますが、そうすると何ができるかということ、10代の妊娠ですとか未成年の喫煙であるとか過度な飲酒をこれだけ減らすことができると、更には暴力の加害者になることを50%軽減できると言われています。さらに、こちらはDVの被害者の割合です。半分にできるのです。こうした児童期の体験が無ければこれだけ減っていたということです。ということで、逆境的児童期体験をした場合にはドメスティック・バイオレンスの被害者になりがちであると同時に、加害者にもなりがちであるということです。また投獄される割合であるとか、あるいは正しくない食事の摂り方であるとか、そうしたことがすぐ低下するということです。社会的なアクションを取ることによって減らせるはずであるということです。

 また、ドメスティック・バイオレンスの割合ですが、世界において高所得においては23%がドメスティック・バイオレンスを申告しています。37%というのは地中海地域、アフリカが35%、グローバルで見て、35%近くがドメスティック・バイオレンスを経験しています。これは公衆衛生の問題です。しかも、そのうちの42%は復讐をします。殺された女性の38%は、その加害者がパートナーであるというのがグローバルな数字です。ちなみに男性の場合ではそれが6%になります。男性はその通りでお互い打ち合うことの方が多いのでしょう。しかし、殺された女性の38%は、なんと自らのパートナーに殺されているというのが世界的な数字です。

 また、既婚女性でドメスティック・バイオレンスを受けた女性です。教育レベルによって変わります。ほとんどの国において教育レベルが高いと、インドの場合はこのようにDVに曝される割合が減ります。ハイチは例外なのですが、一般的に見て教育レベルが高くなれば、女性がDVに曝される確率が減るのです。医療従事者としての私たちはこうしたことを心配すべきだと思います。しかし、私たちにできることは限られています。

 こちらを見て下さい。こちらは既婚女性で殴られても仕方が無い、すなわち夫からのセックスの要求に応えられなかった場合、殴られても仕方が無いと思っている女性です。グローバルヘルスの中で、1つ重要なことがあります。それは文化に対してセンシティブであるということです。文化による違いがあります。これもその例です。人権に対する尊重があったとしても、文化に対する感度は高めなくてはなりませんが、その文化の中で何が行われているかということを無視することはできません。どのような状況においても、女性を殴るなど、自らのセクシュアリティをコントロールしようとして殴られるということなど許されて良いわけはありません。こちらでも教育レベルが高ければ、そのような目に合わずに済むということが示されています。だからこそ、教育者がDVを予防するのに一番大きな役割を果たすのです。こちらは健康のアウトカムに対するDVの影響です。低体重出生であるとか、梅毒、HIVウイルス、クラミジア、淋病、アルコール中毒、うつ病、人工中絶、自殺と、こうしたものがいずれもDVによる影響を示しています。人工中絶もそうですし、自殺にあたっては4倍もその割合が高まることが示されています。

 一体何ができるでしょう。予防、保護が必要です。人権、尊厳の尊重が必要です。少年少女の教育、ピアラーニング、弱者の特定とその保護、コミュニティヘルスサービス、司法・警察へのアクセス。

 実は今日何人かの方とお話をしていたのですが、消防士の話をしました。SDHの世界においては消防士は非常に重要な役割を果たします。バーミンガム、これはイングランドの中西部ですけど、消防士のトレーニングを行っていて、誰かの家に入った場合には、警報機を取り付けたり、色々なことを教えるのですが、DVの兆候を見つけたら消防士は一体何をしたらよいのか?自分では何もできない、でも毎回コンタクトできる人間がいるのだから、それを活用しようと言っています。DVの専門家を知っているのであれば、コンタクトをせよと教えています。「こちらがDVの専門家の電話番号ですよ」と教えられているわけです。専門家にそこは任せなさいという教育が消防士になされているということです。

つづき
その3


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世界医師会長マイケル・マーモット日本講演書き起こし その1

いずれ日本医師会さんのHPにアップされるとか言ってたような。
それまでの繋ぎとしてどぞ。

※9/16 その4 質疑応答アップ予定。

※9/23 日本医師会さんのサイトで動画がアップされました。
お時間のある方は映像でもご覧になって見て下さい。
そしてまた是非こちらのブログにも遊びに来て下さい。笑

日本医師会HP


 ありがとうございます。はじめましてにあたって、あるエピソードをお話しましょう。ある日電話がありました、少々忙しくしていたのですが、相手はイギリス医師会のCEO、彼は言いました。
「イギリス医師会の会長になってもらいませんか?」

そこで言いました。
 「おそらく電話のかけ間違いでは?私はマイケル・マーモットですよ。私がイギリス医師会の会長になどなれるわけがありません」。
 「いえいえ、正しい番号です。いえ。まさに先生と話がしたかったのですよ。」
 「 私の仕事をご存知ですか?」と伺いました。
 「私が力を入れているのはSDHですよ。健康の主要な要因は医師・・・(音声不良20秒)・・・」

 日本の医師会とBMAの会長というのは違います。日本医師会の会長さん、非常に重要ですけども、どちらかというとイギリス医師会の会長職というのはそれほどの重要性は持ちません。まあ、名誉職のようなものです。でもそれでも「やってください」とおっしゃるのです。

 そこで、申し上げました。私は「各学会の会長と、セミナーやディナーで議論をしたい」と申し上げました。「そうした各学会の会長が、SDHに関与する必要があると思うからです」と申し上げました。そしてそのディナーは実現しました。精神医協会、それから小児科医協会、さらには公立内科医協会、それから公衆衛生、あるいは産業医、公立看護師協会、こうしたところがいずれも私の主張に耳を傾けてくれました。認めてくれたのです。

 本日は、その中から公立産婦人科医協会との取り組みについてご紹介したいと思います。理事会が行われた際に招待を受けました。理事会に対して話をしました。その後で、そのメンバーの1人がおっしゃったのです。「この話は、かつても聞いたが何も起こってはいない」とおっしゃるのです。

 しかし、その3ヶ月後再び招待を受けました。今度は朝食会でした。最高の朝食会でした。なぜなら、その時には、公立産婦人科医協会は、「女性の健康を将来に向けて取り組むべきこととして取り扱うべきである」とおっしゃったからです。なんと素晴らしいと思いました。

 そこで今晩は、ちょっと暖かいので上着を取らせていただきますが、本日お話を申し上げたいのは、まず第一に日本における健康の不平等について。日本においてさえもそれは存在いたしますので、それを取り上げてほかの国と、特にアメリカ及び英国と比較してみたいと思います。その後で、こうした産婦人科医のみなさんと話をしていた内容に深く踏み込んでみたいと思います。health gapという本を書きました。是非ご親戚のためにお買い上げいただきたいと思います。クリスマスに向けて。

 最初にこの中に書いたのは、せっかく治した人を、そもそも病気にした状況になぜ送り返すのか、と問いました。WMAの会長として、私はこれまで韓国医師会、世界各国の医師会をこれに巻き込もうとしてきましたので、日本医師会様に招待を頂いたのは、非常に嬉しいことと思っております。もちろん医師は病人を治療するわけですが、しかしWMAの医師には、是非人々を病気にしてしまう状況にも対応していただきたいのです。

 さて、もう一つ持続可能な発展のための目標です。SDGというアジェンダがございます。その中で1つ健康な生活Well-beingをすべての年齢で、と明示していることが一つございます。SDG自体は17あるのですが、その多くがSDHに関連しています。例えば貧困に関する目標があります。貧困な家庭に生まれた子供が5歳までに死んでしまう確率が、豊かな家の子どもよりも2倍もある。あるいは先進国に比べて、発展途上国においては母親の死亡率が14倍も高いとか、あるいは若い女の子たちの初体験の多くが強姦であったとか、そうしたことが課題になっており、女性の健康に大きな関連を持っているのです。

 日本について考えてみましょう。日本の疫学者の方の調査ですが、所得格差による健康格差を、男性・女性に関して経時的に見ています。黒が男性、赤が女性ですが、こちらのほうが絶対値と相対値で見ているのですが、どちらにしても同じことですが、低所得な人たちが不健康になる確率がだいたい1.5倍から2倍あるということですが、それがそれほどは大きく変わってはおりません。この日本における勾配は、経時的に見てもそれほど大きな変化は無いのです。ですから日本においては、課題があるとしても、世界的な標準からみれば、それほど大きなものではありません。

 こちらはSESという社会経済的なクラスを示しています。職業に基づいたもの、それから上で示しているのは所得ベースで見た表でした。高齢期における機能の障害ということで、これは非常にひどいスライドで非常に申し上げないなと思っております。どなたかからお借りしたものですけども、SESつまり子供時代にどのような社会経済的なステータスにあったかということで、65歳から69歳になった段階で、高所得であったのをreferenceと取りますと、中所得であった場合、子供時代の場合ですが、1.2倍も機能的な制約をこの年齢で受けやすい。また中低所得であれば1.4倍くらい高くなるということです。さらに高齢になりますと、1.31倍となっています。ですから子供時代の社会経済的なステータスによって高齢期における機能障害が予測できるということです。

 成人になってからのSESを見てみます。これを見ますと、割合は少し減ってきます。すなわち、子供時代のSESというのが、大人になってからの機能的な制限の予測要因となっている、すなわち子供時代にSESが低ければ、それも成人になってからのものに影響があるということを示しています。日本においても、このような機能障害でありますとか、有病率に関しては影響が存在するということです。

 さてこれは、大阪で行われた喫煙に関する研究でありますけども、日本では喫煙率が非常に高いということですが、社会的なことがここにもあります。教育水準によるものです。すなわち中卒の場合59%が喫煙をするということです。そして学歴が高ければ高いほど、つまり高卒ですと50%であったり、そして院卒であれば17%ということで少しずつ下がるわけですけどまだ高いと。女性の場合には、喫煙率は非常に低くなりますけど、ここにも勾配が存在します。教育推進によるものです。

 さて、喫煙というものは、日本では非常に安くできるという要因があります。つまり、喫煙をするのに、タバコを買うのに必要な労働時間ということで比較をしますと、1箱のタバコを買うのにかかるコストというのは11分働けば賄えるということです。2009年のデータであります。オーストラリアは27分、オランダであれば31分の仕事をしないとタバコは1箱買えないわけであります。そして、この研究によりますと、日本政府はタバコの価格をかなり大幅に引き上げるべきであるという提言が出ております。あまりにも安過ぎるということであります。従って、何か対策を講じるのであれば、この社会的勾配を是正したいのであれば、このように課題を挙げるということになります。つまりタバコを喫煙するということが不健康の要因になっている、そして何故タバコを吸っているかという原因に対して対応をしなければいけないということで、これも健康の社会的決定要因の一つであります。

 さて、全体的な文脈ということで考えていきますと、私が申し上げたい重要なポイント、メッセージというのは、やはり健康における格差というのは必ずしも不健康という意味では最も貧困層が一番病気だということだけではなく、勾配が存在しているということです。これはアメリカのデータです。出生時の平均余命ということで男性、女性、これも教育レベル別に見ています。白人女性に関しては、もちろん学歴が高くなれば高いほど余命が長くなります。黒人の女性も同様です。そして白人の男性、黒人の男性、全て勾配が存在しているわけであります。白人、黒人そして男性、女性、そしてこの教育水準ということで、このように平均余命がどのように長くなるかという勾配がはっきり見て取れます。こう考えていきますと、一番の均衡な層だけを見るのではなくて、全体的に対策を考えなくてはいけないということになります。

 こちらはアンケースン(?)、そしてリートン(?)らがニューヨークタイムズでまだこういう研究をしている人がいますので発表したないようですけども、去年の数字であります。45歳から54歳の死亡率を見てみます。そしてイギリス、カナダ、オーストラリア、スウェーデンという数字がそれぞれ出ておりますけども、このように45歳から54歳の死亡率というのは下がってきています。フランスとスウェーデンには大きな差があります。スウェーデンの方がずっと低いということが分かります。フランスと比べてずっと低いです。しかし全ての国において数字は下がりつつあるわけです。

 USHとあるのはアメリカのヒスパニックです。そして赤で示してあるUSWというのはヒスパニック以外の白人ということです。アメリカの数字です。この線をご覧下さい。このグループでは死亡率が逆に上昇しつつあるのです。これはただ単に医療の問題ではありません。つまり医療の課題ということではないのです。死亡率が上がっている、上昇している原因は何かということを探ってみますと、45歳から54歳の男女において、一番大きな原因というのは、ドラッグ及びアルコールの濫用であります。中毒ということです。そして2つ目が自殺、そして3つ目の原因というのがアルコールによる肝疾患です。そしてそれ以外に様々な暴力による死亡というものが続きます。これはemploymentがされていないことによる死亡率の上昇であると私は申し上げたいと思います。そして社会的な勾配というのはより急進になってきているということが分かります。格差は広がっているのです。つまり、最も困窮しているグループだけではなくて、死亡率の上昇というのは全てのレベルにおいて影響があるということを考えなくてはなりません。

 さて、よく聞かれる事ですが、国としてより豊かにならないと健康になれないのかということです。答えとしては確かに、非常に貧しい国であれば答えはイエスであるけれども、そうでなければ正しいことではないということです。これは1人当たりの収入ということで、GDPを見ているわけなのですけども、PPP(購買力平価)で調整をしております。つまり購買力で平均を見ている感じです。そしてこちらが平均余命です。何が分かるかといいますと、非常に貧しい国々においては、ほんの少しでも収入が上がると、それによって平均余命が大きく跳ね上がるということです。これは利に適っていると思われます。つまり少しでもお金が入ってくれば、そのお金を例えば水をきれいにしたり、あるいは衛生に、食べ物に使うことができます。従ってそこに大きな違いが生まれます。

 しかし、1万3千ドル、1万2千ドルくらいのレベルまで行きますと、これは一人当たりのGDPということですけども、ということはキューバ、コスタリカ、チリあたりです。こういったところと、例えばルクセンブルク、これは7万ドルですけども、そこと比較してみましょう。基本的にはここと全く差がありません。つまり1人当たりの収入が増えても、寿命は伸びないのです。日本はここです。アメリカはここです。ということで、アメリカの方に行きますとほとんど逆行しているようなトレンドが見て取れます。つまり一旦コスタリカの水準に達してまった後は、それ以上収入が増えても、GDPが増えても関係があまりないということです。それ以上健康の増進はされないということになります。そして健康の増進ということで考えた場合には、これは社会がどれだけ幸福であるかの良い指標だと思います。経済的な成長が何故重要か、それを我々は追求したいのかということを考えて見ますと、何故それが重要な指標になっているのか。国の性格の物差しになっているのかということを考えていただきたいと思います。経済成長によって必ずしも健康は約束されないということがここから実は分かるのです。コスタリカのレベルにいけばもう平均余命ということではアメリカと同等レベルまでくるわけです。所得のレベルが全く違っていても、健康のレベルにはもう差はありません。やはり重要なのは、収入以外の健康の社会的決定要因です。

 例えば、イギリス。これは英国のデータですけども、地域社会がどれだけ貧しいか、あるいは豊かであるかということを見ています。左の方が貧しい、右の方が豊かということです。そして上の方のグラフが平均余命です。ご覧のように明らかな勾配が見えます。地域社会が豊かであればあるほどより平均余命は長い、そしてどんどんそれは所得に応じて低くなっていくということであります。そして下の方にあるのが障害なしの平均余命です。緑色です。勾配はより急進になっています。上の方にいれば、およそ障害ありの平均余命は12年であって、そして下の方、一番左の方にいった場合には、障害ありの平均余命は20年くらいであるということです。つまり余命、寿命の長さだけではなくて、QOLの違いが非常に大きいということ。そしてこれが、社会的階層との強い関係があるということです。勾配であるということが、ここに関わっている我々全員に関係があるわけです。

 これはイングランドでもちろん計算をしたわけですけども、真ん中あたりにいらっしゃる方々というのは、基本的には障害なし平均余命が一番長い人よりも8年短いわけです。例えば握力が弱くなったりとか、あるいは歩行が難しくなったりだとか、あるいは認知能力が下がったということがより早く起きる、8年早く起きるということになります。そして平均余命自体も短いということになります。中間層であってもそうなんです。勾配があるということは格差がある。従って社会全体を是正する必要があるということを示しています。

 さて、2つの場合に分けてお話をしておりますけども、まず最初に申し上げたかったのは、日本、アメリカ、そして英国などにおいては、健康に関しては勾配というものが存在する。そして勾配の傾きというのは日本ではそれほど急進ではないかもしれない。アメリカの方が急進かもしれない。そしてイギリスは日本とアメリカの間位かもしれないということですけれども、こういった勾配によって、我々全員1人1人が影響を受けるということです。最貧国だけではありません。
 さて、産婦人科協会と協力して色々と活動しておりますけども、世界的な学会で話をするように言われました。つまり臨床家としてこの話は是非聞くべきだと協会の方が動かれたのです。ということで、これは女性の健康です。イギリスのデータですけども、16歳から64歳ということで精神疾患のリスクありと判断された人口の比率です。そしてこれを所得レベルによって4つに分けています。そしてどのカテゴリーにおいても、女性の方がリスクが大きいということが分かります。そして健康障害が何人くらいになるかということに関しても、これは貧困スコアで見ていきますと、貧困のレベルが大きければ大きいほど健康障害を患う年数が長いということが分かります。これも勾配です。これはつまり、女性が健康障害による状態で生き続ける期間というのが長くなってきている、というのは死亡が減少しているスピードほど有病率が減少していないからです。ということで、より長い期間病気を患って生きるということになってしまうわけです。

 さて、産婦人科医の方々に対して私がお話したのはこういうことです。皆さんは健康な赤ちゃんを出産するお手伝いをしています。そしてその赤ちゃんというのは、その後成長して、母親になったり父親になったりするわけです。どのような母あるいは父になるかということ、これが何に影響を受けるか、これは経験によるところが大きいわけです。例えば、teenagerの母親の方が出産の結果が悪いということが分かっているわけです。つまり、これは下の方がカットオフされて見えませんけども、右の方は肉体労働者、そして左側が管理職ということで社会的な関係で3つに分けています。15歳から19歳の若い女性の出産総数に対する出産率を見ているわけです。明らかに社会的な勾配があります。つまり、より困窮していればしているほど、teenagerの妊娠の数が多いということであります。というわけで、これをお見せして私はこう申し上げました。こういったことを先生方としては憂慮すべきではないでしょうかということを申し上げたわけです。

 ヨーロッパにおいては(イギリスが※筆者注)10代の妊娠率が一番高いのです。医師が関わらずにいてよいのでしょうか。もちろん通常の臨床とはかけ離れた話かもしれません。また5歳以下の乳幼児の死亡率です。1990年はこちらです。色が濃ければ5歳未満の死亡率が高いということを意味します。1990年です。色を覚えておいて下さい。そしてそれが2015年にはどうなったか。世界中で健康率が上がっています。5歳の小児死亡率に関してはかなりの改善が見られました。そしてそれに対する関係が一番大きかったのは、教育です。女性の教育です。すなわち女性に対するエンパワーメントこそが乳幼児死亡率を引き下げたのです。女性へのエンパワーメントのベースとなるのが女性への教育です。こちらをご覧下さい。中等の教育以上を受けた女性と、教育を受けていない女性との間で、色々な国において乳幼児死亡率がこれだけ違います。中等教育を受けた後の女性は、教育を受けていない女性に比べて乳幼児死亡率がかなり低いのです。女性の教育を世界的に改善するということこそが、乳幼児死亡率の世界の削減に一番大きく貢献したのです。

 全ての子供が生き残れば子供でいっぱいになるのでしょうか。これはその出生率です。女性が教育を受けたレベルによって変わります。バングラディッシュでは3.0から2.5、インドは3.6から2.1、初等教育であれば2.6です。エチオピアでは6.1に対して5.1人もしくは2人となっています。ですから子供いっぱいになった世界を避けたいのであれば、女性に教育を施すべきです。選択肢が生まれます。少ない数の子供を選ぶようになるのです。ナイジェリアではしかし、それでも4.2人となっていますが。


つづき
その2



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2016年8月11日木曜日

優生学と人間社会 第2章の6

前回
第2章の5

第2章市野川先生のラストです。

◆本来、別物であった「変質」(退化)と「人種混血」がナチスの下で重ね合わされ、優生学が人種主義と結合する
ユダヤ人の優生学者もいる。リヒャルト・ゴルトシュミットは、自然界ではその存在さえ許されないはずの「低価値者」に文明社会が生殖を許しているのは誤りだと説き、32年のプロシア州断種法案の作成にも関わったが、彼にとって無念だったのは、ナチスが自分たちから優生学と断種法を横取りしたことだった


◆福音主義(プロテスタント)教会の対応
 ・1931年、社会事業団「インネレ・ミシィオンは、「生きるに値しない生命の抹消」や、優生学的な中絶は認められないが、優生学的な不妊手術については、本人が拒否していない限り、「宗教倫理的に正当化される」場合があるとの公式見解を表明した
 ・1932年プロシア州議会決議に異を唱え、心身に生涯をもつ人間も価値がある。同胞として気づかうことがキリスト者の使命であると再確認したが、逼迫する財政の下で障害者福祉を運営していくため、優生学を組み込むことは、不可避のものとして認識された
 ・19
33年の断種法に組み込まれた強制措置に対しても、その対象が断種法のあげる、病に限られるならば容認するという姿勢に

◆カトリック教会の反応
 ・1930年、ローマ教皇が回勅書を出す(一夫一婦制、家父長制、女性解放運動は誤り、両性の合意による禁欲以外の避妊の非難、母親の生命が危ない場合以外の中絶の禁止、不妊手術は一切認めない)
   ・当時のドイツにはナチスの断種法を正面から批判できたのはこれ以外ほとんど何もなかった   ・医師へのサボタージュなどを呼びかけ


1939年9月1日におきた3つのこと
 ・ドイツポーランド侵攻(戦争開始)
   ⇒シャルマイヤーやプレッツが恐れていたこと(第2章の3参照)
 ・遺伝病子孫予防法の省令改正。不妊手術、婚姻前検診は原則中止。
 ・同日付でヒトラーが安楽死計画を命じた文書も発出


◆1945年の敗戦まで、ドイツ国内及び占領地域では、施設で暮らす障害児や入院中の精神病患者などが、特殊な施設にいそうされ、そこで頃された。少なくとも7万人、一説には10数万人。
◆不妊手術という間接的なやり方ではなく、直接抹殺する。

◆優生学者たちは病人や障害者を殺害するという方法には反対していた
◆フリッツ・レンツ「いわゆる安楽死は、人種衛生学の本質的な手段として考慮の対象となることはまったくない」
◆レンツは、安楽死を批判しながら、低価値者とされた人々が生まれないようにするため(淘汰を出生前に移行させる)に、遺伝の仕組みを解明し、その技術を開発しようとする「優生学」の存在理由を守ろうとした。
◆殺害というかたちで淘汰することが許されてしまうのなら、優生学はその存在理由を失ってしまう


◆レンツは、優生学者としてただ一人、安楽死法制化の準備に加わった。しかし、その場でもレンツは、優生学の見地から安楽死を正当化することはなかった
◆あまり注目されないが、第一次大戦期にドイツ国内の公立病院では、実に7万人の精神病患者が餓死している
◆ますます減少していく生活物資から、まず最初にはじき出されたのは、入院中の精神病患者その他の社会的に最も弱い立場にいる人々だった
◆7万人とは、1939年以降の安楽死計画によって殺された精神病患者の数にほぼ匹敵する
◆指導的立場にあったレンツと同世代の医師たちは皆、第一次大戦中に病院や施設で何が起こったのかを十分、知っていたはず。
◆再び開始された戦争によって、同じ事態が引き起こされるのだとしたら?そのとき、積極的殺害という選択肢が、とりわけ医療関係者の脳裏に浮かんだとしても何ら不思議ではない

◆ナチズム期の強制不妊手術・安楽死計画の被害者に対する戦後補償実現のために尽力したドイツの精神科医、クラウス・ドゥルナーは、1939年以降の安楽死計画の背後にある心性を「死に至る憐れみ」という言葉で表現している
◆優生学の論理は安楽死計画のそれから、また安楽死計画の論理はホロコーストのそれから、それぞれ微妙に異なっている
◆安楽死計画の犠牲者にはユダヤ系のドイツ人も含まれていた。しかし、その犠牲者の多くが生粋のドイツ人だった







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2016年8月7日日曜日

優生学と人間社会 第2章の5

前回
第2章の4
市野川先生の続きです。

意思決定の二重構造、強制的同質化、帝国医務規程、遺伝病子孫予防法あたりがポイントですかね。

遺伝病子孫予防法は、後に日本の国民優生法が作られる時に大いに参考にされている法律で(松原洋子先生mp同本第5章、米本昌平先生の「遺伝管理社会」参照)、我が国にとってももの凄く関わりの深い法律です。
ちなみにwikの解説はいまいちなんで、本を読んでみてください。

っていうか、やっぱりあの事件があってからこの本の中古の値段が急激に上がってます。
先月くらいまでは2ケタだったのに。
うん、まず読むならこの本ですよ、この分野では。



◆世界恐慌は、大戦の痛手からようやく立ち直りかけたドイツにも大きな打撃を与えた。人種衛生学会が、1931年に採択した新しい指針は、早急に低価値者に対する自発的な不妊手術を可能にすべきだと訴えている
◆「治る見込みもない遺伝的欠陥者のために割かれる支出は、もはや遺伝的に健康な家系の者には総じて役立たないものとなっている。それゆえ、優生学に定位した福祉は今や必要不可欠なのである。」
◆1932年プロシア州議会は、福祉コストを削減できるような措置を早急に講ずる、という決議を採択。この決議にもとづいて、プロシア州保健省は同年断種法案を作成。州レベルでは片付かない刑法規定の問題もあって制定には至らず。
 ・対象:遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性てんかん、その他の遺伝病にかかっているもの、もしくは遺伝的遺伝子質の保因者
 ・不妊手術は本人同意にもとづいて実施
◆1933年1月にヒトラー政権発足。7月にドイツ初の断種法「遺伝病子孫予防法」が制定。(3月に「授権法」によって立法権を得ていたため議会の承認なしで制定)
 ・プロシア州断種法案に重度のアルコール依存症が追加
 ・本人の意志に反しても不妊手術を実施できる
◆ナチスだけではなく、強制処置を止むを得ないと考える者は、社民党内部にも相当数いた
◆原則はあくまでも個人の自己決定だが、法的な決定能力や同意能力が期待できないものについては、法定代理人や官医、施設長などの代理の同意や決定でよく、この場合には強制措置も認められる(他の国々にも広く見られた二重構造)
◆ナチスの断種法がターゲットにしたのは、法的な決定能力や同意能力が欠いているとされ、意志や権利を尊重すべき一人前の市民ではないとされた人々

◆強制的同質化:もろもろの組織や団体から自律性や決定権を奪い、すべてを帝国政府の、ヒトラーの管理統制下におくこと
◆医療においても強制的同質化が行われた
◆1934年、保健事業の統一化に関する法律。州および都市ごとに保健局を設置し、ナチス政府が中央集権的に統括。各州の判断から統一的な医療政策へ。
保健局の経費がすべて公費でまかなわれた。医師は患者からの報酬に全く依存せずに、医学的に”正しい”ことのみを遂行できた。(シャルマイヤーの望み通り)

◆1935年、帝国医務規定
は、「帝国医師会」の設立を促し、医師という職業身分の自立性を確立する医師たちのそうした要求を、ある意味実現したが、実体は、ドイツのすべての医師をナチス政府が管理統制するというものであり、ユダヤ人医師は締め出され、当初の目標だった医師団体の自律性も根こそぎ破壊された
医療プロフェッションそのものが自ら自律性を放棄し、国有化=強制的同質化された。
◆帝国医務規程
 ・個人の利益と民族全体のそれが対立する場合には、躊躇なく後者を優先した。
 ・健全な民族感情によって正当化される目的をまっとうするためには、そうした守秘義務は解除されると定めている
 ・断種法の定める遺伝病ならびに重度のアルコール依存症の患者に接した医師が、その患者に対する不妊手術を直接、間接に遺伝健康裁判所に申請しなかった場合、これを職務規定違反とし、医療活動の永久停止を含む処罰を科した
◆ナチズム期の36~40万件にのぼる不妊手術の脅威的な数字は、医師プロフェッションの国有化=強制的同質化があった

◆1933年11月、常習犯罪者取締法。ターゲットは精神病質者。
◆当時の刑法は心神喪失者の免責を規定。
◆常習犯罪者取締法は、刑法で免責される者(↑)施設で拘禁し、性犯罪者については去勢手術も認めた。この法律によって拘禁された人々に対しては、出所と引き換えに不妊手術を実施するケースもあった

1935年6月、遺伝病子孫予防法が改正ナチス政府は、母体保護の中絶と同時に、さらに優生学的理由による中絶を合法化し、33年の断種法で列挙された疾患のいずれかに該当する場合、その中絶を認めるようにした
◆条件は、本人の同意、妊娠6か月以内、妊娠女性の生命および健康を危険にさらす場合には禁止の3つ
◆断種法と同様、本人に同意能力がない場合、法定代理人もしくは保護者の代理同意でよいとしていた
◆1935年10月、婚姻健康法(正式名:ドイツ民族の遺伝的健康を守るための法律)。結核や性病、断種法に規定された遺伝病、あるいは精神障害などをもつ人びとの婚姻が禁止され、また、婚姻に際しては、これらの病気や障害のないことを証明する婚姻適正証明書を保健局からもらうことが、すべての者に義務化された。
◆一方、健康なドイツ人については、婚姻や出産に際する特別の貸付金制度や、多産の女性を讃える政策が推し進められ、避妊や中絶は以前よりもいっそう厳しく取り締まられるようになった


第2章の6






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