2016年3月29日火曜日

生き延びるためのラカン 斎藤 環 3

最近お料理ブログみたいになってしまっていましたが、
すいません、米粉のレシピ本買ったのではまってるんです。

その1
その2

ラスト!
いやあ、面白い。
何か本質を突かれたようでドキッとしますよね。

去勢の定義とかはその2を参照しながら見ていただけると良いと思います。



lecture 10
・対象a:欲望の原因。小文字の他者を指す。
・移行対象:ウィニコットの考えた概念。子供が成長する過程で、なぜか手放そうとしない人形やタオルのことをいう。
・大文字の他者:象徴界のこと。

・欲望は、「欲しい物」、つまり目標が存在するから生まれるのではなく、「欲しい物を、金で(ネット)買える」という可能性こそが生み出している。
・その意味では「もっとお金が欲しい」という言葉を、「もっと欲望が欲しい」と解釈することもできる。


lecture 13
・フロイトが考えたヒステリーには転換ヒステリーと不安ヒステリーの2つある。
・転換:いろんな心の葛藤が、身体の症状に転換されること。


lecture 14
・性というのは、ラカンによれば、象徴的にしか決定されない。そして、そもそも言葉の世界である象徴界は、ファルス優位のシステムになっている。
・人間は、去勢されることで、つまりペニスの代わりにファルスを獲得することによって、この象徴界に参入する。
・享楽:快感や快楽を越えた、強烈な体験のことを指している。だから単純に快い体験だけではなく激しい苦痛なんかも含まれている。
・女性一般にそういう傾向があるが、とりわけ腐女子は関係性を重視する。彼女たちは、虚構作品に出てくるキャラクター同士の関係性が、次第に性愛的なものに変化していくダイナミズムを楽しんているらしい。

lecture 15
・ダブルバインド(板挟み):グレゴリー・ベイトソンが指摘した概念。
統合失調症の患者は、相手が「こちらへいらっしゃい」などと好意的な言葉を口にしながら、態度や表情が拒否的だったりすると、とたんに混乱してしまう。
・象徴界は、ファルスを中心にして構造化された言葉のシステム。あらゆる言葉(=シニフィアン)は、隠喩という連鎖をつうじて、すべてこの「ファルス」という、究極の象徴に関係を持っている。
・ラカンは精神病について、象徴界が故障した状態と考えた。ラカンはこれを「父の名の排除」と表現している。

lecture 16
・言葉で語るということは、それ自体がそのまま虚構化の手続きでもある。語る人の数だけ現実が生じてしまう。
・なんでトラウマが病気の原因になるのか、ラカンによれば、それはきわめて現実的な(虚構的でない)体験だから。
・一見大きく変化を遂げたかに見える人間の言動の中に、よくよく見れば、その人にとっても決定的な経験が反復されていることはしばしばある。むしろこの反復こそが人を人たらしめている要因の一つではないだろうか。
・精神病者にとっての言葉の価値は、我々とかなりずれてしまいがちである。僕たちにとって言葉は象徴にすぎないが、彼らにっとて言葉とは、かなり現実的なもの。
・フロイトは「不気味なもの」について、慣れ親しんだイメージが一種の他者性を帯びて現れることとして記述している。同じ意味で幻聴も、不気味かつ恐るべき他者として、主体を脅かす。

lecture 17
・夢分析、精神分析は患者と分析家の共同作業。
・自己分析というのは、けっして一般論を越えることができない
・ラカンの文脈でいえば、症状こそが人間の存在証明になる。手首に傷をつけて存在確認をしたりすることは、もう珍しいことではない。彼らの言動こそが、まさに「症状=存在証明」というラカン的事態を指示している。
・スラヴォイ・ジジェクは9・11テロについて、「日常という幻想がテロという現実に破られた」のではなく、「僕たちの現実が、イメージによって粉砕された」と考えるべきであると述べている。

lecture 18
・「常にすでに」
⇒いっけん反復に見えるけど、実は必ず一回限りの現象。逆に一回限りにみえるけど、どこかに反復的な要素をもっている現象。
・転移ある種の人間関係の中で、相手に無意識の欲望が向けられ、現実化させられる現象。
・精神科医が患者に自分のプライヴァシーを打ち明けるというのは、親密な雰囲気を作るというタテマエはあるにしても、ときには転移誘発のための「口説きのテクニック」になりかねない。権力関係を背景にした恋愛関係はほとんどが発端は転移性恋愛である。

lecture 19
・素行の悪い夫の相談をしている女性。目の前で話している彼女は、夫のひどさに十分気づいていないようでアドバイスをせざるをえなくなった。彼女の言葉を聞いたら、かなりの人がそういうアドバイスをしたくなるが、僕の言葉は僕自身のもというよりも、実は彼女に語らされていると考えるべきではないか。
・ふつう、システムは階層関係で成立している。「こころ」が面白いのは、階層のある神経系の上で立ち上がっているソフトウェアのくせに、階層関係を持っていない。
・ロジャー・ペンローズ「無意識にはアルゴリズムがあるけど、意識にはアルゴリズムが無い」
・ガリレオ「他人に何かを教えることなどできない。できるのは、自力で発見することを助けることのみだ」。このガリレオの言葉は、教育はおろか、転移というものの本質にすら射程が届いている。

ラカン
・きっと性愛が無かったら、僕たちは天井知らずに賢くなれたことだろう。でも、その賢さにはどんな意味があるのか?何の意味もない。


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